“原点回帰”のチームK、全員が主役級のチームA、AKB48全国ツアー東京公演振り返る

dwango.jp news

2019/9/13 17:15


2015年に開催された「ヤングメンバー全国ツアー~未来は今から作られる~」以来4年ぶりとなるAKB48による単独ツアー、「AKB48全国ツアー2019~楽しいばかりがAKB!~」。7月にスタートし、各チームが各会場、公演ごとに、それぞれの思い描く「楽しいばかりのAKB48」を体現してきた。

今ツアーも、残すところあとわずか。8公演目となる9月12日は、東京公演。江戸川区総合文化センターを舞台に、チームK(昼)、チームA(夜)が、秋の装い近づく都内に、再び熱気を送り込んだ。

今レポートでは、昼夜二公演、各チームの味が特に出たパートとメンバーを中心にお送りしたい。



【昼公演】

現在、“原点回帰”を大きく打ち出しているAKB48。その中でもチームK公演はより“原点回帰”へ振りきったセットリストとパフォーマンスで勝負。それはつまり、元祖48の体育会系らしい、汗きらめく全力さ。

平日昼間開催という厳しい条件の中、1500人収容の場内は多くのファンで埋め尽くされていた。オープニングアクトを務める末永祐月、永野恵によるユルさ満点のMCと、ガーリーな仕草が光る『となりのバナナ』で、愛らしい空気で満たしていく。しかし、可愛い時間はここまで。スタートナンバー『エリアK』、『RESET』、『スクラップ&ビルド』、『その汗は嘘をつかない』と、チームK伝統のハードなに動き回る力強いナンバーで畳みかけていく前半戦。しかも計7曲、およそ30分をノンストップで駆け抜ける。前半終了後全員が息を切らしまともに会話にならず、武藤十夢に至ってはしばらく立てずにいた。開始早々に魂を燃やし尽くす、なんともチームKらしい光景であった。ここで生み出した熱狂は、中盤のユニットコーナー、ツアー恒例のダンスパート、そしてアンコールまで貫かれ、実にダンス、ダンス、ダンスな2時間半を駆け抜けた。

終始ダンサブルなパートをけん引したのは市川愛美と湯本亜美。15期髄一のダンススキル誇る二人が、込山と共にこの日の軸となり、パフォーマンスを支えていた。個人的には下口ひななの動きに目を見張った。「この日のために1カ月走り込みました!」と本人がMCで語ったように、無尽蔵とでも言うべきスタミナを駆使し、常に跳ねるようにステージ上をかけぬけ、誰よりも大きく見せようと踊る。『Virgin love』のサビ前でのステージを飛び降りてしまうのでは!?と思えるほどの、最前列へと向かう動きのダイナミズムぶりに、この日の彼女の意気込みが現れていた。なにより公演が進むにつれ、その勢いに拍車がかかるというとてつもなさを見せ、度胆を抜かれてしまった。

ドラフト1期、15期が経験に裏打ちされた動きを見せれば、16期屈指のスキルの持ち主の一人、武藤小麟も軸がブレない動きと多彩な表情で魅せていく。安田叶も常にハードな動きを見せつつも、口には常に笑顔を携えるという超人的な姿を見せた。

チーム8兼任の左伴彩佳はこの日MCでの活躍が限られており、全面に立つ機会は限られていたものの、その分ダンスは澱みなかった。力強さを見せるメンバーが多い中で、『RESET』で魅せたしなやかな動きは特別な雰囲気を放っていた。

7月末に昇格を果たした小林蘭は、見た目の幼さと小さな体からは想像できない、力強い動きで魅せる。正直各曲でのポジションは目立つ場にいたとは言えない、それでも目を向ければ思わずこちらが反るほどの迫力ある動きを見せた。そして小林と共に昇格を果たした岡田梨奈は、『エリアK』から公演終了まで、力強さと繊細さを兼ね備えた動きを存分に駆使し駆け抜けた。長身痩躯(+綺麗に割れた腹筋)の美しい立ち姿も抜群の存在感を放ち、思わず秋元才加の面影を重ねてしまった。彼女の『転がる石になれ』でのリミッターを振り切ったかのような動きは必見の価値あり。

若手が奮起するなら、ベテランも負けていられないとばかりに、この日の武藤十夢は、敬愛する大島優子の「優魂継承」を掲げた時の姿をありありと見せた。『今度こそエクスタシー』の妖艶さから、『スクラップ&ビルド』でのどんなにハードに動いても決して絶やさぬ笑顔。何より『前しか向かねぇ』での大暴れっぷり。大島チームKで培ったもの全てが、この瞬間に表れた。

