宮本亞門、熊川哲也が生み出す全く新しい”2つの蝶々”がこの秋開幕 オペラ『蝶々夫人』&バレエ『マダム・バタフライ』

SPICE

2019/10/2 12:21



オペラ史に燦然と輝く名作『蝶々夫人』。2019年秋、宮本亞門熊川哲也の手によってこの名作から新しい2つの”蝶々さん”が誕生する。

『蝶々夫人』は、プッチーニによるオペラの名作中の名作。長崎を舞台にした蝶々さんの大変有名な悲恋物語だが、「ある晴れた日に」をはじめ、美しいアリアに満ちた傑作として、世界中で最も愛されているオペラの一つである。

宮本亞門新演出の”蝶々さん”は自立していく女性の姿


この秋、東京二期会は、宮本亞門を演出に迎え、今までの演出とは異なる新制作の『蝶々夫人』を上演する。

『フィガロの結婚』、『魔笛』、『金閣寺』など数々の名舞台を生み出し、近年オペラ演出家として高い評価を得ている宮本が、ついに『蝶々夫人』を演出するということで各方面から期待が高まっている。宮本は、上演に先立ち公開されたリハーサルにおいて、この作品について以下のように述べている。
オペラ『蝶々夫人』制作発表より
オペラ『蝶々夫人』制作発表より

音楽ともども「物語としては」美しいオペラだが、「では果たしてそれは現代の時代感覚に合うものなのだろうかと考えると、それは現代の演出家たちが最も悩んでいるところでもある。一歩間違えば“MeTooオペラ”だ」と宮本。そこで「ロングの原作を当たると、蝶々さんは当時の日本女性とは感覚の違った、いわば“変わり者”でもある。だから今までの『蝶々夫人』をまったく読み替え、時代設定はそのままに、女性が自立していく話とした」という。
ー(中略)ー
「オペラはどんどん変わってきている。歌手たちの向上心も強く、決して古い芸術ではないというのは、見ていただければわかる。こんな贅沢な感動はない。オペラを見たことがない人、そしてこれまでの”蝶々もの”が苦手な人にこそ、ぜひ見てほしい」と語っている。(SPICE記事より抜粋/公開リハーサル記事は関連記事より参照のこと)

ザクセン州立歌劇場(ゼンパーオーパー・ドレスデン)とデンマーク王立歌劇場という名門歌劇場との共同制作で、世界に先がけて東京でワールド・プレミエを迎え、その後、ドイツ、アメリカ、デンマークでも公演決定している。指揮にはアンドレア・バッティストーニ、衣裳デザインには世界的ブランドKENZOの創始者である髙田賢三が顔を揃えた。最高峰のスタッフが集結した、“世界に発信する日本のオペラ”が誕生するに違いない。

熊川哲也が贈るバレエ版”蝶々さん”は凛と生き抜く女性の姿

(C)Hidemi Seto
(C)Hidemi Seto

そして、日本人芸術監督として初めて『蝶々夫人』の全幕バレエ化に挑むのが熊川哲也だ。

オペラの名作をバレエへと昇華させた『カルメン』 (2014年)、すべてをゼロから生み出した完全オリジナル作品『クレオパトラ』(2017年)―― 常にバレエ界に衝撃を与え続けてきた振付家・熊川哲也がKバレエ カンパニー20周年記念にあたる今年、次なる題材として選んだのが、世界で最も有名な日本人ヒロイン、蝶々夫人だ。熊川独自のストーリー展開のもと、“和”と“洋”が誰も想像し得なかった融合を果たす、まったく新たなグランド・バレエが生み出される。

今回の制作にあたり熊川は、「実際のオペラをバレエ化しただけでは登場人物も少なく、1幕ほどで終わってしまうため、自由な発想を加えながら、ピンカートンのアメリカ時代と、長崎でのピンカートンとバタフライの出会いを付け加えた」という。こちらもまた、上演を前に公開されたリハーサルにおいて、熊川は『マダム・バタフライ』とKバレエについて、以下のように語っていた。
Kバレエ新制作『マダム・バタフライ』記者会見より
Kバレエ新制作『マダム・バタフライ』記者会見より

リハーサルに先立ち、熊川監督はまず開国当時、生きるために遊女となった女性たちの話を語り、「米軍兵と日本人の遊女とのモノクロ写真を見たとき、女性たちは凛としているが、自分は同時に何か寂しさを感じた。しかし彼女達は信念を持って生き抜いたのだろうし、ジョン・ルーサー・ロングも彼女たちに憐憫を感じたのか、悲しいだけではないロマンを加えて小説『蝶々夫人』を書いたのだろう。だからこそ全てが非常に美しく感じられるし、同時に凛と生き抜いた日本女性は素晴らしいと思える」と話す。
ー(中略)ー
熊川監督は「Kバレエはセットや衣裳など作品の規模が大きいし、自分も作る以上は妥協しない。国立のバレエ団をはじめほかがやらない発想でバレエをつくり、世に送り出しているKバレエを、日本の皆さんはもっと誇りに思ってほしい」と自信を湛えて語る。そして「完璧とは何かをお見せしたい」と締めくくる。(SPICE記事より抜粋/公開リハーサル記事は関連記事より参照のこと)

愛、裏切り、そして別れ――切なくも美しいこの悲劇を、熊川の振付はセリフよりも雄弁に、ドラマティックに物語る。華麗にして圧巻の舞踊が織り成す、バレエでしか味わえない感動の世界だ。こちらの作品は、2019年9月27日(金)にBunkamuraオチャードホールにてすでに開幕し、初日公演前には、デザイナーのコシノジュンコやデヴィ夫人、落語家の瀧川鯉斗など各界著名人が訪れ華やかなレッドカーペットイベントが催された。10月10日(木)からは、東京文化会館に場所をうつし、全7公演が行われる。

宮本亞門が新演出する東京二期会オペラ劇場『蝶々夫人』、そして、この傑作オペラに題材を得て熊川哲也がバレエに生まれ変わらせるKバレエ カンパニー『マダム・バタフライ』。同じルーツを持つ各々の作品が、同時期に東京で上演される。オペラとバレエで見較べるまたとない機会だ。

当記事はSPICEの提供記事です。

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