THE ORAL CIGARETTESインタビュー 新たなフェーズへと向かうバンドの意志を山中拓也が明かす

SPICE

2019/9/12 22:00

3月にアルバム『Kisses and Kills』を携えたキャリア史上最大のツアーを終え、8月には『Before It’s Too Late』と題したベストアルバムをリリース。そして本稿の公開後には程なくして、大阪・泉大津フェニックスにて2日間にわたって自主企画イベント『PARASITE DEJAVU ~2DAYS OPEN AIR SHOW~』を開催するTHE ORAL CIGARETTES。その快進撃ぶりは誰の目にも明らかな彼らだが、これまでと変わらないどころか、これまで以上のスピード感で我々に“次”を提示しようとしている。オーラルにとって第2章とも位置付けられるここから先の物語はどのようなものなのか、今彼らは何を見据えているのか。新たなフェーズの序章となるデジタルシングル「Don’t you think(feat.ロザリーナ)」が世に出るタイミングで、首謀者・山中拓也に話を訊いた。


――ベストアルバム『Before It’s Too Late』が出たことで第1章が完結したと捉えると、今作「Don’t you think(feat.ロザリーナ)」からが第2章の開幕と言えると思うんですが、そういう構想はいつぐらいから持っていたんでしょうか。

ベストアルバムで区切ろうとは、もともと考えてなかったんですけど、前のツアーのファイナルの横浜アリーナで今まで少しずつ張ってきていた伏線を回収したりだとか、「第1章ではこういうことを伝えたかったんですよ」という内容にすることは考えていたので、僕ら的に第1章の完結はそこだったんです。そこにプラスアルファとしてベストアルバムを出そうというよりも……やっぱり音楽の聴かれ方が変わってきているから、今後どうするか?みたいな話もあって。サブスクリプションってすごく難しくて、勝手にベストアルバムって作れちゃう。

――各々のマイベストをね。

そうです。そういう聴き方にどんどん変化していく中で、じゃあベストアルバムの価値ってどういうところにあるんだろうとか、今ベストアルバムを出すことによって何を伝えられるんだろうとか、そういうことを意識した上でのベストアルバムだった。だから過去の、1章の総まとめでもあるし、そこに託したいメッセージもあったし、これから先のオーラルもちゃんと見える、通過点のアルバムにしたかったのはありますね。

――ひとつの区切りという意味では、2Daysの野外イベント『PARASITE DEJAVU ~2DAYS OPEN AIR SHOW~』はどういう位置付けですか。

それもベストアルバムの位置付けと似ているかもしれないですね。5周年というのもあって、今一度自分たちがなんでここまで来れたのか、今の自分たちがあるのかっていうところを見つめ直して、そこで俺らはやっぱり人と人との関わりが一番強かったんだなっていうことをすごく感じていたので。仲間に対しても、ファンやチームスタッフに対してもありがとうの気持ちがあって、そこにもう一回ありがとうを言いましょうっていう感謝祭的な意味合いは、DAY2の対バン形式の方でしっかり見せていきたい。
で、1日目をなんでワンマンにしたかっていうところにミソがあって、映像ひとつしかり、会場の空気感しかり、そこで何が行われるのかしかり、この先にオーラルが第2章で何をしていくのかを、DAY1に詰め込もうと。だからどっちもですね。ベストアルバムでも過去と未来を両方表現したし、『PARASITE DEJAVU』も過去と未来が寄生していくこと、ずっと廻っていくみたいなことを表現しているので。


――この先へのプレゼンでもあるということですね。これまでのオーラルの活動からも感じられた、どんどん次に行かなければというような意識と、この第2章へ向かう動きというのは種類が違いますか。

いや、まったく別のものでもなくて。「次に行かなきゃ」っていうのは今までと同じくあるんですけど、別に第1章は忘れてほしいものでもなくて、第1章ありきの第2章が今から始まるから、それがリンクする部分がこれからどんどん出てくるし、作っていくと思うんですよ。前に進んでいるようで、実はちゃんと過去ともリンクしてますよっていう動き方をこれからしていくんだと思います。まず大前提として最終目的地があって、そこで最後にオーラルとして伝えなきゃいけないことを伝えるためには、全部のストーリーが繋がっていて。それには1章も2章も必要なもので……スターウォーズみたいな(笑)。

――まさにそれを思いました。エピソード1とかエピソード2とかの。

そうそう。そういうことを今やっている感覚です。自分が本当にやらなきゃいけない使命みたいなものに向かって、実は今までも自然に行動していたし、これから先もそうやっていくんだろうなっていう。ずっと同じことをやっていても面白くないなっていうのは昔からあったし、バンドにとっての転換期みたいなものも絶対にどのバンドにもあって。僕らはストーリーの中で転換期を自分たちで作っているので、今流行っているものに身を任せたいとかでは全くなくて。ここでこうしなきゃいけない、ここで曲の方向をクラシカルな方向に持っていきたいとか、全部ストーリーの筋書きがある上での、その途中っていう感覚ですかね。

――それは今までもずっとそうでした?

