オダギリ ジョー「自分が納得できない仕事はやっちゃダメだと思います」

女子SPA!

2019/9/21 08:46

 オダギリジョーさんが、長年温めてきたオリジナル脚本を自ら映画化した『ある船頭の話』が公開になりました。ある少女との出会いによって、人生が狂い始める渡し舟の船頭の物語を、柄本明さん主演で描いたヒューマンドラマです。

本作で長編映画監督デビューを飾ったオダギリさんにインタビュー。本作で挑戦したこと、仕事のスタンスなどを聞きました。

◆『恋する惑星』のクリストファー・ドイルが撮影

――流行りの日本映画とは一線を画す、非常に美しく、挑戦的な作品でもあります。撮影はクリストファー・ドイル(『恋する惑星』『天使の涙』『花様年華』)ですが、いわゆる彼の代名詞といわれる揺れるような映像とは全く違います。

オダギリジョー(以下、オダギリ)「クリスには、ほとんどFIXで、動かない画をやりたいと最初から伝えていました。古き良き日本映画のようなものにしたいと。クリスも、“古き良き日本映画”というワードにすごく興奮して喜んでいました。とてもいいコラボレーションが出来たと思っています」

――新潟県でロケーションされていますが、壮大な自然に「ここは日本なの?」と感じました。同時にそう思うことは、自然が失われていることの表れでもあるなと。撮影地を探して日本各地を回られた感想を教えてください。

オダギリ「今もキレイな場所はたくさんあります。俳優としてロケに行くときにも、『ここ、すごいな』と感じる場所も多いです。日本の原風景というか。それって有難いことだと思いませんか?

たとえば世界では、見渡す限り砂漠のなかで暮らしている人や、雪や桜の景色を見たことがない人もいる。そうしたなかで、これだけ様々な景色を見られる日本はやっぱり素晴らしいと思うし、こうした作品を海外の方にも観てもらうことには意味があると思います」

◆自分のやりたいことを見失わず、やれてきた結果が、ここ

――撮影監督クリストファー・ドイル、衣装ワダエミ、音楽ティグラン・ハマシアンと、世界的なスタッフが参加しています。これもオダギリさんがいいキャリアの積み方をされてきた賜物かと。ご自身のキャリアについてどうお感じになりますか?

オダギリ「自分のことを客観的に判断するならば、いつの間にか今に流れ着いた感じです。『上手く行ってますね』とおっしゃる人もいれば、『なんでそんなところに行くんだ』と言う人もいると思います。ただ、ひとつひとつに妥協せず、自分のやりたいことを見失わず、やれてきた結果がここなのかなという満足感のようなものはあります」

――仕事のスタンス、ルールがあれば教えてください。

オダギリ「基本的に、自分がやりたいと思える作品しかやらないです。人生あと何年、俳優をやるか分かりませんが、そんなに何本もやれないとしたら、自分が面白いと思えない作品に時間を渡したくないじゃないですか。自分が納得できない仕事はやっちゃダメだと思います」

◆目指したのは、日本映画の主流の裏側にあるものへの挑戦

――昨年、『ルームロンダリング』で取材させていただいた際に、自分は20代の頃から変わっていないとお話されていました。同時に、40代なりの身のこなしが必要になってきているのかなと思ってもいると。その後、心境の変化はありましたか?

オダギリ「俳優としてのスタンスは変えようがないですよね。20代、30代のころからずっと続けてきていることですから。とはいえ、40代ともなると新人ではないし、スタッフや共演者を見てみても中堅みたいな立ち位置になる。監督やカメラマンも年下が増えてきていますし。そうしたなかで、後輩たちに色々と伝えていかなきゃいけない世代になってきたのかなとは感じます」

――それは直接的にですか? それとも現場での姿を通して?

オダギリ「僕は口では全然言わないですね。だから現場でそれとなく、でしょうね」

――最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

オダギリ「きっと最近の映画は、スピード感重視で、テンポをあげて見やすく作っているものが多いと思います。これは泣けます、これは笑えますという、分かりやすくて宣伝のしやすい映画。あとは原作モノだったり。でも映画って、本当はいろんなタイプのものがあるべきですよね。今の日本映画は、多様性を失っているようで、非常にもったいない状況にあると思うんです。

この映画が目指したのは、そうした今の日本映画の主流の裏側にあるものへの挑戦です。時間の流れ方だったり、人の描き方だったり。流行りのものとは全く違うと思いますが、だからこそ感じられる何かがきっとあると思う。ですから、ぜひ映画館で身を置いて、一瞬立ち止まる気分で、この映画を観てもらえたら嬉しいです」

(C) 2019「ある船頭の話」製作委員会

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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