昼公演の白眉となった、峯岸みなみと小田えりなの「チームボーカル」メンバー二人による『また あなたのことを考えていた』。揺らぎのある小田、真っすぐな峯岸の歌声が上質なハーモニーを夏の終わりに響かせる。後のMCにてリハーサルの段階で、二人の歌を聞いた込山がすでに瞳に涙を溜めていたと暴露されていたが、二人の歌をじかに聞けば込山の気持ちがわかるはずだ。小田はこの日急遽出演が決まったにもかかわらず、各パートでも長い手足を使った大らかなダンスで魅了すれば MCコーナーのイントロクイズでも、正解のたびに小躍りしてはドヤ顔を披露するなど、随所で輝きを放つ。決して要所を多く任されたわけではないが、それでも自らの華やかさを持ってステージを彩ったのはさすが。

MCに関しては企画や込山への誕生日サプライズ以外では、無駄な会話はほぼゼロ。その分、ダンスにおいて非常に雄弁な時間を送る姿には拍手を送りたい。

【夜公演】

『近いのに離れてる』、『国境のない時代』というハードナンバーから、アイドル性の高い『抱きしめちゃいけない』、王道サウンドの『ずっと ずっと』など、多彩な楽曲を用意したチームAは、さすがフラグシップたる、全ジャンル包囲の隙のないセットリストで魅せていった。

この楽曲の多彩さに合わせるように、チームAのライブでは、ユニット曲、撮影タイム曲を除く19曲中11人がセンターを務めるという、曲ごとに主役が入れ代わり立ち代わり変っていくのが非常に面白かった。

クールなナンバーで軸を担ったのは下尾みう。タイトなパフォーマンスを武器にこの1年で頭角を現してきた下尾はこの日も『近いのに離れてる』のセンターを始め、その武器をいかんなく発揮。中でも『NO WAY MAN』での暴力的とも言うべきハードなダンスを涼やかな顔でこなす姿には、思わず畏怖の念を抱いてしまったほど。一方のMCでは、チームAコンサートということで赤のネイルにしてきた!と堂々と宣言するも、周囲から「チームAのカラーはピンク!」と盛大にツッコまれアタフタする場面が…このギャップ(?)も彼女の魅力を一層引き立てる。

近年ではバラエティ色が強烈に出ている“まなくる”こと、田口愛佳、鈴木くるみの二人はこの日は、それぞれに大きな見せ場(田口は『サステナブル』、鈴木は『ごめんね、好きになっちゃって』でセンター)が用意されていた。特にWセンターでの披露となった『希望的リフレイン』は、満面の笑みで歌い踊り、二人の高いアイドル性がいかんなく発揮されていた。

そういう意味でこちらも同期で同い年のドラフト2期生“西川恵里”こと西川怜、千葉恵里の二人も『君のことが好きだから』でWセンターを張り、“まなくる”に引けをとらない煌めきを放っていた。千葉はセンターを担当した『Dreamin’ girls』で9頭身というスタイルの良さが完璧に活きた立ち姿の美しさを、西川は『Teacher Teacher』で持ち前のダンススキルと美麗なルックスを存分に見せつけた。共にまだ15歳、末恐ろしい。

美麗と言えば「ヴィジュアルメン」と、この日のMCでもお馴染の宣言をした、前田彩佳も『大声ダイヤモンド』で“自称”とは呼ばせない美しさで魅了。

個人的にはヴィジュアルという点においては、吉田華恋に思わず惹かれた。小嶋陽菜を彷彿とさせた大人びた顔立ちは、今なお磨かれ続けており、その場にいるだけで華やぐ。グライダー飛ばし大会でもオオトリを飾りながら一列目に落とし最低記録を残すなど“持ってる”姿も見せ、何かを起してくれるのではと期待してしまう。

そして『教えて Mommy』のセンターを担当したベテラン、宮崎美穂はさすがの一言。最近とみにネタにされる“ママ”イジリを逆手に取った曲で、若手メンバーたちが見守る中スキルフルな部分をシッカリと見せる。MCでも終始グダグダになりそうな場を引き締め、先輩……チームAのママとして頼もしい背中を見せていた。

こうした幅広い期のメンバーを軸に展開する中でキャプテンの岡部麟、前総監督の横山由依は、自らセンターを張る場面もありつつも、基本は華やかなメンバーを立てる黒子役に徹していた。総監督の向井地美音も同様、この日もエース的立場を担いながらも要所では支える側に回る。中軸たる三人の“引きの美学”とも言えるバックアップがあるからこそ、このように様々なメンバーによる、様々なチームAとしての姿を作り上げることが可能になるのだろう。

篠崎彩奈、加藤玲奈の二人の実力者も限られた見せ場の中でシッカリと自分らしさをアピールしていたのが印象的であった。

こうした中で、打点の高いジャンプが光った山根涼羽はライブ外でも印象深い光景を見せた。終演後、この日を持って昇格を果たした同期の佐藤美波、道枝咲の元に寄ると二人を力強く抱きしめ称えたのだ。山根自身、長年昇格を果たせず思い悩んでいたからこそ、二人の気持ちに寄り添えたのだろう。

エース級、ベテラン、中堅、若手、そして研究生のそれぞれが、己の魅力をいかんなく発揮できる。それがチームAの今の魅力なのだろうと、筆者は感じた。

取材:田口俊輔

当記事はdwango.jp newsの提供記事です。

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