いや、正直に言うと徐々に見えてきたところです。この前のアリーナツアーで伝えなきゃいけないと思っていたことに向かって、それまでずっと活動してきたんですけど、それを伝えたときに、さらにもう一個上の伝えなきゃいけないことが見つかった。これってもしかしたらそれまでやってきた活動も関係しているんじゃないか?っていう筋書きが、自分の中でどんどんできてきて。だから、デビュー当時からそれを考えていたのかっていったらそうじゃないけど、でも自分が等身大でリアルに思っていることを伝えていくうちにだんだん見えてくるものがあったから、今はそこへ向かって動いていこうということですね。

――ある種の使命感みたいなものですか。

そうですね。今の時代に向けてだったり……科学・技術の発展が本当に人間にとって良い方に転がっているのか、もう一回ちゃんと考えた方がいいっていうメッセージを投げかけた第1章があって、それをより明確化していくためには、次に言わなきゃいけないことがあって、それを音源でもアーティスト写真でも作品のアートワークでもどんどん表現していこうっていう流れを今作っています。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕
THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕

――第1章で科学や技術と対比させるものとして人間の感情を打ち出したように、オーラルは感情をずっと歌ってきているバンドですよね。そこに関してはこの先も軸として?

うん。全く変わらないし、より濃く話していかないといけないことだと思います。何が人に評価されるものだとか、何がアートなのかって、本当に人それぞれの感覚でしかない。それがただ流行っていう大きい一つの塊になって、今これがイケてるものという認識になっちゃってることに、僕はすごく疑問が多くて。流行っているっていうものが本当に素晴らしいものなのか? 日本っていう国に対してどこまで信頼を置いてるのか?とか。そういうことを考えていったときに、本当のアート、芸術って何か、本当に惹かれるものは何かってなると、僕は人間の生き様だったり人というもの自体がアートだと思っていて。この人が発する言葉だからそこに説得力を帯びたり、経験してきた中で積んできたものだから重みが変わってくるだとか、作品もきっとそうなんじゃないのかなって感じ始めている。
一瞬で流行ったものって一瞬で終わったりするし、それってその人が発したものじゃなくてただの流行りに過ぎなかったんだろうなと感じるし、だから本当のものをより追求していきたい気持ちが膨れ上がっていて。より人間というものがアートだ、人間というものが美しいっていうことを自分が感じているからこそ、そこの感情っていう部分はより深く掘っていかなきゃいけないと感じてます。


――「Don’t you think(feat.ロザリーナ)」は、女性ボーカルをフィーチャーしたり、今までとは明らかに見え方や聴こえ方が異なる部分も多い曲ですけど、たまたまそうなったのか、それとも変化をわかりやすくするために意図的にそうしたのかでいうと?

わかりやすくしてます。ちゃんと、こういうモードでオーラルが何か仕掛けるぞっていう空気感を、しっかりファンに伝えていきたいし、オーラルを知らない人にもそこで何かワクワクできるものを作りたいと思っているから、もう今のアーティスト写真を出したところから圧倒的に方向性を変えていってるのはそういうことです。人と人という部分が、フィーチャリングってより出ると思いますし、あとはそもそも日本の音楽シーンに対して「なんで?」って思う部分を突きつけてるところもあって。

――というと?

