『イソップの思うツボ』上田慎一郎監督×石川瑠華インタビュー 『カメ止め』の次はトリプル監督体制の意欲作

AbemaTIMES

2019/8/12 10:00



 『カメラを止めるな!』のクリエイターが再集結!今度もネタバレ厳禁、3組の家族が騙し合う予測不能のバトルロワイヤル映画『イソップの思うツボ』が8月16日(金)より公開される。脚本&監督はまさかのトリプル体制。上田慎一郎と、同作で助監督を担当し、AbemaTVで放送されたスピンオフ『ハリウッド大作戦!』の監督も務めた中泉裕矢、同作でスチールを担当した浅沼直也の3人で作り上げた意欲作だ。

今回AbemaTIMESは上田慎一郎監督と本作でヒロイン・亀田美羽を演じた石川瑠華にインタビューを実施。トリプル体制で映画作りはどのように進んだのか、そして新人・石川を抜擢した理由とは、公開を直前に控えた2人を直撃した。
三者三様の色を出した映画作り「ひいて見たときにはちゃんと1枚の絵になっているように」


ーー3年前から企画が始まったとお聞きしました。

上田監督:
3人が出会ったのが、2012年の7年前の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」。埼玉県と「SKIPシティ」が若手育成という名目のもと、2年に1回オムニバスの映画というのを作っていて、2015年に僕と浅沼さん、中泉さん、もう一人の監督で『4/猫 ねこぶんのよん』という独立した短編が4つ入った映画を撮ったんです。そのときに一緒に宣伝とかして意気投合して、それで「また一緒にやりたいね」っていう話になって。どこかの居酒屋で「またオムニバスの短編をそれぞれやるのはちょっとなあ」「長編とりますか」って半分冗談で話していたんですけど、それが現実になりました。
3年かかったのは、企画が固まるまでに2年かかったからです。3人で長編撮るにはどういうのがいいのか、っていうすったもんだが続いて。去年、僕が『カメ止め』で忙しかったこともあり、もうこの時期までに作らないとアカンというリミットの時期が近づいて、短期間で集中して作りました。2年間話し合ってきた時間があったので、短い制作期間の中で作れたんだと思います。

ーー最初想像していた話とはだいぶ変わりましたか?

上田監督:
そうですね。最初は1人の女性を10代、20代、30代に分けて撮って編集で繋げようかとか、ある青春グループの春夏秋冬を撮ろうかとか。でもそれだったらオムニバスっぽくなっちゃうから、1本ちゃんとしたストーリーがあるやつを撮って、それをMIXして編集したら、(3人監督というのは)世界的に見てもあまり例がない体制なので、そういった映画作りの体制そのものが、映画自体にどう影響を与えるのかということにも興味がありました。

ーー監督が3人いる現場はどんな感じでしたか?

石川:
全く想像ができず、もう現場に行くしかない!って感じだったんですけど、シーンごとに監督が変わるという感じでした。ただ最後に山小屋のシーンがあるんですけど、そこだけは皆さんいらっしゃいました。3人とも自分の言いたいことを言う(笑)。

上田監督:一応家族ごとに担当がいて、場面ごとに誰がやるって決めていたんです。でも、山小屋のシーンは全家族が入り乱れるので。

ーー上田監督はどの家族を担当されたんですか?

上田監督:
僕が兎草家で、中泉さんが亀田家、浅沼さんが戌井家となっていました。

ーーそう思って見ると面白いですね。

上田監督:
そうですね。ここは誰がメインで撮ったんだろうとか。

石川:でも、わたし、兎草家は上田監督の色が出ているなと思いました。

上田監督:……どういうこと?(笑)

石川:上田監督のシーンは笑えるんですよね。わたし、3回見たんですけど、3回目にはお客さんとして客観的に見れて笑えました。

上田監督:3人で揃えようというよりも、それぞれの色を出しているんです。浅沼さんがよく言いたがるんですけど、「はっきりと色を出して、ひいて見たときにはちゃんと1枚の絵になっているようにしようぜ」って。
石川瑠華をヒロインに抜擢した理由


ーーオーディションはどのような感じだったんですか?

