鮮やかな色彩と強烈なエネルギー『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』レポート バナナマン・設楽統氏も登壇

SPICE

2019/9/30 19:00


2019年9月21日(土)~11月17日(日)の期間、森アーツセンターギャラリー (六本木ヒルズ森タワー52階)で『バスキア展 メイド・イン・ジャパン』が開催中だ。1960年にニューヨークに生まれ、キース・へリングやアンディ・ウォーホルなどの名だたるアーティストと交友関係を築き、1980年代ニューヨークのアートシーンの重要人物となりながら27歳の若さで亡くなったバスキア。鮮やかな色彩と強烈なエネルギーに溢れるバスキア作品約130点を紹介する本展は、森アーツセンターギャラリーのみでの開催となる。また今回は一枚の入場券で二回入場することもできる(期間や時間帯は公式サイトで要確認)上、音声ガイドが無料貸出など、バスキアの世界にたっぷり浸ることができるように配慮されている。以下、見逃したくない名品の数々を、報道内覧会当日に開催された「バナナマン」の設楽統氏によるトークと共にご紹介する。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

本展のサポーターを務めている設楽氏は映画を通してバスキアを知ったそうで、「エネルギッシュで謎めいていて、ざっくり言って生き方から作品までかっこいい」と絶賛。また本展に関しては「こんなにたくさんのバスキア作品を見られるのは初めてで、迫力とパワーを感じる。いろんな作品が何かを訴えてくるのを感じる」とし、生で見られるこの機会が貴重であることを伝えた。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

設楽氏のおすすめは株式会社ZOZO前社長・前澤友作氏が所持している作品『Untitled』で、色づかいやモチーフである髑髏など、バスキアの作品を象徴することを強調。本作品を出品している前澤氏は記者内覧会にも登壇する予定だったが、先日の台風15号で被害を受けた地元である千葉の復旧作業の手伝いのために参加不可ということで、企画開催の感謝と成功祈願のメッセージを寄せた。
ジャン=ミシェル・バスキア Untitled, 1982, Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork  (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ジャン=ミシェル・バスキア Untitled, 1982, Yusaku Maezawa Collection, Chiba Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

また設楽氏はバスキア作品に関し、鑑賞する側が絵に詳しくなくても楽しめると熱弁。映画を見てから来場するとさらに楽しめるとも語り、「是非この機会を逃さずに、バスキアを生で見てください」と熱い思いを述べ、本展への期待を示した。

愛されつづけるアーティスト
分散したバスキア作品を一挙に見ることができる機会


バスキアの作品は平面的で均質に描かれ、全体的に荒っぽく、キャンバスが手作りで立体的であり、アフリカをルーツとした民族性が見られるなどの特徴があるが、全体的に大画面の作品が多いこともポイントの一つ。作品が大きく色彩も鮮やかで、描かれているモチーフも目に留まりやすい。また彼の絵は力があり洗練されているため、多くの人に受け入れられる。バスキアは2019年現在も人気と知名度のあるアーティストだが、彼が活躍した1980年代ニューヨークではスターであり、当時、最新鋭のクラブやイベントへ出かけると、必ずバスキアの作品があったという。
ジャン=ミシェル・バスキア Fooey, 1982, The Museum of Art, Kochi Artwork  (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ジャン=ミシェル・バスキア Fooey, 1982, The Museum of Art, Kochi Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

アートに詳しい人だけではなく、ファッションやデザインが好きな人など、多くの人の感覚に訴えるバスキア作品だが、作品の多くは個人蔵で、普段目にすることができない。また、日本では1980年代のバブル期に美術館が購入しているが、常設展に出ているとは限らず、見る機会は少ない。今回は個人蔵や美術館が所蔵しているもの約130点が一堂に会しており、まとめて鑑賞することができる得難い機会だ。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアの絵は大型のものが多いので、広い展示スペースを必要とする。また絵と文字を組み合わせるのを基本的なスタイルとするバスキア作品は、近づいて文字を読み、少し離れて配置を確認するなど、距離を変えて鑑賞したい作品が多い。今回の展示は森アーツセンターギャラリーの開放感のある空間で行われるため、さまざまな距離で楽しむことが可能となる。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