ソロアーティスト同士のフィーチャリングってすごく多かったりするんですけど、バンドだと少ないな、表に出てこないなって思うことがすごく多くて。海外はもうフィーチャリング文化というか、アルバムほとんどフィーチャリングで、2曲くらいしか一人で歌ってる曲がないとか、それが普通になってきている中で。

――こいつとこいつが一緒にやるんだ!みたいな驚きもありますもんね。

そうなんですよ。それって絶対に良い効果を生み出すと思うし、もっともっとやっていくべきなんじゃないかっていう気持ちは結構前から抱えていて。そこに対して一個のメッセージを伝えるためのフィーチャリングでもありますね。今までの型にとらわれず、どんどん新しいことに挑戦していって、ひとつのエンターテインメントを完成させていく姿勢を見せないといけないんじゃないか、オーラルはそれをやっていくべきバンドなんじゃないかと。

――バンドって、4人だったら4人の集合体ならではのロマンというか、聴く側がそこに憧れやストーリーを見出していくことも多いと思うんですよ。

うん、そうですね。

――でも、表現できるものの種類、広さで言えば、必ずしもそこだけに固執しない方が良かったりもするわけで。そういう固定概念すらぶっ壊してやろうという感覚でもありますか。

それは大きいかもしれないですね。自分たちが4人でバンドであるっていうことなんて当たり前の中で……「Redone Version」(ベストアルバムDISC2収録)の楽曲とか、いわゆるバンド感のあるアレンジではないので、「ソロでやればいいのに」みたいな意見もないわけじゃないんですけど、そういうことじゃなくて、俺らが4人のバンドであることが大前提としてある上で、「この4人のロックバンドが何をするか」に美学があるっていうか。すごく狭い中での4人の魅力では終わってほしくない自分がいて、4人でいるのはもちろんだけど、その4人が何を動かしていくのか、何を壊していくのか。それがときたまソロでやっている風に見えたとしても、その奥までちゃんと受け取ってほしいなっていうことはすごく思う。だから、4人でいるロマンみたいなところで悩んだこともありましたけど、もっと4人で今までの常識を壊していっている方が、自分的にはロマンがあるし先が見えるので、どんどん行動を起こしていこうっていう感覚になってます。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕
THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕

――曲に関しては最初から女性を迎えることを前提に書いたんですか。

そうですね。女性の声を頭の中で流しながら曲を書いてきました。デモでは全部自分がファルセットで上を歌っているんですけど、女の人の譜割だとかニュアンス、曲の中で表現したいもう一本の糸みたいな、すごく千切れてしまいやすいものを表現しようと思って。

――シングルとして出すことも想定して?

ほぼほぼ前提にありましたね。表に出していかないと、フィーチャリングをする意味もあまりないなと思っていたので、その行動を、さっきも言ったみたいにどんどん示していくバンドだから。

――それがロザリーナさんだったのはどうしてでしょうか。

もう声を聞いたときに、自分が歌詞の中やサウンドを作っていく中で表現したいものを全て満たしてくれていたんですよ。儚く壊れやすく、超繊細で、でも奥の方に何か強さがある歌声。ロザリーナの声を聞いたときに、自分の思う「Don’t you think」で伝えたかったことを歌声で表現できるのはこの人だなって。
俺らのやりたいことをピュアに表現してくれて、レコーディングに入ってロザリーナに自分の作ったメロディを歌ってもらったとき、ほんまに自分が思っていた以上に、切なくて儚げな、触れたら壊れちゃうんじゃないかなっていう声で歌ってくれて、でも強い声やなっていう、期待を超えてきてくれた感覚はあります。


――パート分けするとかではなく、ずっと上下を2人で歌っているのも印象的でした。

この楽曲で、人への優しさだったり気配りだったり、人を思うことによって自分に溜まっていくマイナスの感情とか、実は自分が気づかないうちに溜まってしまっている心の痛みみたいなもの、そういう両極端を表現したかったんですよ。それをちゃんとサウンドでも表現するために、下で支える強い声がある上で、その痛みとかを1オクターブ上の声で表現したくて。なのでこの二つの声が並んで響いているっていうのは必要不可欠で、特にサウンド的にこういう効果があるから、とかじゃなくて、ただそこで伝えたいメッセージを音楽として表現したくてこのやり方を採りました。

――演奏面に関してはどうだったんでしょうか。各メンバーとの意識のすり合わせとかは今までとあまり変わらずに?

