『テラスハウス』男女の国語力に衝撃。ダルい、クソ、チル…で会話する人達|辛酸なめ子

女子SPA!

2019/9/12 15:46

【いまどきの男を知る会 ファイルNo.16 テラハ男子】

テラスハウスを時々楽しみに拝見していて、これがイケてる若者の文化なのかと取り入れられる部分は取り入れたいと思っています。テラハを見ていると、だんだん日本中がテラハに思えてきて、フレンドリーな性格になれるような気がします。そんなポジティブな面がある一方で、懸念されるのが国語力の低下です。

「ヤッホー」「オッケー」「どうっすか」「マジで?」「ヤバい」「アガる」「どっか行こ」「めっちゃ◯◯」というフレーズが頻出している印象です。それだけでも十分会話が成り立っていそうです。もしかしたらカットされた部分で、環境問題や国際政治について論じ合っていたのかもしれませんが……。

◆「チルに持って行かれる」意味わかる?

独特の国語力で印象的だったシーンを、最近の「TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS」編、「TOKYO 2019-2020」編からピックアップしてみます。

「花火とかイルミネーションとか紅葉とか、クソほど興味ない」

かわいいけれど毒舌の女子大生、小室安未の放った一言は話題になりました。無敵な美人女子大生として「なんか変な豆入ってる」と、デート中に食べたカレーをディスったことも。しかし「クソほど」という表現は「クソ興味ない」と言うときより「クソ」の存在感が増してしまっています。

強気の美女が次々登場する番組なので、ケンカシーンにも育ちや素が出るセリフが。

「被害者面が半端なくてダルい」というのは、フィットネストレーナーの莉咲子と女優の春花の口ゲンカで、莉咲子が放ったセリフ。「ダルい」の使用法の範囲の広さに驚かされます。「ダルい」を使いこなせるのは若さならではかもしれません。「ムカつく」の一段階弱い意味合いのようです。

「TOKYO 2019-2020」編には都会人ならではのワードも出てきます。「チルしよ」「チルってくる」というのは、まったりしよう、という意味でしょうか。

「チルに持って行かれる」は、「話の内容がない雰囲気になる」という意味で使われているようでした。慶應→パリに留学という経歴の香織のセリフでしたが、彼女など話の釣り合う相手がテラハ内にいなくてフラストレーションがたまっていそうです。

◆女子を上回る男子メンバーの国語力のヤバさ

男子メンバーの国語力は総じてヤバいです。バンドマンのケニーは「そうだね」と言ってばかりで、女子からデートに誘われた時は「そうだね」「だよね」「オレも誘おうと思ってた」と、わりと受け身でものたりないです。本人は歌で表現したいタイプなのかもしれませんが……。

モデルや俳優などいろいろなことをやっている翔平は、柔軟性が高く誰とでもうまくやっていけそうですが、心の内には野望を秘めていたようです。あとで「天ぷら事変」と題されたのは、仕事観について発した迷言。

専業の仕事を極めようとしている人を勘違いだと切り捨て、「天ぷらすげえ好きだけど、毎日食ったら気持ちわりーなって」と、唐突に天ぷらに例えて、微妙な空気になっていました。お酒の席の発言なので仕方ないのかもしれません。

しかし常に国語力がヤバい逸材が、イケメンでシャイでかわいいと年上女性には大人気の流佳。まだ二十歳なので言葉足らずのところがあるようです。スマホばかり見て本を読んでいないとこんな感じになってしまうのかと危機感を覚えますが……。

◆「心で返事しちゃうタイプ」

彼の将来の夢はマーベルのヒーローで、イラストも描いてみたいという漠然としているバイト男子。デートでパンケーキを食べに行き「プレーン」というメニューを見て、原材料は「プレーン」だと思い込んだり、年上のケニーに「甘え気質」だと指摘されると「甘い?」と聞き返したり、天然ボケなのでしょうか。イケメンだと許されるのが不思議です。

尊敬する坂本龍馬について「自分が危ないとわかってるのに、自分の足で歩いて仲直りさせた」と、流佳なりの言葉で説明していたり、努力しようとしているのは伝わります。

憧れの香織をデートに誘うときは「俺も絵が描きたい。絵具……絵具じゃなくて絵の道具、一緒に買いに行きたい」と誘っていました。画材を絵具と表現するのははじめて聞きました。

なついてくる流佳のことを香織は「かわいくて養いたい」と言っていましたが、男性としては見られないというか、次元が合っていないようです。

会話していて黙ってしまう流佳に対して、「困った時にうーんってなっちゃうじゃん。あれっこの話題話していいのかなって」と、疑問をぶつけたら「俺、結構心で返事しちゃうタイプ」と、流佳。

思わず「声に出そ」と忠告した香織ですが、「俺ねえ、会話中考えるじゃん。考えついて言おうと思ったらもう会話が進んでるの」という流佳の返事に、これ以上詰めたらまずいかもしれない、と何か察した風でした。

テラスハウスの国語力に対して甚大な破壊力を持っている流佳。きっと右脳派というか感覚で生きているのでしょう。まだ二十歳、実はすごい天才肌で今後ブレイクするかもしれないと、ルックスが保たれるのを祈りつつ、温かく見守っていきたいです。

<文&イラスト/辛酸なめ子>

【辛酸なめ子】

東京都生まれ、埼玉育ち。漫画家、コラムニスト。著者は『辛酸なめ子と寺井広樹の「あの世の歩き方」』(マキノ出版)、『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎)、『女子校育ち』(筑摩書房)など多数。

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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