もう嫌だ!自分は「育児に向いていない」などのネガティブ思考をやめる方法

ウレぴあ総研

2019/9/5 06:30

SNSには、子どもとの毎日を楽しそうに綴るママたちの投稿がたくさん。その一方で、今、匿名ママたちのこんなつぶやきも共感を集めています。

「私は一人っ子。正直、子どもたちといる時間より一人の時間が何よりも好き」

「自分のペースを乱されるのがイヤ。自分のペースで動けないことがこれほどストレスとは思わなかった」

「子どもが可愛いと思えない。そんな自分がイヤになる」

ただでさえ、育児は慣れないことばかり。自分の時間もままならないバタバタの毎日の中で、もともとそれほど子ども好き、お世話好きではないママがネガティブ思考にとらわれながらも「もっと“ちゃんと”しなきゃ」と自分を責めるケースは、少なくないのです。

そんなネガティブ思考から脱却したい!苦手なことに向き合っている自分を否定したくない!

そこで、臨床心理士・上級教育カウンセラー・学会認定カウンセラーなどの資格を持ち、さまざまな悩みを持つ人々のカウンセリングを行ってきた明治大学文学部教授・諸富祥彦(もろとみ・よしひこ)先生に、ネガティブ思考を脱する方法をうかがいました。

■「そのままでいい。苦手なりに“ぼちぼち”やればいい」

――育児が苦手、わが子がかわいいと思えない…そんな思いを持ちながらも前を向くために、どう気持ちを切り替えていけばいいのでしょうか。

「まず『苦手でもいいんだ』と思うことです。苦手なものは誰にでもあります。それが私の場合はたまたま育児なんだ、と認識を変えるのです。

それは、あくまで“肯定”ではなく“受容”です。(ポジティブな意味が強い“肯定”に対し)“受容”とはただ『私は育児が苦手なんだ』とそのまま認めることです。たとえば、自分が右利きだと認めるようなもの。右利きだと認めるのにいちいち劣等感は持たないですよね。それと同じです」

――気持ちを上げるための言い訳を無理に見つける必要はないのですね。とはいえ、育児は毎日やっていかなければならないもの。『嫌だな』と思いながら向き合うのは居心地の悪い、苦しいものです。

「そのままでいいんです。『嫌だな』と思いながら続ければいいんです。僕のところに相談に来る方でも『自分の子どもがかわいいと思えない』という方が実はたくさんいます。その方たちに『自分の子どもなんだからかわいいはずです』『子どものいいところを見つけましょう』って言うから落ち込むんです。

そうではなくて、私は育児が苦手なんだとか、うちの子がかわいいと思えないんだということをそのまま認める。そして苦手なりに、かわいいと思えないなりに、“ぼちぼち”やればいいんです」

「たとえば、運動が苦手な子に『運動は楽しいよ、運動を好きになりなさい』と言うと余計落ち込む。運動が苦手でも、体育には出なきゃいけないでしょう?それならぼちぼちやろう、と思うじゃないですか。

暑いのが嫌だから死のうっていう人はいませんよね。エアコンをつけたりして何とか対処します。それと同じです。

運動が苦手だったり暑いのが苦手だったりするように、私は育児が苦手だし、子どもがかわいいと思えない。でもぼちぼちやろう、それなりに愛そうと。この“ぼちぼち”“それなり”が必要なんです」

――「苦手だと思っちゃいけない」と悩む必要はないんですね。

「ないですよ、苦手なんだもの。だから、言うとすれば『育児が苦手な人もたくさんいますよ、お子さんが可愛いと思えない方もたくさんいます。でも、みんなぼちぼちやっていますよ』ということです」

――「どうにかしなきゃいけない」と思うと逆に苦しくなる、ということですね。

「そうです。苦手なりにぼちぼちやるっていう姿勢がベストなんです」

■「ひとりの時間がほしい」は当然のこと!