上田監督:
オーディションにも3人の監督がいて、話し合いの元選んだんですけど。場面だけの台本を事前に渡していて、4、5人合同な感じでしたね。石川さんは井桁さんと一緒の組でしたね。すごく地味な格好で来たよね?(笑)TシャツにGパンみたいな。

石川:はい(笑)。台本を読んでいて、(兎草)早織は絶対にないと思って。(戌井)小柚か美羽だと。狙ってやりました。

上田監督:実はオーディションで瑠華ちゃんがいた組が終わったときに、「瑠華ちゃんよかったなー!」とか特別なっていなかったんです。でも、最終的にホワイトボードに書いていったときに、全員瑠華ちゃんの名前を書いていたんです。めちゃくちゃ華があるとか、めちゃくちゃ芝居が上手いとかを超えたなにかがあって、全員「この子は残しておこう」というのがあったんです。それで最終的にヒロインになった。

ーーオーディションの感触はありましたか?

石川:
そんなに感触はなくて「あ、終わった」みたいな感じでした。

ーー「カメ止め」の大ヒットにプレッシャーは感じませんでしたか?

石川:
そこにプレッシャーはあまり感じませんでした。見てもらえる人が増えてよかったと単純に思えました。

ーー監督は「今回もヒットさせないといけない!」とかプレッシャーはありませんでしたか?

上田監督:
制作に本格的に入ったのが、「カメ止め」がうわーってなってるときだったので、プレッシャーを感じている余裕がなかった。あと、プレッシャーや責任も3人で分け合えるところがあって良かったです。

ーー今回3家族には動物の名前が入っていますが、三者三様の「亀」「兎」「犬」というのは意識して演出されましたか?

上田監督:
歩き方とかを「もっと亀っぽく!」っていうのはありました。「亀はそんなに早く歩かない!」って。

石川:(笑)ありましたね!「亀っぽい!亀っぽい!」って褒められました。

上田監督:イメージカラーもあって。美羽は緑(カーキ)色の服を着ているし、早織は白い服を着ている。で後半になるにつれてどんどん汚れていく。あと、気づいていないような遊び心もたくさん入れているんです。最初の方に美羽が「わかめラーメン」を食べているんですけど、「わ」が見えないように置いて「かめラーメン」になっている、とか(笑)。そういうのがあるので、何度も見てみると楽しいかもしれません。
“やりたい”理由がはっきりしてくる トリプル体制のメリット


ーー石川さんは脚本を読んでどんなお話かとはわかっていたと思うんですけど、完成した映画を見て驚かれたことはありましたか?

石川:
ここ使われたんだとか、こっち使ったんだとかいうのはありました。最後のシーンはエンターテイメントに持っていったんだな、とか。

上田監督:あそこのさじ加減は編集段階でもぶつかりました。「あそこはもう少しハートフルに人間ドラマにするべきだ!」とか、「いやしっとりさせすぎじゃないか」とか。全員好みがバラバラだったので。

ーーどう着地させたんですか?

上田監督:
自分だったらこうするというのはあるんですけど、各々それを言って。自分が担当している場面については、自分が決定権を持って決めていこうとなったんですけど、山小屋のシーンは、議論して話し合いの末、ですね。1人で監督するときは「やりたい」だけでいけるんですけど、そうしたい理由を説明、プレゼンしないといけないから、なぜ自分がそうしたいかというのもはっきりと輪郭を帯びてくる。それがすごく良かった。納得いってないところが未だにあるんです。その納得いってないところが各々あるというのが、それがこの映画を作った意義というかこの映画の良さだと思います。自分の納得だけでできていないものを今回は信じてやりました。

ーー上田監督のらしさとらしくなさに注目してみます!楽しいお話ありがとうございました!








テキスト:堤茜子
写真:You Ishii

当記事はAbemaTIMESの提供記事です。

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