指揮者リチャード・カーシー&ジャスミン役ヴォーカリストにインタビュー 音楽に乗って魔法の世界へ『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2019』

SPICE

2019/9/19 12:00



「お客様をディズニーのマジカルな世界へ連れて行きたい!」そう意気込むのは、7年ぶりにディズニー映画『アラジン』(アニメーション版)がフィーチャーされる『ディズニー・オン・クラシック ~まほうの夜の音楽会 2019』の指揮者リチャード・カーシーと、ヴォーカリストのサンティーナ・ウンバハだ。今回で17回目を迎えるディズニー・オン・クラシックは、オーケストラによる生演奏と来日ヴォーカリストによるパフォーマンスでディズニーファンを虜にする、至極のエンターテインメントである。

2016年からヴォーカリストの音楽ディレクターを担い、先日開催された『ディズニー・オン・クラシック ~春の音楽祭2019』(以下、『春の音楽祭2019』)からディズニー・オン・クラシックの指揮を務めるリチャードと、NYで開催されたオーディションで見事ジャスミン役を勝ち取ったサンティーナの二人に、本公演の魅力をたっぷりと聞かせてもらった。

NYのオーディションでの貴重な体験


ーー先日の『春の音楽祭 2019』はリチャードさんにとって初のディズニー・オン・クラシックでの指揮となりましたが、そのときの感想を聞かせてください。

リチャード:本当にエキサイティングな経験でした! ずっと願っていたことがやっと実現した、という感じです。初日の京都公演では内面はすごくドキドキしていましたが、外面は落ち着いたふりをしていました(笑)。お客様の反応もとっても情熱的で、やればやる程自信を持てましたし、楽しみながら指揮を振ることができました。このときはディズニー映画『ノートルダムの鐘』をフィーチャーしたのですが、お客様に話すようにストーリーを伝えることができたと思います。

ーーサンティーナさんは『春の音楽祭 2019』をご覧になりましたか?

サンティーナ:観ました! 想像していた以上に素敵なコンサートでした。約60人のオーケストラがオンステージで演奏をしていること自体が素敵でしたし、『ノートルダムの鐘』はこんなにも美しい音楽だったんだということを再確認できました。「星に願いを」で、観客の皆さんと一緒にペンライトを振るのも楽しかったです!
サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)
サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)

ーー普段はNYのブロードウェイで活躍されているお二人ですが、日本の客席の雰囲気はそれとは違いますか?

サンティーナ:ブロードウェイでミュージカル『マンマ・ミーア!』に出演していたときは、お客様と一緒になって盛り上がるコンサートという感じでした。対してディズニー・オン・クラシックのお客様は、じっくりと鑑賞してくださっている様子。ストーリーを追いながら、皆さん音楽を楽しんでいました。ディズニー・オン・クラシックはクラシック寄りのコンサートではあるけれど、もちろん楽しい部分もあって、最後には「帰りたくなーい!」となってしまう程盛り上がる場面もあります。

リチャード:私はブロードウェイでミュージカル『オペラ座の怪人』の指揮を長く務めていて、もちろん作品に入り込んで観てくださる方もいたのですが、「良い時間を過ごせるか、まあちょっと見せてよ」というような態度で臨まれる方もいました。けれどディズニー・オン・クラシックのお客様はコンサートが始まる前から「待てない! 早く始まってほしい!」というワクワク感が伝わってきて、実にエモーショナルな反応がありました。私にとっても、そういった場所で指揮ができるということはありがたいことだと強く思います。
リチャード・カーシー(指揮者)
リチャード・カーシー(指揮者)

ーー今回ジャスミン役としてディズニー・オン・クラシックに初参加されるサンティーナさんですが、約600人が参加したというNYでのオーディションの様子を教えてください。

サンティーナ:これは普段のオーディションと違うな、と感じました。まず、外で待っている時点で会場内から拍手が聞こえてきたんです。「一体何が起きているのだろう?」と不思議に思いながら中に入りました。入ってみると、そこには本当にたくさんの方がいて、しかもカメラで収録がされていました。普段そういうことはNYのオーディションではないんですよ。

ーーちなみに、オーディションでは何を歌われたんですか?

