「炎上だらけの時代、新しい文化を純粋に楽しんでいた頃を忘れないで欲しい」Flash動画のサイト更新を続ける男性も

AbemaTIMES

2019/9/12 15:00



 流行り廃りが激しく、様々な文化が生まれては消えていったインターネット文化。「メンバーのモチベーションが下がった」と、解散してしまう人気YouTuberグループが現れ始めているが、それは2ちゃんねるが誕生した20年前のインターネット黎明期も同じだった。

ネット回線が貧弱で、今のように好きなだけ動画を見られる時代ではなかった2000年代前半に一世を風靡したのが、データの軽い「フラッシュ動画」。正直、今見ると何が面白いのかとも思ってしまうかもしれないが、ニコニコ動画やYouTubeのように、人々が競うように投稿していた黄金時代があったのだ。


 すでに忘れ去られてしまったかのようにも思えるフラッシュ動画だが、いまも運営が続けられている投稿サイトがある。それが2005年に開設された「おもしろフラッシュ総合サイト」だ。管理人の谷口貴祐氏によると、当時は1日10万人以上が来訪していたが、今はで1日に100人ほど谷口氏は「面白いフラッシュ動画がYouTubeに再録されていることもあって、フラッシュサイトに来る意味はなくなってしまったのが大きい」と話す。

オンラインゲーム制作会社「チビコン」の経営の傍ら運営を続ける谷口氏・来年にはAdobe社がフラッシュのサポートを終了することが決定している。しかし、それでもサイトを残すと決めているのは、炎上だらけになったネット界で、新しい文化を純粋に楽しんでいた時代を忘れないで欲しいという思いからだ。「この時の方が平和なイメージがある。フラッシュ動画にはやわらかい表現が多かったし、人のことをけなしたりすることはほとんどなかったので、どれも見ていて幸せな気持ちになれる。そういうのが僕は好きだった」。

■今なら大炎上?「探偵ファイル」



 そんなフラッシュよりも前からネットユーザーを虜にしていたのが「テキストサイト」だ。今でいう「ブログ」や「note」のようなもので、個人がホームページを作り、思い思いに表現していた。素人が文章や写真を載せただけのサイトともいえるが、中には1日2000PVあれば人気サイトと言われた時代、1日に20万PVを叩き出す人気サイトとなった「侍魂」というサイトも現れる。いわば、ネット界のスターを生み出した最初のコンテンツ群とも言えるのだ。

異彩を放つ多くのテキストサイトの一つ、「探偵ファイル」の大住有氏は、"様々な食べ物の賞味期限の限界を調べる"として牡蠣を毎日食べ続け、26日目でドクターストップになったり、簀巻きにされて川に放り込まれるとどうなるかを検証してレスキューに怒られたりと、過激なYouTuberの"やってみた系"を先取りするコンテンツを投稿していた(2003年から5年間)。


 「他にリッチなコンテンツが少なかったというのもあるが、サイト全体で言えば、1日150万PVぐらいはあったので、月間4500~5000万PVくらい。当時の覇者と言っていいくらい」と振り返る。探偵ファイルを辞めたあと、就職活動のために自分をヤフオクで売って90億円で落札されるなど、しばらく話題を振りまいていたが、現在では裏方としてYouTubeチャンネルのコンサルティング業務を行っている。「過激な感じなのはどんどんやりにくくなってきている。今は日常との境目がなくなってきているので、やはり日常の方の倫理観に引っ張られる」。

■「表現の幅が狭まっている」



 今から20年前の1999年に初めてネットに触れたというライターのヨッピー氏は、当時の空気感について「みんなが毎日文章を書いてアップして、褒めてもらってうれしいみたいな。動画か文章かの違いがあるだけで、やっていることは今のYouTuberと変わらない。当時もバナー広告を貼って、それがクリックされると何円かもらえが、貼るだけで怒られたので、広告収入というものはなかった」と話す。

同じく1999年にネットを始めたという「一流ホームページ」管理人のゴトウ氏は「その頃は企業のホームページしかないような時代で、それ以外は本当に草の根というか、個人が細々とやっているようなサイトしかない時代だった。1ページあたりの容量は1MBに収めるのがマナーだと言われていた時代なので、画像も1ページに1枚。みんな趣味なので、あえて無償だった。お金目的ではないからこそ、書いてあることが本気だ、みたいなところがあった」。


 そんな頃に流行したのが、「昨日、近所の吉野家に行ったんです。吉野家。そしたらなんか人が…」から始まる「吉野家コピペ」だ。「文章に出てくる、"小1時間問い詰めたい"というのが流行った。『2ちゃんねる』ができて間もない頃だったので、みんなお約束に飢えていたと思う。こういうものによって仲間意識みたいなものが出てくるのでうれしくなって、"オレも、オレも"みたいな感じで使っていたと思う。昔はコンピューターやアニメなどに詳しいオタク的な人が多かったし、"分かっているだろう"というお約束も共有できた。でも今はまったくそういうではない人や、バックボーンが分からない人が見ていることも多く、表現が勘違いされて、すごく怒られる可能性が出てくる」とゴトウ氏。

ヨッピー氏も「"吉野家"を"ガンダム"に入れ替えたりして、爆発的に流行った。ただ、今のネットを象徴していると思ったのが、この吉野家コピペがTwitterに載ったところ、一部の人が"吉野家をバカにするな"と怒り、叩いていた。表現の幅がだんだん狭く、厳しくなっていると思う」とコメント、「Twitterなど色々な人に見られるものは見られるもの。もうちょっと込み入った話をするならプライベートというように、うまい具合に使い分けたら」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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