EU離脱延期に造反者…混迷英議会で首相だけでなく野党もピンチの“カオス”

AbemaTIMES

2019/9/5 20:40



 イギリスの“合意なき離脱”を避けるため、野党の労働党が提出したEU離脱を3カ月延期する法案。ボリス・ジョンソン首相は、この法案が可決されれば総選挙に踏み切ると牽制していたが、法案は可決し上院に送られ、総選挙も賛同を得られなかった。

一連の動きの中では、与党の保守党からも造反する議員が出ている。3日、EU離脱延期法案を審議するか議論している最中、ジョンソン首相が答弁しているにも関わらず、保守党の議員の1人が議場を横切り、野党の席へ。そして、そのまま野党に移籍した。


 保守党からの造反議員は計21人。中には、チャーチル元首相の孫のニコラス・ソームズ議員の姿もある。チャーチル元首相は戦前から「ヨーロッパ合衆国」を提案し、“EUの父”とも呼ばれている。EU離脱反対派のデモでは、チャーチル元首相の像の足元で、EUの旗を広げる人がいたり、ポスターの顔にもなったりしていた。

保守党はソームズ氏ら21人を除名処分とした一方、その代償として与党は過半数を失った。


 混迷を極める英議会。東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏は次のように話す。

「今これだけ大きな案件が詰め込まれて議論されている理由は、ジョンソン首相が9月中旬から議会を休会すると一方的に決めてしまったことにある。議論を十分にさせずに離脱を実現しようとする手法に、与党側からも『独裁者だ』と極めて強い批判を浴びた。造反者がこれだけ出た背景にはEU離脱延期だけではなく、ジョンソン首相のやり方への不満が強くある」


 そんな中、ジョンソン首相は総選挙を提案し、与野党とも受け入れる方向と観測されていたが実施には至らなかった。「総選挙には3分の2の議席が必要で、労働党の賛成が不可欠。当初、労働党は総選挙を受けて立つとみられていた。ところが、労働党より保守党の支持率が高いうえ、労働党の支持者の中にも離脱したいという人が多くいるために離脱の是非を争点にされると労働党としては明確な方針を打ち出せない。今回、まず離脱を延期させて、ジョンソン首相に“失点”させてから選挙に打って出たいというのが労働党の考えのようだ」と佐藤氏。

続いて、「労働党側もどうしたらいいか実はよくわかっていない、保守党もバラバラという状況で、どこに進むのかがすごく見えづらくなっている」と指摘し、「それぞれの政党が、自分たちがどういう方向で行くのかをまとめていく作業がない限り、イギリス国民も総選挙になっても選択肢がわからない状況になってしまう」と懸念を示した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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