サンティーナ:1曲目に自分の持ち歌を歌い、その次に「ホール・ニュー・ワールド」(『アラジン』より)を歌いました。

リチャード:私はピアノ伴奏をしていましたが、彼女を見た瞬間に「ジャスミンだな」とピンときたんです。それで「じゃあ「ホール・ニュー・ワールド」を歌って」という流れになりましたね。

サンティーナ:「ホール・ニュー・ワールド」を歌ったあと、リチャードさんが「もっとここをこうしてみたら?」とその場でアドバイスをくださったんです。指揮者であり音楽ディレクターでもあるリチャードさんとその場でやり取りができたことは、とてもよかったと思います。翌日、オーディション会場へ呼ばれて行ってみたところ、なんとアラジン役候補の方と「ホール・ニュー・ワールド」をデュエットで歌うことができたんです。こうしたオーディションでの出来事は、私にとってはどれもマジカルで素敵な思い出になりました。
サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)
サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)

コメディーからドラマまで、楽しみが詰まった『アラジン』という作品


ーー今回のディズニー・オン・クラシックでは7年ぶりに『アラジン』がフィーチャーされますね。

リチャード:先日『春の音楽祭2019』で実際に指揮を振ってみて、すごくありがたいなと思ったことがあります。それは、コンサートの中でフィーチャーする作品の全編を通すことができるということ。今回は『アラジン』のストーリーをディズニー・オン・クラシックの中で全て伝えることができます。これまでに私はミュージカルやオペラの指揮を経験してきたこともあり、それらと同じ手法でストーリーを伝えられるということに魅力を感じています。

ーー『アラジン』という作品の楽曲の特徴は、どんなところだと思いますか?

サンティーナ:いろいろなディズニー映画がありますが、その中でも本当に楽しい音楽がある映画の1つだと思います。個人的には金管楽器が大好きなので、その音が楽しみです! 他にも中東の雰囲気が音楽に表れていたり、ウィンドチャイムをうまく使った綺麗なバラードの演奏があったり、とにかくいろんな要素が詰まっている作品だと思います。

リチャード:アラジンの楽曲はビックバンドのジャズやリズミックなものがあり、ストーリー全体を通せばコメディー映画と言ってもいいくらい。けれど、もちろんドラマもある。オーケストラはそのストーリーを伝えるわけですから、それに沿ったようなものになります。例えば金管楽器であればとても楽しい演奏をしますし、木管楽器はキャラクターのアクションに合わせて面白い音を出すこともあるでしょう。一方で、ドラマチックに表現したい場面もあります。コメディーからドラマまで幅広い面を持つ『アラジン』のストーリーを伝えるために、オーケストラには実に様々な役割があるのです。指揮者の私にとってもオーケストラにとっても、楽しい楽曲がたくさん揃っている作品だと思います。

サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)とリチャード・カーシー(指揮者)
サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)とリチャード・カーシー(指揮者)

ーーそんな楽しい楽曲が揃う『アラジン』で、特にお気に入りの1曲を教えてください。

サンティーナ:「フレンド・ライク・ミー」! 楽しくて一緒に盛り上がれて皆を笑顔にしてくれるので、私はこの曲をおすすめします。

リチャード:アラジンが歌う「ひと足お先に」ですね。この曲にはアラジンのストーリーを伝えるイントロダクション的な要素があります。アラジンはどういう人なのか、どういう人生を歩んでいるのか、ストーリーに関する情報が詰まっている。それだけではなく、エンターテインメント性も持ち合わせている曲です。

ーーお話を伺っていると、リチャードさんは“ストーリー”に重きを置いていらっしゃるように感じます。オーケストラの指揮者として、ストーリーを伝えるためにどのようなことを意識されているのでしょうか?

リチャード:まず物語の主人公がいて、何かが起きてストーリーが進み、そこに合った音楽が展開されていきます。ちょうど先日、ディズニー・オン・クラシックのヴォーカリストとディスカッションしたときに出た「ホール・ニュー・ワールド」の話を例に挙げましょう。

アラジンが魔法の絨毯に乗って現れ、一緒に旅に出ようとジャスミンを誘う場面です。まず、ジャスミンに向かってアラジンが歌い始めますよね。もしかするとそのままずっとアラジンが歌い続け、最後にジャスミンが答えを出すのかと思いきや、曲の途中でジャスミンが歌い始めます。アラジンが歌っているところに彼女が入ってくるということは、そこでキャラクター同士の化学反応があったということ。そういったときに音楽はどう表現すべきなのか、どうやったらより情熱を引き出せるのか等、ヴォーカリストと一緒にアイディアを出していくんです。そういったプロセスを踏みながら、どうしたらお客様にストーリーが伝わるのかを考えています。
リチャード・カーシー(指揮者)
リチャード・カーシー(指揮者)

パークの曲は日本のお客様にとって特別なもの


ーーファンリクエスト曲として、『アラジン』以外のディズニー映画(『トイ・ストーリー』、『トイ・ストーリーⅡ』、『ムーラン』)やパークからの楽曲なども演奏されるようですね。その中で思い入れのある曲はありますか?