会場の最後に登場するドローイングはルイ・ヴィトン財団が寄託されており、ほとんど貸し出されることがないというバスキア再晩年の傑作だ。細かい文字がびっしりと書かれており、近寄らないと文字は見えず、離れないと全体が見えない。彼が生涯を通して抱えていたアイディアの全てが詰まっているような本作などは特に、広い会場で過去の作品と共に鑑賞したい作品だ。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

言葉やドローイングを書きためた秘蔵のノートブックも公開
バスキアの創作の秘密を探る


バスキアは言葉や文章を大切にしており、詩人の要素を持つアーティストである。今回はバスキアの言葉やドローイングを書き溜めたノートブックやスケッチが展示されており、彼のインスピレーションや創作の源を垣間見、また落書きのような断片が大型の絵に結実していく過程を想像することができる。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアの活動期間はわずか10年程度で、その短い間に3000点以上のドローイングと1000点以上の絵画を残している。バスキアのノートを見ていると、彼が何かを思いつくと、すぐにとらえて書きつけていたことが分かる。恐らくアトリエにいる時だけではなく、プライベートな時間でも創作を行っており、それがパワフルな作品を多数残すための秘訣だったのだ。すきま時間でも常に創作を行っていた彼は真にクリエイティブな人間で、それがカリスマ性に結びついて多くのアーティストやギャラリー・オーナーを惹きつけたのだろう。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアのノートを見ると、どんなに小さな断片であってもモチーフの使い方や文字、色使いや余白などが非常にスタイリッシュだ。この卓越したセンスはノートの他、大型の絵、ポストカードやコラージュなど全ての作品において見うけられる。バスキアはもともとグラフィティ・アーティストであり、屋外の無限に広がりのある場で活動していた。そのため、数センチのノートの空白でも、数メートルのキャンバスでも、屋外で描く時でも、空間をうまく使いこなす感覚に優れていたのではないかと思われる。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアと日本のつながり
バブル時代の日本を反映した作品


バスキアと日本のつながりは深く、彼はウォークマンや漫画などを通じて日本を知っており、1980年代に何度も日本へ来日している。本展のタイトル「メイド・イン・ジャパン」というタイトルは、作品『Onion Gum』の右上に記載された「MADE IN JAPAN」という言葉に由来する。訪問時の日本はバブル景気で、経済力の強さがバスキアの印象に残り、作品にはたびたび「YEN」と書かれた文字が登場している。
ジャン=ミシェル・バスキア Onion Gum, 1983, Courtesy Van de Weghe Fine Art,  New York, Photo: Camerarts, New York Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ジャン=ミシェル・バスキア Onion Gum, 1983, Courtesy Van de Weghe Fine Art, New York, Photo: Camerarts, New York Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ジャン=ミシェル・バスキア Napoleon, 1982, Private Collection,  Photo: John R. Glembin Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
ジャン=ミシェル・バスキア Napoleon, 1982, Private Collection, Photo: John R. Glembin Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアは来日時に表参道のスパイラルのレストランに寄せ書きを残しており、この店は改装されたが、バスキアの描いた絵は切り取られて残っており、本展で見ることができる。また彼は日本に捧げるような作品も描いており、ウォークマンらしきものがモチーフとなっている絵や鉄人28号が描かれた絵もあり、バスキアの日本への傾倒を示している。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

バスキアの作品は刺激的でインスピレーションに満ちており、見ているこちらもパワーをもらえる。また会場にはバスキア本人の写真や映像もあり、クリエイティブで好奇心に満ちており、どこか少年の面影を残したバスキアの姿を見ることができる。本展は森アーツセンターギャラリーのみの開催で巡回しないため、今回を逃せば日本でバスキア作品をまとめて見られる機会はなかなかないだろう。是非この機会に足を運んでいただきたい。
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York
Artwork (C) Estate of Jean-Michel Basquiat. Licensed by Artestar, New York

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