ブラックホールの撮影に成功した科学者たちに名誉ある科学賞【追記あり】

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Image: EHT

スケールの大きい功績にはスケールの大きい賞を。

今年の4月10日、ブラックホールが初めて撮影されたという特大ニュースが世界中を駆けめぐり、新たなる科学の歴史を切り拓きました。

地球から5500万光年離れた銀河M87の中心にあるブラックホールの姿を捉えるには、国際的な協力が不可欠でした。国立天文台によれば、20の国と地域で活動する60機関の研究者が協力し、世界中にある8つの電波望遠鏡を連携して観測を行なったそうです。

離れた場所にある複数の電波望遠鏡で一斉に同じ天体を観測することで、あたかもひとつの巨大な望遠鏡が作動しているかのような解像度を引き出せる「超長基線電波干渉法(Very Long Baseline Interferometry, VLBI)」を駆使して得られた画像は、これまで不可能だと思われてきたブラックホールの姿をはっきりと捉え、アインシュタインの一般相対性理論を裏付けるものとなったのです。

まさに「ブレイクスルー(飛躍的な解明)」!

そして去る9月5日にはブレイクスルー賞、別名「科学界のアカデミー賞」の受賞者が発表され、ブラックホールを撮影したイベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)チームに2020年の基礎物理学ブレイクスルー賞が授与されることがわかりました。

ブレイクスルー賞とは


2012年に創設されたブレイクスルー賞は、基礎物理学賞のほかにも生命科学賞と数学賞があり、各賞ともに300万ドル(約3億2000万円)の賞金が授与されます。今年の賞金総額は2160万ドルにも上るそうで、世界一羽振りのよい科学賞なのだとか。

それもそのはず、ブレイクスルー賞はGoogle共同創始者のセルゲイ・ブリン氏夫妻、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグ氏夫妻、アリババ創業者ジャック・マー氏夫妻とシリコンバレー投資家のユーリ・ミルナー氏夫妻という名だたる面々により共同創設されているのだそうです。

【追記】EHTメンバー全員の共同受賞に当事者もビックリ!


さらに、ノーベル賞は受賞者が3人までと決まっているのに対し、ブレイクスルー賞は人数制限がありません。今回受賞したEHTチームは総勢347人ですから、まさにスケールのでっかい話です。

(2019年9月10日 17時15分追記)

その347名のうちのおひとり、国立天文台水沢VLBI観測所の田崎文得さんに直接お話を伺ったところ、ブレイクスルー賞の公式発表と同時に受賞のニュースを知ったそうで、とても驚いたそうです。

アメリカにいるEHT代表・シェパード・ドールマン氏からEHTチームメンバーへ一斉メッセージが送られてきたのが公式発表と同時で、日本時間の深夜。次の朝メールを開いたらいきなり名誉ある科学賞の受賞者になっていたなんて、それはビックリですよね!

受賞メンバーにはベテランの教授から科学者としてのキャリアが浅い大学院生まで含まれており、賞金は全員で分かち合うそうです。チームメンバー全員の功績がこうして平等に称えられるのは非常にうれしいと田崎さんはおっしゃっていました。

受賞者の声


EHTチーム代表・シェパード・ドールマン氏は今回の受賞について米Gizmodoにこう語っています。

われわれがこのような賞を受賞できたのは、ブラックホールの画像化がひとつの重要な試金石として幅広く受け入れられたということではないでしょうか。今後もこの技術を使ってさらに科学的な解明につなげていきたいですし、様々な分野の科学者と連携していきたいと思っています。

また、EHTチームの日本代表を務める水沢VLBI観測所所長・本間希樹教授は、このように語っています。

M87の研究成果によってこのような世界的な賞を受賞することは大変な名誉であり、とても喜ばしく思います。特に、今回チームのメンバー全員での受賞となったことが大変素晴らしく、その一員であることを誇りに思います。

この研究をさらに発展させ、さらなる成果を目指したいと思います。まず次のステップはもう一つの重要な観測ターゲットであるいて座Aスターの画像化です。一方で、M87のジェットの謎についても研究しつつ、将来的にはブラックホールの動画撮影も目指したいと思います。

国立天文台水沢のホームページより抜粋

いて座Aスターとは、我らが天の川銀河の中心にあるブラックホール。もっとも身近なブラックホールの謎に迫る今後の研究も、目が離せません。

2020年度のブレイクスルー賞授賞式の様子は11月3日にカリフォルニア州マウンテンビューにあるNASAのエイムズ研究センターにて開催されます。

(2019年9月10日 17時15分 追記:国立天文台水沢VLBI観測所の田崎文得さんから直接コメントをいただいたので、追記と記事の調整をしました)

Reference: Breakthrough Prize国立天文台国立天文台水沢

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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