『なつぞら』天陽くんの絶命で魅せた、吉沢亮の憂いと艶っぽさ

女子SPA!

2019/9/5 08:46

 9月3日、広瀬すず主演のNHK連続テレビ小説『なつぞら』の中で最も人気が高いキャラ・吉沢亮演じる「天陽」が、病気によって他界しました。

◆吉沢亮演じる天陽くん、出番がなくても大人気

天陽といえば、ヒロイン・なつに絵心を教えた人であり、初恋の人。物語の序盤では、草刈正雄演じる「おんじ」こと泰樹とともに、人気を牽引していました。

子ぎつね感漂わせる、子役時代の素朴で涼し気な目の坊主頭・荒井雄斗も非常に可愛かったのですが、吉沢亮に交代してからは、女性たちの食いつきが一気に変わりました。緑まばゆい牧場で、キラキラの甘い笑顔で手を振る姿は、輝き過ぎて、周りから浮いているほど。

中盤以降は出番がほとんどなくなったにもかかわらず、人気はまるで衰えず、本人が登場しない回でも、登場待ちのファンの多数のつぶやきによって「天陽」がTwitterでトレンド入りするほど。なつが上京して以降は、「ワイプで常に北海道の天陽くんをうつしておいてくれ」という声もチラホラ見られました。それほどまでに独立した世界を築いていたのです。

◆もっさりした天陽くんの自然体

上京するなつに「がんばれ」と言って背中を押し、と同時に「帰ってくるのを待たない」と宣言した天陽は、別の女性とあっさり結婚してしまいます。

それも驚きでしたが、坂場一久(中川大志)との結婚を決めたなつが里帰りし、再会したときの天陽の姿には、多くの女性が衝撃を受けたことでしょう。

以前よりも少しふっくらしておじさんっぽい体型になって(服の着方や姿勢で、そう見せていたのでしょう)、髪は以前よりもボサボサ、気の抜けた感じのシャツを着て、隣にはいかにも「田舎のかあちゃん」然とした妻・大原櫻子が赤子を背負っています。

その力みのない様子がまた、荒んだ感じでも、疲れた感じでもなく、普通に幸せな生活を送っていることを想像させる、自然体の年の重ね方なのです。

自身はアニメーターとして成長し、綺麗な服に身を包んで、夫になる男性を連れてきたなつ。しかし、再会時の天陽の所帯じみた姿には、幻滅するどころか、「地に足ついた幸せ」という次のステップに進んでいるゆとりが感じられました。結果的になんとなく勝手に敗北感を覚えるシチュエーションになっていたと思います。

◆最後の夜のシーンに、妄想がふくらんで…

と思ったら、天陽が体調を崩して入院したという事実が語られ、前週土曜に流れた予告の次週分副題は「なつよ、天陽くんにさよならを」。

このネタバレともいえる副題は、正直どうなのでしょうか。

9月2日放送分では、病院を抜け出してきた天陽が徹夜で馬の絵を完成させます。

珍しく妻に「結婚して本当によかったわ。俺は俺でいられる」などと言い、アトリエから出ていこうとする妻の腕をつかんで「もう行っちゃうの?」と甘えて、抱き寄せるシーン……そして、朝を迎えた天陽の傍らに寝ている妻。

この展開に下世話な想像をしてしまった人は少なからずいたようで、ネット上には「命が消えそうなときほど種を残そうとする」などと囁かれていました。

衣服や髪が乱れているわけでもなく、ただ徹夜で馬を描いていたのだろうに、下世話な想像をさせる天陽。存在自体が罪なのかもしれません。

◆天陽くん、なぜ帽子を投げるのだ?

そして3日、絵を完成させた後、畑を見に行くと言い、幻想的な風景の中、不意に帽子を投げると、その落下と共に畑に倒れ込み、息絶えます。

これは土と共に生き、土に還って行く表現のようですが、ネット上には

「なぜ帽子を投げるのだ天陽くんよ」

「天陽くんが倒れるシーンは綺麗でした。何で帽子を投げたのか、知らないけど」

「天陽くんがなんで麦わら帽子を投げたのかよくわからなかったんだけど、吉沢くんの演技がすばらしかったので、そういうものかと了解した。」

などのつぶやきも出ていました。

でも、一部では、幻想的な風景の中に馬が現れ、天陽を乗せて去る「フランダースの犬ならぬ馬」的シーンを予想する声もありましたので、そんなトンチキ展開にならず、悲しいながらもホッとしています。

それにしても、意味があるのかどうかわからないところも、勝手に深読みさせたり、妄想させたりしてしまう天陽の存在、そして吉沢亮の憂いと艶を帯びた演技力。それを改めて感じさせる「死」の表現でした。

<文/田幸和歌子>

【田幸和歌子】

ライター。特にドラマに詳しく、著書に『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』など

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