そんなに大きくは変わっていないですね。伝えたいメッセージと、サウンドで表現したいことをまず最初に伝えて、デモと一緒にそれを送って。各々がそこに対して向き合いながら自分のパートをこなしていくっていう、バンドとして、いつもと同じ方法でそこはやれたんじゃないかと思います。

――シンセの音とかビートの質感など、だいぶこれまでと違う印象もあって。

バンドサウンドというよりも、打ち込みでしっかり歌を際立たせる手法を採りたかったのもあったし、曲だけでそこにある美しさみたいなものを、使えるものは全部使って表現したかったので……『Kisses and Kills』のときからやり始めていた手法なんですけど、視覚的なイメージを聴覚に変えていくっていうか、自分の中に見えてるものを何の楽器でやればいいのか、そこに制限はつけずにやっています。ただ、そこで一番違ったのは女の人の声が乗るっていうことで。

――それだけでだいぶ絵が変わってきますからね。

そうですね。だから自分たちだけでは絶対に表現できないサウンドの作り方ができたなと思います。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕
THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕

――歌詞に関しては、刺したら死んでしまうミツバチというモチーフが出てきたり、儚さを感じさせますが、曲全体として描きたかったことってどういうものでしたか。

さっきもちらっと話したんですけど、人を想うことだったり、気配りとかをしていく中で、知らないうちに自分の中に溜まっていくもの……一時期、自分のキャパや器を大きくしたいとか、なるべく人に怒らないようにしようとか、そういうことを考えて行動に移すほどしんどくなっていく自分がいて、このままだったらどこかで爆発するんじゃないか?って。前回のツアーとかはまさにそうだったんですけど、優しさを振りまいているはずなのに、自分はただただ自分を苦しめてるだけっていう、そこの絶妙な感情の矛盾を考えることがすごく多くて。優しさとかを人に与えることは本当に正義なのか、そうやって生きていくことが美しいのか。そこを考えていたときに、やっぱりストレスが自分にどんどんかかっていたとしても、それをもしっかり受け止めて、感情を表現に変えていく。人に怒るとかではなくて、作品にしっかり残すっていうことの方が、そう思う方が人間っぽくて良いんじゃないかなって思ったんです。

――なるほど。

自分が苦しい想いをすることのストレスを、昔はどこかで発散しなきゃいけないと思っていたけど、そうじゃなくて。むしろありがとうございます、くらいのテンション感でどんどん溜めていった方が作品につながっていくし、生き様みたいなものもどんどん変わっていくんじゃないかなと。そういう感情をたくさん持っている人の方が美しいなと思い始めて。今はそういうのが全然ストレスにはならなくなったし、イラッとすることがあっても「作品に落とし込んだらいいや」とか、それを抱えて生きていく自分の生き様が楽しみやなとか、そういう風に転換できることが多いです。
人に優しくすることで自分に溜まっていくものに悩んでいる人は他にもたくさんいると思うし、そういう人に対して、この楽曲でそれを少しでも伝えられたらいいなと思っていて、僕はこういう答えを出したけどみんなはどう思いますか?っていうことを、情景が見えるような形で、その絵の中にちゃんと感情が見えるような形でパッケージした歌詞になってるかなと思います。ただの恋愛ソングじゃないっていうことだけは、伝えといた方がいいかなと思っているんですけど。


――表側の自分によって生じた裏の感情を吐き出すことは、過去にもしていたと思うんですよ。でもその表現の仕方、種類が全然違いますよね。ただ怒っているとかそういうことじゃない。

うん、そうですね。本当に怒らなきゃいけないことって多分、もっと他にあったりするから。生活していく中で生まれた人と持っていくストレスって、怒りじゃない方向で出した方が、何かに対して怒ったときにより説得力が生まれるかなと思うんです。昔は自分の中の感情を「5150」とか「嫌い」みたいな怒りのサウンドにして届けてたけど、その段階は僕はもう終わっていて、それすらも飲み込んだ状態で生きていきますよっていう、そこにしっかり強さや芯みたいなものを乗せて、楽曲として表現していった方がいいんじゃないかなっていう感じです。

――それは別に「もう感情は揺らがないんですよ」っていうことではなくて、ね。

そう、めっちゃ揺らぐんですけどね(笑)。

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕
THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕

――ちなみに今回は女性ボーカリストとのコラボでしたけど、何かセンスとかビジョンを共有できる人とは積極的に絡んでいく意識もありますか?

