【漢字トリビア】「話」の成り立ち物語

TOKYO FM+

2019/8/11 11:00

「漢字」、一文字一文字には、先人たちのどんな想いが込められているのか。時空を超えて、その成り立ちを探るTOKYO FMの「感じて、漢字の世界」。今日の漢字は「話」。「会話」「話題」の「話(ワ)」です。
(TOKYO FM「感じて、漢字の世界」2019年8月10日(土)放送より)



「話」という字の元の字は、ごんべん(言)」の右側に、「氏(うじ)」・「氏名」の「氏(シ)」と書き、その下に「口」と書きます。
この「氏(シ)」という字は象形文字で、取っ手のついた小さな刀の形を描いたもの。
これは、氏族が集まって宴を催すとき、祭祀で用いた肉を切り分けるための刀です。
その下の「口」という字は、神への祈りの言葉である祝詞を入れておく器。
この二文字を組みあわせた漢字が意味しているのは、小刀でその器を傷つけ、神への祈りの効果を失わせる様子だといわれています。
つまり「話す」という漢字には「他人を害することを言う」、「ののしる」「そしる」といった行為が示されているというのです。

会話や対話、話し合い。
人がその先に望むのは、共感すること、互いを理解しあうこと。
でも、すべての話が、そううまく作用するとは限りません。
話す行為の基本にあるのは、話し手が自分の想いを発すること。
それは、ときに相手の想いとの違いを浮き彫りにすることになります。
話の進め方や言葉の使い方次第では、他人を説得したり論破したり、追い込んだりすることにもなりかねません。
自分がしたい話をすることは、ときに、他人を傷つける。
だから、話をするときは慎重に、相手を慮ることを忘れずに。
「話す」という漢字には、自らを戒めようとするいにしえの人々の想いがこめられています。

今日の漢字は「話す」、「会話」「対話」の「話(ワ)」。

神への祈りの言葉を入れた器を小刀で傷つける様子を表す漢字で、単に話をする行為だけでなく、「他人を傷つける、ののしる、そしる」という意味も含んでいます。

何気なく話したことが、相手の心を刀で切り付けているかもしれない。
それを恐れてばかりいては、楽しい会話も、発見のある対話も生まれません。
時折「話す」という漢字のなりたちを思い出し、自分がした話を振り返り、失敗に気づいたら次に生かせばいいのです。

そしてできれば、あなたがあなた自身に話しかける言葉にもぜひ、気遣いを。
例えば、哲学者の池田晶子氏は、「言葉の力」というエッセイの中でこう、記しています。

―「人生なんてつまらない」と、いつも口にしている人が、自分の人生をつまらないものにしているのは、言葉も自分も大事にしていないからだ。

漢字は、三千年以上前の人々からのメッセージ。
その想いを受けとって、感じてみたら……。
ほら、今日一日が違って見えるはず。

*参考文献 
『常用字解(第二版)』(白川静/平凡社)
『家族に話して聞かせたい 心に寄り添う いい漢字』(向谷 匡史/青志社)
『暮らしの文藝 話しベタですが・・・』(河出書房新社)

8月17日(土)の放送では「呼」に込められた物語を紹介します。お楽しみに。


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<番組概要>
番組名:感じて、漢字の世界
放送エリア:TOKYO FMをはじめとする、JFN全国38局ネット
放送日時 :TOKYO FMは毎週土曜8:20~8:30(JFN各局の放送時間は番組Webサイトでご確認ください)
パーソナリティ:山根基世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/kanji/

当記事はTOKYO FM+の提供記事です。

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