米国家運輸安全委員会のテスラ・モデルX事故の暫定報告書を読む

オートプルーブ

2019/8/12 12:00

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雑誌に載らない話

2018年3月23日の午前、カリフォルニア州マウンテンビュー(シリコンバレー付近)の高速道101号線で発生したテスラ「モデルX」による死亡事故については既報だが、この事故に関して、カリフォルニア州のハイウェイ・パトロール、カリフォルニア州交通局と国家運輸安全委員会(NTSB)が、2018年6月7日、国家運輸安全委員会(NTSB)が速報版レポートを発表した。※参考:テスラ モデルXが「オートパイロット」使用中に大事故 その背景と影響を考えるパスワード:x6vnay

この速報版レポートは、事故に関連する事実を明確化している一方で、原因、理由には踏み込んでいない。それは最終版に十分に盛り込まれるはずだ。では、以下で速報版レポートを読み込んでみよう。

■ECUからダウンロードされた事故車両のデータ2018年3月23日金曜日、太平洋夏時間の午前9時27分に、38歳のドライバーが乗っていた2017年型テスラ モデルX P100Dは、US高速道路101号線(カリフォルニア州サンタクララ郡のマウンテンビュー)を走行していた。 車両はUS101号線/インターステーツ高速道路(SH-85)のインターチェンジに接近した。車両は左から2番目の車線を走行していた。この車線は101号線のHOV車線であった。

(function () {var pa = document.createElement('script');pa.type = 'text/javascript';pa.charset = "utf-8";pa.async = true;pa.src = window.location.protocol + "//cdn.x-lift.jp/js/site/30996518.js";var s = document.getElementsByTagName('script')[0];s.parentNode.insertBefore(pa, s);})();googletag.cmd.push(function() {var slot = googletag.defineSlot('/62532913/p_autoprove_300x250_kiji2_20391', [300, 250], 'div-gpt-ad-1540274792174-0').addService(googletag.pubads());googletag.enableServices();flucttag.showDfpAd(slot);});HOV(ハイオキュパンシービークル)車線は、複数人が相乗りした車両の優先車線だが、ハイブリッド車、電気自動車など低エミッション車は相乗りでなくドライバー単独でも走行が許されている。

テスラ モデXのドライバーは、アップル社の社員プログラマー、ウォルター・フアン(Walter Huang)氏だった。事故車両のECUからダウンロードされたイベントデータによると、ドライバーは、ドライバーアシスト機能を使用(テスラの名称はオートパイロット)し、前車追従式のクルーズコントロールと車線維持支援機能付きのステアリングアシスト機能を使用していた。

車両が、 101号線のSH-85出口ランプからの走行車線を左に移動して合流のための三角ゾーンに入った。車両は三角ゾーンを走行し、以前に損傷したまま機能を喪失している緩衝用の減衰装置に約71mph(114km/h)の速度で衝突した。

なお緩衝用の減衰装置は、合流部のコンクリート製の中央分離壁の先端に設置されていた。 この道路区間の制限速度は65mph(105km/h)だった。ECUに記録されたデータによれば、アダプティブ・クルーズコントロールの設定速度は75mph(120km/h)に設定されていた。

緩衝用の減衰装置に衝突した車両は、2010年型のマツダ3と2017年型のアウディA4の2台を巻き込んで2次接触事故が発生した。

記録されたイベントデータでは、テスラのオートパイロットシステムは、衝突前の18分55秒間を含む合計32分間の走行時間の間に4回起動されていた。衝突前の最後の18分55秒間の区間では、ドライバーがステアリングホイールに触れることを促すための2回の警告表示と1回の警報音が鳴っている。これらのアラートは、クラッシュの15分前に行なわれていた。

クラッシュ前の60秒間には、3回ステアリングホイールにドライバーが触れたことが記録されており、手がステアリングホイールに触れていた合計時間は34秒間である。クラッシュ直前の最後の6秒間にはドライバーがステアリングホイールに触れていた記録はない。

クラッシュの8秒前に事故車両は先行車に追従して、約65mph(105km/h)で走行していた。そして、クラッシュの7秒前に、事故車は先行車に追従して左にステアリングが操舵されていた。またクラッシュの4秒前の時点で事故車は先行車両に追いついなかった。

クラッシュの3秒前から緩衝用の減衰装置の衝突に至るまでの間に、事故車の速度は62mph(100km/h)から70.8 mph(114km/h)に加速しておりし、プリクラッシュブレーキや自動ステアリング回避の動きは検出されなかった。

var microadCompass = microadCompass || {};microadCompass.queue = microadCompass.queue || [];microadCompass.queue.push({"spot": "2855f6f1517a0e35089113339090f10c"});googletag.cmd.push(function() {var slot = googletag.defineSlot('/62532913/p_autoprove_300x250_kiji2ndright_20391', [300, 250], 'div-gpt-ad-1540274856377-0').addService(googletag.pubads());googletag.enableServices();flucttag.showDfpAd(slot);});■■危険なEV車リチウムイオン・バッテリーからの発火衝突の瞬間に、テスラ モデルXの400Vの電圧を発生するリチウムイオン・バッテリーが破損し、そのため事故後に火災が発生した。その時ドライバーは運転席にシートベルトを締め座ったままの状態だった。 緊急停止した他の車両のドライバー達はテスラのドライバーが火炎に包まれる前にシートからドライバーを引っ張り出した。 ドライバーは地元の病院に運ばれたが死亡した。

事故に巻き込まれたマツダのドライバーは軽傷を負い、アウディのドライバーは無傷だった。現場を管轄するマウンテンビュー消防署は、炎上部分に約200ガロン(750L)の水と消火泡を約10分弱の間、車内と高電圧バッテリーの露出部分に放水して火災を消火した。またこの火災に関して テスラの技術者は高電圧の危険性と火災の安全性を判断するため技術的なサポートをした。

なおテスラは床下のアルミ製のフロアフレーム部に約3000本といわれる18650型(単3電池型)リチウムイオン・バッテリーを縦置きで格納したバッテリーパッケージになっており、事故車両の写真からも明らかのように多数の円筒形バッテリーが並んで露出されている。

冷却された後、事故車両はサンメテオにある車両保管場所に運ばれた。 事故の発生した高速道路は午後3時9分に通行が再開された。

その日の午後4時30分頃 、テスラ モデルXが運び込まれた車両保管エリアで、事故車のバッテリーから煙や弾ける音が発生した。 そのためバッテリー部は熱画像カメラで監視され、その一方で特別な消火活動は行なわれなかった。しかし事故の発生から5日後の3月28日に、このバッテリーが再燃した。そのためサンメテオ消防署が出動し火災消火を行なった。

事故車両が正面から衝突した緩衝用の減衰装置は、QMBバリア社のSCI緩衝減衰装置(アッテネーター・システム)だったが、2018年3月12日に、2010年型トヨタ・プリウスによる単独クラッシュで損傷を受けたままだった。そのため、本来の緩衝減衰装置の効果は得られなかった。

国家運輸安全委員会(NTSB)による速報版レポートは以上のように確認された事実だけをまとめているが、もちろんこの後はなぜこのような死亡事故に至ったかを調査・分析し、今後の教訓となる最終報告書として作成されることになっている。

またこのテスラの事故に先立つ2週間前にアリゾナ州で発生したUber社の自動運転実験車が引き起こした死亡事故の調査も国家運輸安全委員会(NTSB)が中心になって調査中だ。この件もこのテスラ モデルXの事故と合わせ、ドライバー支援システムや自動運転車の技術要件、法規制に大きな影響を与える可能性があり、今後も見守る必要がある。

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