サンティーナ:特に思い入れがあるのは、「リフレクション」(『ムーラン』より)です。映画公開時のことを思い出すのですが、これはクリスティーナ・アギレラさんが歌っていた曲。ディズニー映画の曲をいわゆるポップスターの方が歌うということは、当時あまりなかったことだと思います。同時に、若かりし自分とこの曲の歌詞に共鳴する部分がありました。自分はどこから来てどこへ行くのか、自分の個性とは何なのか、どうやったら世界を変えられるのか。そういった若者の気持ちを代弁してくれる曲です。ディズニーファンの皆さんにも、きっとそういう想いがあるのではないでしょうか。

リチャード:1つだけ選ぶなら、「ワン・マンズ・ドリーム」(東京ディズニーランド®️「ワンマンズ・ドリームⅡ-ザ・マジック・リブズ・オン」より)ですね。この曲のハーモニーはすごく複雑なんだけれど、私はディズニー・オン・クラシックのヴォーカリストの音楽ディレクターもしているから、それを皆に教えてみせたいという気持ちがあります。それに、ショー自体も大好き! 日本では長い間やってきたショーということなので、お客様はその思い出が蘇るのではないでしょうか。「ワン・マンズ・ドリーム」は今年でクローズになるとも聞いているので、トリビュートという意味合いとしても素敵だと思います。

実はパークの曲というのは、アメリカでは聞かない曲が多いんです。先日の『春の音楽祭 2019』で実際に演奏してみて、パークの曲がお客様にどのように受け入れられるのかがやっとわかりました。日本のお客様にとって、パークの曲はものすごく意味がある特別なもの。きっと大切な思い出があるのでしょう。それ以来、パークの曲って素敵だなと感じるようになりました。

ーーそれでは最後に、コンサートに向けての意気込みを聞かせてください。

サンティーナ:大勢のオーケストラの前で歌うということは緊張しますが、きっと素敵な経験になるだろうと前向きに捉えています。ジャスミンは、私が小さな頃から大好きなプリンセス。今回ジャスミンを演じることができるということで、夢がやっと叶ったという想いです。ヴォーカリストとしてはどんどん向上していきたいと思いますし、全てをステージで出し切るつもりです。お客様をストーリーの旅に連れて行って、それが皆さんにとってマジカルな経験になったら嬉しいです。

リチャード:ディズニー・オン・クラシックの魅力の1つは、プログラムのバラエティの豊かさにあります。「ワン・マンズ・ドリーム」でオープニングをしたその20分後には、「ローマの松」(『ファンタジア/2000』より)をスクリーンの映像とシンクロさせながら演奏します。きっととても素敵なものになるでしょう。そしてやっぱり、1番の楽しみは何といっても『アラジン』。近年の私は『オペラ座の怪人』や『ノートルダムの鐘』など、ヘビーでドラマチックな作品の指揮をすることが多かったので、楽しく喜びに満ち溢れた『アラジン』の楽曲を指揮できることを、とても楽しみにしています。

(左から)サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)、リチャード・カーシー(指揮者)
(左から)サンティーナ・ウンバハ(ヴォーカリスト)、リチャード・カーシー(指揮者)

【余談】
撮影の合間に「もし魔法のランプを手にして3つの願いが叶えられるなら、何を願いますか?」と質問をしてみました。お二人とも1つ目には自身の周りの家族や友人の幸せを願うとし、2つ目と3つ目についてサンティーナさんは「とにかくご飯をたくさん食べたい! そして、世界中を旅していろんな経験をしてみたい」と、まるで自由を願うジャスミンのような回答。リチャードさんは「シャンパンが大好きだから毎日飲みたい。あと、髪の毛をフサフサにしたい。本気だよ(笑)」とユーモアたっぷりに答え、その場を盛り上げてくださいました!

取材・文・撮影=松村蘭(らんねえ)

当記事はSPICEの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ

あなたにおすすめ