全然なくはないなと思ってます。一昔前だったら、バンド同士で「俺が上がってやる」みたいな競争をしちゃってた自分たちもいたし、僕らのそもそものテーマが「BKW=番狂わせ」で、どんどん超えていこうっていうのが自分たちのやり方だった。それも今の自分たちにとっては大事な過去だったんですけど、この先もっともっと広いところを見ていったときにはそれよりも、音楽をやっているやつに限らず、例えばシェフでもいいし他のことをやっている人でもいいんですけど、「この人たちの感性が素晴らしい」「人間性が素晴らしい」という人たちと素晴らしいものを生み出していったほうが、もしかしたら……すごい規模がでかくなっちゃいますけど、日本という国の見られ方ももうちょっと変わってくるんじゃないかなとも思う。蹴落としあいじゃなくて、ちゃんと協力しあう形でより素晴らしいものを生んでいった方が、世界にも届きやすくなるんじゃないかなっていうことは思っています。よくガラパゴス化とか言われますけど、それって勝手に日本人が今までの常識の中に囚われているだけで、それを一回全部取っ払って一から考えなおせば単純なことで。もっともっと外に伝えていくためには今までの常識を潰していくしかないから、他の人と何かを作るっていうことはこれから先もあっていいんじゃないかなと思います。

――たとえば、今回の『PARASITE DEJAVU』で2日目に出るような人たちと一緒にやることもあり得たと思うんですよ。でも、そことやるよりも女性ボーカルで、しかもこれまでそんなに絡みがあったわけでもない人とやる方が、「オーラルはこういうモードだ」っていう宣言の意味では鮮烈ですよね。

そう伝わってくれれば嬉しいですね。ただのフィーチャリングじゃないんですよっていうのは伝わればいいなって。

――ここから第2章開幕という現時点で思い描いているオーラル像や、活動の姿勢で思い描くことはありますか。

原点回帰……といっても自分たちの原点に帰るわけじゃなくて、そもそも音楽の始まりってどこ?とか、なんで音楽が生まれたの?とか、そういうところを振り返っていかなきゃいけない第2章だと思っていて。第1章で伝えていたことは未来のことだから、ちゃんと過去を遡ったアプローチをしていくことで、その未来のことがより際立っていくというか。だから、新しいものを求めて進んでいくというよりは、僕たちはどんどん原点に戻っていく行動をこれからするんじゃないかなって思ってます。そこから最終的になんで第1章でああいうことを伝えたのか、第2章でこういうことをやったのかっていうところまで辿り着きたいと思っているので、どこも目を離してほしくないし、「なんでこういうことをしたんだろう」「なんでこういう映像なんだろう」とかも、答えを全部こっちから出すんじゃなくてファンにも考えてほしいなとも思う。ちゃんとゴールは決まっているから、そのゴールをより理解してもらって楽しんでもらうために、一回一回の行動を見逃してほしくないですね。

――音楽の原点っていうことは、普遍的なものと向き合っていくことでもあるんでしょうか。

ああ……どんどん普遍的なものを表現していくことはたしかにあるかもしれないですけど、一つ例を挙げると、今回の『PARASITE DEJAVU』で書道家の友達を呼んだり、ヒューマン・ビートボックスの友達を呼んだりしたのも、原点回帰の一つでもあって。ヒューマン・ビートボックスがなんで生まれたの?って言ったら、もともとストリートでラップをやったりしてた人たちがビートがないからって始めたものを、音楽としてエンターテインメントとして楽しむようになったっていうことで、そういう根本の部分もこの先に俺らがやっていくことに紐付けて知っておいてほしかったのもあります。
いろいろなものが便利になって本当にどんどん移り変わっていて、誰でも曲が作れるソフトとかもあって、本当にそれでいいのかな?っていう、第1章で伝えたことを明確にしていきたい。だから自分たちで一回そこに戻っていこうっていう感じなのかなぁ……(伝えるのが)難しいですよね。


――でもここまでの話をきちんと読んでもらえれば、何かしら伝わるんじゃないかと思いますよ。

そう。これ、今からやろうとしていることを言葉で説明するのはすごく難しくて。一番は作品を見てもらって、日が経ってそれをちゃんと追っていってもらえば分かりやすいと思う。自分たちが最後に求めているものを今言えるわけでもないので、そこへのプロセスとかバンドのこれからの歩み方は、今全部を理解してもらわなくても良いのかなって思ってます。それよりも、曲のことを今回喋って、その中で「やっぱりオーラルって感情を大切にし続けてるバンドだ」っていうことと、人っていうものに美しさを感じているバンドだっていうことが伝われば、今はそれで良いんじゃないかって思ってます。

取材・文=風間大洋 撮影=菊池貴裕

THE ORAL CIGARETTES・山中拓也 撮影=菊池貴裕
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