円の行方、ドルの行方 第198回 マーケットの舞台裏


マーケットの舞台裏を垣間見ると、また相場がおもしろくなるものです。
○月曜東京午前9時

8月1日に、トランプ大統領が対中制裁関税第4弾を発表して以来、リスク回避の円買いが強まり、特に8月5日月曜午前9時のドル/円の売り圧力には驚きでした。

106.50以下、結構買いがあったと思うのですが、全く引っかかることもなく下げ、下げ止まると今度は、戻りが弱く、安値圏に張りついていました。

これが意味するのは、要は、ロングの投げが相当出て、ロングが投げ終わるとスクエア(ポジションなし)になったため、反発力もなく、安値圏を維持したということです。

やはり、107.00~109.00近辺のレンジと見て、逆張りをしていたマーケット参加者が多かったものと思われます。

それが、よくあることですが、8月2日金曜日のニューヨーククローズが106.59となり、日足の実体(ロウソク足の寄り付きと引け値の間の太い部分)で、レンジを割り込んだことで、買い下がっていたビッグプレーヤー(相当大きくポジションを張っている大口投機筋)は、週末、考えた末に、これは切るしかないと結論を出したのだと思います。

そして、月曜9時の東京オープンを待ちました。

なぜなら、大口のロングを投げるとしたら、一番ドル/円の流動性が高い東京9時台に決行するのがベストだからです。

こういう大口の投げは、3大市場のオープニングの頃に出ることが多く、特に月曜の東京オープンで手仕舞ってくるケースは多いです。

最近こそ、それほど動かなくなった米雇用統計ですが、以前はやはり、思惑が外れた翌週月曜の東京のオープン前後で大々的に手仕舞ってくる例はよくありました。

唐突にドカンと今回の場合でいえば売ってきたら、そういう背景があると思ってまず間違いはありません。
○ショートスクイズ

ショートスクイズとは、ショート筋のポジションを損切らせようと買い上げる短期のトレーディングスタイルで、ロンドンオープン前後によく起きます。

そのメカニズムは、以下の通りです。

一般に東京では、輸出企業やオプション絡みの売りオーダーがよく見受けられます。

東京勢は、ある水準に売りオーダーがあるらしいとなると、その売りオーダーをつぶすことよりも、売りオーダーの手前で売って(壁にして売ると言います)、ちょっとでも下がったら利食いの買戻しをしようとします。

しかし、往々にして起きることは、これをやりすぎてしまうと、ショートポジションが積み上がってしまって下がらなくなります。

ロンドンが参戦してくると、彼らはそうした東京の習性を熟知していますので、東京勢が壁にして売ってショートになっていると嗅ぎつけると、その東京勢のショートポジションを潰しにかかり、あえて東京勢の心の支えにしている売りオーダーの手前を大きく買い、東京勢のショートポジションをスクイズ(崩し)しようとします。

そして、多くの場合、ロンドン勢に軍配が上がり、売りオーダーをこなされ、東京勢が万歳してショートを買戻しますが、依然としてショートポジションが残っているようなら、それでは終わらず、さらに延々と買い上げていきます。

しかし、やはり終わりはあって、通常、夏時間なら午後8時前後に利食いが出て、いったん小緩みます。

なぜ、この時間かと言えば、午後9時にニューヨークが参入してくるため、その前に、いったん利益を確定しようとするためです。

ただし、ニューヨークもさらにショートスクイズをしようとする時もあり、この時は、引き続き買い上げられることもあります。

尚、ニューヨークもショートスクイズに参入してきた時は、ニューヨーククローズまでには手仕舞ってくるのが一般的です。

この主にロンドン勢の手口が、ショートスクイズの典型的な動きで、頻繁に観測され、個人的には、東京勢ももう少し学習すれば良いのにと思っています。

○水上紀行(みずかみ のりゆき)

バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら。

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