――「自分のペースを乱されるのが苦痛」というママは少なくありません。未就園の子どもとの生活は非常に密なもので、ひとりの時間がとにかくなくて、ストレスを感じるママは多いです。

「それは当然のことです。ひとりの時間は絶対に必要ですよ。きちんと作った方がいい。

できるならご主人とご自分の生活リズムをずらし、どちらかが夜型、どちらかが朝型になってもらう。あるいは、実家のお母さんやお友達に協力してもらう。周囲の協力を得ることが難しければ、保育園や託児施設などプロの手を借りる。

お金を使ってでも、一人の時間は絶対に確保したほうがいいです」

――それでもイライラが抑えきれなくなってしまったら? 上手な気持ちの切り替え方を教えてください。

「イラっとしたら、まず物理的にその場を離れる。そして、気持ちが穏やかになったらまた戻って接する。これが子育ての大原則です。

実は、“感情”と“場所”はワンセット。その場にとどまったまま精神的に切り替えようとか、心がまえで切り替えようと思っても無理なんです。イライラしたら、1分でも30秒でもいいから、とにかく違う場所に行ってください」

――家の中で、例えば部屋のドアを閉めるだけでも効果はありますか?

「あります。ドアを閉めて完全に一人になれるトイレが一番いいですね。そのうえで、すぐにできる“アロマを使う”“紙を破る”“長く息を吐く/大声を出す”の3つの方法で気持ちを切り替えていきましょう」

■すぐにできる!イライラを押さえるアイデア

諸富先生がお勧めする、イライラしたときの対処法はこちらの4つ。

0:物理的にその場を離れる。気持ちを切り替えるための大原則!1分でもOK

そのうえで、以下の3つのどれかを試してみましょう。

  1. アロマを使う
  2. 紙を破る
  3. 長く息を吐く/大声を出す


■1.アロマを使う

「一番おすすめの方法は、アロマを使うこと。一番気持ちが切り替わりやすいですね。においには有無を言わせず気持ちを切り替える力があるんです。なんでもいいので自分の好みの香りを3種類ぐらい持っておくといいですね。そのときの気分で効果的な香りが違ってくることもありますから。

お店で売られている“リラックスする香り”など、用途や目的を限定していくと純粋に“自分の好きな香り”ではなくなってくるので、そういうものじゃない方がいいですね。自分の好き嫌いで選ぶのがベターです」

■2.紙を破る

「次にお勧めするのが、いらない紙を用意してビリビリと破くこと。子どもに対してのイライラがたまっているときは、まずその場から離れて一人になり、紙を破いてみてください。これは攻撃性の発揮で、破るという行為でイライラを逃してあげるイメージです」

■3.お腹から長く息を吐く/大声で叫ぶ

「もう一つは、腹式呼吸で長―く息を吐くことです。まずその場から離れて、1~2分かけてお腹の中の息を出しきります。

ロングブレスダイエットみたいに、ふーっと細く長い息を吐く。深呼吸では全然足りません。お腹の中の息を出し切るまで吐く。その間に気持ちが切り替わるんです。

あとは、人の目と音を遮断する空間、たとえば車の中に行って叫ぶのもいいですね。中途半端にやると気持ちが切り替わらなくて余計イライラすることがあるので、やるなら思いきり『ワーッ』とやるのがいいです。気持ちが切り替わりますよ」



「あなたが人生に絶望しても、人生があなたに絶望することは、けっしてありません」。著書でそんな温かいメッセージを発信する諸富先生。今回の取材でも、おだやかな口調で一貫して「誰にだって苦手はある」とおおらかに言葉を紡ぐ姿が印象的でした。

SNSが発達した現代、まわりを見れば子育て上手のママがたくさん。そんな中で自分を周囲と比べ、劣等感を覚えたり自分を責めたりしても、苦しいのは自分自身。

「嫌だなと思いながら“ぼちぼち”やればいい」、そんなゆったりとした気持ちで育児に向き合うことが、笑顔の子育てへのなによりの近道なのかもしれません。

【取材協力】諸富祥彦先生

明治大学文学部教授 教育学博士

日本トランスパーソナル学会会長、日本カウンセリング学会認定カウンセラー会理事、日本生徒指導学会理事。

諸富祥彦先生のホームページ

当記事はウレぴあ総研の提供記事です。

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