夫婦はそれぞれ不倫、息子は大荒れ…ズタズタの家族に言った夫の一言に涙

女子SPA!

2019/8/29 08:47

 何らかの事情で一度関係の壊れかけた夫婦でも、思わぬきっかけで再生することがあります。男女関係や不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、夫婦の“再生物語”をレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)

不思議な夫婦に出会った。カスミさん(47歳)とタカシさん(45歳)だ。結婚して17年、17歳と12歳の子どもがいる。ふたりはそれぞれに不倫をし、一時期は完全に離婚に向かっていたという。

◆先に浮気をしたのは夫

同じ会社の同じ部署で仕事をしていたカスミさんとタカシさん。仕事で互いに信頼関係を深め、あるとき一気に恋愛モードに入った。結果的には「できちゃった結婚」だったが、周りからも祝福され、本人たちも納得した上での結婚だった。

「結婚後、彼は異動になって勤務地も変わりました。私は出産ギリギリまで仕事をして育休もそこそこに仕事に戻ったんです」

仕事が好きだったせいもあるが、どうやらタカシさんよりカスミさんのほうが仕事ができるため会社からも期待されていたよう。結婚して7年たったころ、どことなく夫の様子がおかしいと気づく。

「下の子はまだ保育園だったし、夫とは協力しあって迎えに行ったり食事をさせたりしていたんですが、その約束を破るようになったんですよ。それとなく夫の部署を探ったけど、仕事はそれほど忙しいわけではないはず。とにかく家事も育児も分担しようと決めたんだからきちんとやって、とそのときは冷静に話しました」

◆浮気を指摘したら家出した夫

そんな中、夫が浮気をしているという噂が耳に入ってきた。相手は20代半ばの夫の部下だという。

「恋愛って燃え上がっているときに他人にとやかく言われてもどうにもならないでしょ。ただ、社内でこういう噂がたつのはよくない。だから夫に話しました。『バレないように、相手を傷つけないように』って。そうしたら夫が『カスミはいつだって、そうやって母親みたいにオレに指図する』と逆ギレ。そのまま家を出て行ってしまいました」

数日で夫は戻ったが、夫婦間には微妙な緊張感が続いた。それでも下の子の入学式には夫婦そろって出席、日常的な会話もするようになっていった。どうやら夫の浮気はいつの間にか終わっていたようだ。

◆自分も不倫にはまって……

上の子が中学に入ったころ、今度はカスミさんに恋が降ってきた。キャリアアップのため受講したセミナーで知り合った同世代の男性で、セミナー修了後も連絡を取り合い、徐々に親しくなっていった。

「たまに食事するだけの関係だったのに、ある日、どうしても別れがたくなって。それからお互いに恋しさが募って、毎日帰りがけに10分でもいいから会いたいという気持ちでした。代休をとって彼と1日中ホテルにいたこともあります。なんとか家庭には支障のないようにしたつもりだったけど、今度は私が家事育児で約束違反をしました」

恋しくてたまらず、夜中にリビングで泣いていたこともある。彼とはいっそ駆け落ちしようかという話にまでなったが、お互いに家庭を捨てることはできないと「正気に」戻った。そんな状態だから、もちろん夫も不信感を抱く。

「早く帰ると言いながら午前様になったことがあるんです。さすがに夫が怒りました。子どもたちもひとりで留守番できる年齢にはなっているけど、何かあったらどうするんだ、と。私は私で責められたことが悔しくて、自分だってとかつての夫の浮気の件を持ち出して大げんか。今度は私が家を飛び出してウィークリーマンションで10日ほど過ごしました」

ウィークリーマンションには毎日彼が来てくれた。だが、彼が泊まっていったのは1日だけ。これが不倫なんだ、とカスミさんは身にしみた。

◆息子が高校受験失敗で荒れた時、夫は

「家に戻ると上の息子が、『夫婦ゲンカもいいかげんにしてくれよな』って。子どもたちには心から謝りました。夫とは冷戦状態がずっと続きましたね。もう離婚したほうがいいのかなと思っていた」

不倫の彼とは一時期ほどの情熱ではなくなったが、まだお互いに恋しているし相手を必要としていた。家族で旅行をしても、夫と子どもたち、自分と子どもたちは意思疎通ができているが、夫と自分は心が離れている。そんな気がして楽しめない。いっそ離婚して子どもと3人で暮らしたほうがいいかもしれない。カスミさんの気持ちは徐々にそちらに傾いていく。ところが…。

「上の子が高校の入試に失敗してしまったんですよ。荒れて暴れて手がつけられなくなった。複雑な気持ちでいた夫と私のことを感じ取っていたんでしょうね。やり場のない気持ちを私たちにぶつけてきた。『こんなニセモノの家族なんて壊しちまえよ』と息子が言って夫に殴りかかったとき、夫はその手をバシッと受け止めて『愛情はニセモノじゃない』と言いきったんです」

息子はハッとしたようだった。夫は親だって完全、完璧ではない。いろいろ迷うし自分の人生で悩みもする。だけど「オレもおかあさんも、いつだっておまえたちを全力で愛してきた」と夫は力説した。

「高校受験を失敗したからって人生を失敗したわけではない。いくらだっていろいろな道がある、と私も必死に説得しました。あのころは毎日怒濤の日々でした。親対子どもたちのバトルがすさまじかった」

結果的に、息子は補欠繰り上がりでなんとか某私立校に入れたのだが、それでも親子バトルは終わらない。ついに春休み、夫は息子とふたり旅に出た。

◆いざという時、真剣に向き合ってくれたのは夫

「私は下の息子と過ごしました。夫は毎日、上の子の様子を知らせてくれて」

気づいたら、夫への信頼感がいつになく増していたという。

「2歳とはいえ年下だし、正直いって出世するようなタイプでもない。だから心のどこかで私は夫を下に見ていたのかもしれません。でも子どもに一大事があったとき、まっすぐ向き合ったのは私より夫だった」

夫と上の子が旅から帰ってきたとき、カスミさんは心から「お帰り」と言った。息子ははにかんだような表情を浮かべていたが、以来、親を罵倒するようなことはなくなった。旅の間、息子と夫の間でどういう会話がなされたのか詳細は知らない。

「子はかすがい、という言い方もできるかもしれないけど、あの時期、私は夫を再評価せざるを得なかった。いざというとき正しい判断ができる人なんだ、と。今までいろいろごめんね、と私は夫に言いました。夫はこちらこそごめん、と。『いろいろあるけど、とりあえずあと1年、夫婦をやってみない?』と夫が言い出したんです。1年ごとに見直していくのもいいんじゃないかって」

お互いの不倫については触れなかった。そこを突いても何にもならないとお互いにわかっているからだ。今の関係、これからのことを10年ぶりくらいゆっくり話した。あれから2年、カスミさんの不倫も終わった。

「恋と家庭を天秤にかけたわけじゃないんです。恋はいつか終わるものなんですよ。それだけのことだと思う」

夫も自分も、また恋をするかもしれない。そのときはそのときで、また対処していくしかない。結局、夫婦関係もナマモノなのだ。常に変化し続けていく。

「それがわかっただけでもよかったのかもしれない」

まだ再生途中だから、とカスミさんはクスッと笑った。

―夫婦再生物語 Vol.9―

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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