もしも仕事場が森林だったら? 先進技術満載のコワーキングスペースを体験


●自然を感じられるコワーキングスペースに潜入
再開発により、さまざまな施設が次々に誕生している東京ベイエリア。羽田空港からモノレールなどを利用して約15分でアクセスできる天王洲アイルも、東京ベイエリアのひとつとして注目を集めている。

2019年6月には、天王洲アイル駅から徒歩9分ほどの位置に「TENNOZ Rim」なる複合施設もオープンした。パナソニックと三菱地所レジデンス、寺田倉庫が3社で共創したという同施設は、コワーキングスペース、次世代オフィスラボ、リハーサルスタジオなどで構成されている。

今回は、担当編集のY氏とともに同施設内のコワーキングスペース・The ParkRex TENNOZ「the DOCK」を実際に利用してみたので、その模様をお届けしたい。

○科学的根拠に基づいたデザインで快適な作業環境を実現

三菱地所レジデンスが運営するコワーキングスペース「the DOCK」。そのインダストリアルな空間の中には、快適性を高めるための多様なテクノロジーが詰め込まれている。中でも特筆すべきは、パソナ・パナソニック ビジネスサービス(以下 PBS)が提供する健康経営ソリューション「COMORE BIZ(以下 コモレビズ)」の存在だろう。

コモレビズは、ワークプレース(職場環境)をライトプレース(人間に最適な自然環境)に近づける「バイオフィリックデザイン」の力で、心身ともに快適な環境を実現するソリューションである。そして、バイオフィリックデザインとは、人工的な環境下において人と自然のつながりを創造し、人の健康と幸福を向上させる空間デザインを意味する。

ざっくり言ってしまうと、「オフィスなどの環境に自然を感じられる要素を取り入れることで、リラックスしながら集中できる快適空間を実現する」といった感じだろうか。オフィスに緑などの自然がまったくないよりも多少あった方がいいというのは、肌感覚で理解できる。コモレビズは、それがいかに効果的なのかという科学的根拠を提示し、デザイン化・見える化してくれるというわけだ。

バイオフィリックデザインを導入したオフィスは国内外に複数あり、今後も増えていくことが予想される。同施設でその効果を体験し、自身が働くオフィスへの導入を検討するのもありだろう。
○パナソニックの最先端技術×コモレビズ

「the DOCK」は、ワークスペースの「MAIN CABIN」と「CANAL CABIN」、共用スペースの「BOOK PARK」などで構成されている。まずはワークスペースをご紹介。

40席のフリー席と、固定席11席、3名×6区画の区画貸しを設けた「MAIN CABIN」には、植物と光、音が彩る癒しの空間が広がっている。

入口に並んだ鉢植えは、お気に入りのものを自分の席まで持ち運んでもOK。心地良い空間の中でリラックスして働くことができる。

天王洲の運河を望む「CANAL CABIN」は、その立地を活かし、運河から水の流れが注ぎ込むような曲線を取り入れたレイアウトに。24席すべてフリー席として利用可能となっている。

植物は、PBSのデータベースをもとにリラックス効果や集中力を高めるものをセレクト。どの席でも、着席時に視界に入る緑の割合(緑視率)が最適となるように植物を配置した。

これらワークスペースの中には、コモレビズの効果を高めるパナソニックの最先端技術もふんだんに散りばめられているのが同施設ならではのポイントだ。以下にそれぞれの詳細をお伝えしよう。

■映像×コモレビズ
それぞれのワークスペースには、パナソニックのスポットライト型プロジェクター「Space Player」が設置され、室内にある植栽や水什器に映像が投影されている。揺れ動く木々や水面に広がる波紋、落ち葉や魚など、バリエーション豊かな映像で、自然の中にいるような環境がより濃厚に演出される。

■音×コモレビズ
きめ細かなハイレゾ音で再生される小鳥のさえずりや木々のさざめきも、リラックス効果を高めてくれる。同施設では、パナソニックの音響機器のハイエンドモデルである「Technics」のスピーカーと空間音響設計技術を採用し、“間接音響”により空間に音が溶け込んでいく感覚が味わえる。

■照明×コモレビズ
明るさや光の色を自然光のように時間帯によって変化させる照明制御技術を導入し、人の体が持つ1日のリズムにも配慮。また、植物へ安定的に照明を当てることで、植物も元気な状態を長く保てるようにしているという。

これ以外にも、同施設にはパナソニックのさまざまなソリューションが採用されている。

「MAIN CABIN」には、パナソニックの「LPS」(屋内位置情報サービス)を導入。利用者が持つビーコンをセンサーが感知し、空調や映像表示などと連動させているのだという。照明も自動調整されるため、省エネの観点からも効率的だ。

室内空間の過ごしやすさを見える化する「Grid-EYE」という赤外線アレイセンサもパナソニックが開発したもの。室内における人の位置や温度分布などの情報を立体的に測定し、熱溜まりなどを探し出して空調制御を行うことで快適な状態を保ってくれる。

ワークスペースでは、集中力を高めてくれるウェアラブルデバイス「WEAR SPACE」を借りることも可能。

「WEAR SPACE」は、周囲の音を低減するノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホンと、視界を調整できるパーティションで構成された新しいウェアラブル端末。これを装着すれば瞬時に心理的なパーソナル空間が生み出されるため、オープンな空間にいながらも目の前のことにしっかり集中できそうだ。

