東洋経済編集長「精度の高い会見。前澤さんは精神的支柱であり続ける」ソフトバンクG孫正義会長も登場したヤフー&ZOZO会見

AbemaTIMES

2019/9/13 16:35



 12日朝、突如発表されたヤフーとZOZOの資本提携。ファッションに特化し年間購入者数800万人を超えるZOZOを傘下に収め、インターネット通販で先行するAmazonや楽天に対抗したいヤフー。夕方に開かれた会見で、川邊健太郎社長は「ヤフーは広告の一本足打法と見られていたかもしれないが、ここにおいて紛れもなく広告とコマース、この両方の収益の2本の柱が立つことになるのではないかと考えている。Eコマース取扱高、国内ナンバーワンというのが悲願の目標」と宣言した。


 一方、2007年に上場以来、前澤氏の元で順調に業績を伸ばし、一時は時価総額が1兆円を超えるまでに成長したZOZOだが、「ZOZOスーツ」は業績に結び付かず、さらには出店社の撤退も始まっていた。そんな中、前澤氏は「日頃の感謝を込め、僕個人から100名様に100万円を現金でプレゼントする」「お前らがSNSやテレビの中で人のこと馬鹿にして、こそこそ笑っている間に俺は進むわ。月へも行くわ。だから、いつまでもそうやって笑っていればいいよ」などとツイート、プロ野球球団の保有を打ち上げるなど、世間の注目を集めてきた。


 今回の提携と同時にZOZOの社長を退いた前澤氏は会見で「悩みまくった。一部では"無責任では""放り投げているのでは”という意見があると予想していたし、実際ネットでもまだ書かれていたりする。ただ僕は、無責任とは自分の地位や権力に甘んじて、そこにあぐらをかいて本当に一番大事な事業の拡大や、会社の成長というのを見過ごし、保守的に自分を守るような経営、それが無責任な経営なのではとずっと思っていた。その中で、ZOZOは一つ今、大きな課題を迎えていると思っている。それはこれからの大きな成長にとっての課題だ。その課題を解決していく上でも、今回ヤフー社との事業提携というのは本当に素晴らしいきっかけになると思う」と笑顔で語り、創業からの21年間を振り返る場面では声を詰まらせた。


 週刊東洋経済編集長の山田俊浩氏は「両社ともにECの分野が弱っていた。ZOZOは2018年をピークに、1人当たりの売上高などが落ち始め、初めて減益になった。モールなので出店してくれているアパレル企業の支持が必要だが、それが"ZOZO離れ"も起こっていたし、一時は5000円を超えていた株価も2000円台まで下がり、明らかに右肩下がりの状態だ。前澤さんは"経営に専念する"としてTweetを止めるなどしたが、やはり出口は見えなかったということではないだろうか。出店者としては"敵"になるZOZOのプライベートブランドも、前澤さんが辞めるタイミングなら止めやすい。一方、メディア事業、つまり広告で伸びてきたヤフーはコマース事業を伸ばそうと投資を続けてきたが、Amazonと楽天の2強に阻まれ、うまくいっていない。最近では子会社のアスクルと始めたロハコというEC事業があるが、これもなかなか利益が出ずに苦しみ、社長の辞任問題に発展していた。そこでまだまだ人気はあるZOZOTOWNを飛び道具として入れることが必要だったのだろう。また、ヤフーグループ、ソフトバンクが力を入れているのが、キャッシュレス決済サービスPayPayだ。自前のEC事業を発展させることでPayPayの利用者を増やしたい、つまりPayPayを成功させるためのECという位置づけだ。」と話す。


 また、会見にはサプライズゲストとしてヤフーを傘下に収めるソフトバンクグループの孫正義会長が登場、多くの人を驚かせた。

「ソフトバンクグループ、その子会社のソフトバンク、その子会社のヤフー(10月1日付で「Zホールディングス」へと社名変更予定)、さらにその子会社のZOZOも上場していて、今後も維持するとしている。基本的に、多くの株主がいる上場企業は親会社のために仕事をしてはいけない。これが親子上場、あるいは多重上場の問題だ。
ソフトバンクグループについても、孫氏が全て指図しているのではないかと市場では言われてきたし、ヤフーについてもM&Aがある度に孫正義氏や宮内謙氏が後ろから手を回していて、ヤフーは独立した判断をしていないのではないかという噂されてきた。しかし今回の会見では、売る側の前澤さんと次期社長の澤田さん、買う側の川邊さんだけでなく、孫氏もサプライズゲストとして出てきた。そして孫氏が少しコミカルに、明るいトーンで"仲介しただけで、川邊さんと前澤さんが話し合って決めたんだ。忖度はない"と説明した。非常に会見としての精度が高いと思う」。


 ZOZO株式の約37%を保有する前澤氏は、売却で約2430億円を新たに得るとみられており、今後について「新しい道というか、新しい生き方として大きく2つ考えている。一つ目は宇宙との関わりだ。発表させて頂いている通り、2023年2月に行くが、実はそれより前に1回、宇宙に行く。もう少し近場に行く。それについてはまた改めて報告申し上げる。訓練や準備を考えると、もう今にでも身体を鍛え、英語やロシア語と色んな言語を勉強し、宇宙飛行士の皆様に色々ご教授頂きながら、ド素人だから色んな勉強をさせて頂かなければいけないということが一つ目の生き方、道だ。二つ目はやっぱり事業家でありたいという思いが強い。また新しい事業をおこしたいと思っている」と明かした。

この点について山田氏は「今回の決断の中には、株を売るということがあったはずだ。前澤氏が持っているZOZO株のおよそ6割が銀行の担保に入っているとされている。実額は明かされていないが、相当な借金を抱えていることになる。何らかの形で株を売って現金化しないと、それが返せない状況になっていたということもあると思う。そして、株を売る以上、やはりカッコよく退かなければいけないということで、自分で自分の"介錯"をしたということだろう。もっとも、全ての株を売らずに5~6%の大株主ではあり続けるので、いわゆるファウンダー、ZOZOの"精神的支柱"として残るだろう。また、手元には1000億円を超えないレベルの資金が残るはずだし、また、絵画など、価格が上がる可能性のある高額な美術品も保有しているのもかっこいい。ロシア語の勉強もしているということだったので、スペースXでの月旅行の前に、ロシアのソユーズなどを使って宇宙に行くのではないか」との見方を示した。


 慶応大学特任准教授の若新雄純氏は「ZOZOがアパレルやファッションの会社だと思っている人が多いが、もともと前身のスタートトゥデイも含めて服は作っていなかったし、完全なIT企業だ。働いている人の多くは優秀なエンジニアたちだ。つまり、ものすごく便利で使い勝手のいいECサービスをアパレルの世界で作り、成功させたということなので、そのノウハウがあるということ。もちろん最後の方は自分たちで服を作ろうとしてうまくいかなかったし、株価などを見ると失速したようにも見えるが、アパレルという分野、モールという分野では、短期間で"行き過ぎ"というレベルまで到達していたと思う。前澤氏のキャラクターや将来性で株価も高騰してしまっていたが、今の株価は妥当だろう。ヤフーはなぜファッションECと組むのか?という疑問を持っている人も多いようだが、インターネットで物を売ることに成功した企業と組むという話だ」とコメントした。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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