受付のある共用部分の「BOOK PARK」は、TSUTAYAがセレクトした書籍が600~700冊並んでおり、まさに本に囲まれた公園のよう。飲食物の持ち込みが可能で、本棚の一部は可動式となっているため、セミナー形式のイベントやワークショップ、懇親会なども行える。廃材などを活用したインテリアも興味深い。

「BOOK PARK」の奥には、パナソニックの最新照明技術を採用した「仮眠・お目覚めルーム」も用意している。この部屋のLED照明は、色と明るさを時間に合わせて自動制御することで、効果的な仮眠とスッキリとした目覚めを促してくれる。20分程度の仮眠モードや、より短時間のお目覚めモードなどを選択でき、集中力や作業効率のアップが期待できる。

「TENNOZ Rim」は、パナソニックがショウルームなどの用途で20年にわたり活用した建物をリノベーションしたものだという。建物内には、前述のコワーキングスペースのほか、IoTセンシング技術などの先端テクノロジーを研究開発するパナソニックの「次世代オフィスラボ」も入っている。

「次世代オフィスラボ」に隣接するコワーキングスペース「the DOCK」はパナソニックの保有する最新技術の実証実験の場としても活用される構想で、同施設の利用者にとってはそうした最先端のソリューションに接することができるというメリットもあり、さまざまな企業との共創を促す狙いもあるようだ。

「the DOCK」の利用料金は以下の通りとなっている。

・フリー席:3万円/月
・固定席:4万円/月
・固定席(3席):10万円/月
・ドロップイン:1,000円/~1時間、2,000円/~4時間、3,000円/~1日(9~18時)

利用可能時間は、ドロップインが平日の9~18時、フリー席と固定席が休日も含む9~22時(利用規約に準ずる)。会議室のみの利用も可能で、「CANAL CABIN」内の大会議室は会員であれば1,000円/1時間、非会員の場合は2,000円/1時間で借りられるとのこと。

※価格はすべて税別

●データから見る植物の効果
○オフィスと植物の相性がいい理由

そもそもバイオフィリックデザインとは、アメリカの生物学者・ウィルソン博士が1984年に提唱した「バイオフィリア仮説」から派生したものだというが、欧米ではここ5,6年ほどで急速にこの概念が広まり、アジア諸国でも徐々に普及しつつあるという。

「オフィス空間の快適性などを重視する“ミレニアル世代”の価値観とも相まって、日本でもここ2,3年で徐々にその裾野が広がっています。もともと受付や応接室などでのおもてなしの要素として観葉植物は活用されてきましたが、自社の従業員を応援する働く空間を提供することがコモレビズという事業の大きな命題です」とは、PBSの鈴木章太郎氏。

緑の心理的効用は感覚的にも納得感があるが、コモレビズでは生体反応などのデータを集めることでエビデンス化に注力している。ストレス軽減効果の高い植物と負荷を与える植物のデータベースを持ち、ニーズに応じてエビデンスに基づいた植物を提供できる点も強みとなっているようだ。

「集中力向上やコミュニケーション促進など要望に応じ、緑視率のコントロールをしながらコモレビズ独自の植物データベースから植物の種類を選定しています。アロマなどとは異なり植物は持続的かつ緩やかに効果が現れるのが特徴で、香りの強いハーブでもない限り、個人的な好みによるデータのブレも限りなく少ない。そのため、オフィスのような比較的多くの人が長時間いる空間と相性が良いんです」

植物の色・形・量などの視覚情報が生体反応に影響を及ぼす因子のひとつだそうだが、トヨタ自動車との共同研究などでストレスの高低以外の指標や因子の種類を広げ、より詳細なエビデンスづくりも進めているという同社。

「コモレビズ導入後の顧客の効果測定のためのセンシングでは、疲労やストレスの度合いを解析し、顧客企業にレポートを提供して生産性向上や健康経営に活用していただいています。Webカメラなどで心拍を読み取りますが、個人情報にならない形で匿名IDの付与や数値化をしてデータ処理しており、声紋解析によるストレスの見える化などの仕組みも開発検討中です。話の内容ではなく声紋による解析なので、日本語以外の言語でもストレスや疲労の度合いが把握でき、声紋からうつ病の予兆などを検知するサービスの実用化などを目指しています」

「the DOCK」での新しい取り組みには、映像や音、照明の設備などが含まれるが、パナソニックの音響機器ブランド「Technics」の空間音響設計技術を採用した音響は、利用者アンケートで特に高く評価されているそうだ。

「Technicsチームとコモレビズのチームが0から音の反響などを計算し、空間レイアウトをつくっていきました。小鳥のさえずりや虫の鳴き声、木々のさざめきによって自然環境を表現することで、ストレス軽減効果がさらに高まることは実証実験などでも明らかになっています。視覚的にわかりやすい植物と比べると、音響はどちらかというと脇役になりやすいんですが、自然を構成する要素としてハイレゾの自然音は重要な要素。今後はさらに空調や気流、自然光などのアプローチも進化させていきたいです」

PBSは同施設へのコモレビズ導入のほか、「TENNOZ Rim」の運用も受託しており、さまざまなテーマや世代に対応したセミナーなども開催していくという。1F部分にはプレスリリースイベントなどを行えるステージを備えたカフェも秋口にオープン予定だ。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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