年金はいくらもらえる? 「ねんきん定期便」の見方をFPが解説


老後生活資金の話題がメディアを賑わすようになってから数カ月が経ちました。あらためて将来の年金に関心を持った人も多いのではないでしょうか。自分がいくらの年金をもらえるかは、ある程度「ねんきん定期便」で見積もれるのを知っていますか? 老後のお金が不安……とモヤモヤする前に、ねんきん定期便をチェックしてみましょう。

○そもそも「ねんきん定期便」って?

ねんきん定期便とは、国民年金および厚生年金保険の加入者(被保険者)に対して日本年金機構から送られてくる、圧着式で見開きタイプのハガキのことです。開いた中には、これまでの年金保険料納付の実績や将来の年金給付に関する情報が記載されていますが、開かなければこれらの情報は見られないため、知らずに捨てている人もいるかもしれません。

ねんきん定期便は毎年、誕生月に届きますが、作成スケジュールの都合上、1日生まれの人は誕生月の前月に届きます。

なお、35歳、45歳、59歳の誕生月を「節目の年」として、見開きタイプのハガキに代えて封書が届くようになっています。その封書には、例年よりもより詳細な年金加入履歴などの情報が記載されています。
○ねんきん定期便の内容は? どこを見ればいい?

毎年届くハガキタイプも、節目に届く封書タイプも、これまでの年金加入履歴や将来の年金に関する給付などが記載されている大切な情報です。必ず目を通すようにしましょう。

とはいえ、ねんきん定期便を開いてみても、内容がよくわからないという声も聞きます。毎年少しずつ体裁が変わっていますし、そもそも年金の仕組み自体が難しいことも理由のひとつかもしれません。

記載されている内容すべてをしっかり見るのが理想ですが、まずは次の3つのポイントをおさえておきましょう。

1. これまでの加入期間
送られてきたねんきん定期便の作成日時点で、国民年金や厚生年金にどれくらい加入してきたのかが記載されています。

日本の公的年金制度は、原則20歳以上の日本に住む人全員がいずれかの年金に加入することになっています。例えば、学生時代は国民年金(第1号被保険者)、就職して厚生年金、退職して配偶者の扶養に入る(第3号被保険者)というケースでは、それぞれの加入月数およびすべてを合計した加入月数が記載されます。この合計月数のことを受給資格期間といい、将来、老齢年金を受け取るためには120月以上あることが必要です。

30歳未満の人は、まだ120月に満たないのが通常ですが、逆に30歳を超えているのに120月に満たない場合は年金履歴をあらためて確認してみましょう。過去に未納期間がある人は、社会保険事務所などで追納できないか確認してみるのもいいですね。

2. これまでの保険料納付額
これまで支払った年金保険料の累計額も確認しておきましょう。納付済み保険料も国民年金保険料(第1号被保険者期間)および、厚生年金保険料がそれぞれ記載されます。ただし、配偶者の扶養に入る第3号被保険者は保険料の納付は不要ですので、国民年金保険料納付額については第1号被保険者として払った分だけが記載されています。

なお、厚生年金の保険料は被保険者と事業主が半分ずつ負担することになっています。ねんきん定期便に記載されている納付額は、被保険者が負担した分のみの累計額が記載されます。

3. 将来の年金見込み額
そして何より、やっぱり一番気になるのが「将来、自分が年金をいくらもらえるのか」ということでしょう。ねんきん定期便を見れば、これまでの加入実績や保険料の納付状況から算出された将来の年金額が記載されています。必ず確認するようにしましょう。
○記載されている年金額に注意! 50歳未満と50歳以上では記載方法が違う

おそらく誰もが一番気になる将来の年金見込み額ですが、50歳未満の人の場合と、50歳以上の人の場合では、記載される年金額の計算基準が異なることも知っておきましょう。

・50歳未満の人
50歳未満の人の年金額は、「これまでの加入履歴」だけで計算した年金額が記載されます。例えば、33歳の人で、ねんきん定期便に記載されている受給資格期間が144月だとした場合、その144月中に払った保険料累計額に基づき計算されています。そのため、かなり少ない金額が記載されている場合もあり、ビックリしたり、ガッカリする人もいるかもしれません。

しかし、当然ながら今後の納付月数が増えれば、年金額も増えていきます。厚生年金は今後の報酬によっても年金額が変わっていきます。毎年、増えていく様子を期待しながら、ねんきん定期便が届くのを楽しみにしておくのもいいですね。

・50歳以上の人
50歳以上の人の年金額は、「現在の年金加入状態が60歳までそのまま続いたもの」として計算した金額が記載されます。つまり、50歳未満の人のように、ねんきん定期便作成時点の年金額ではなく、60歳までの見込みとして計算された年金額です。

例えば、51歳の人は、まだ保険料を払っていない9年分が加算されて計算されます。しかしながら、これには注意が必要です。

というのも、厚生年金は保険料納付月数および報酬額によって受け取れる年金額が決まります。ねんきん定期便が届いた時点から60歳までの間に報酬額が低下していく可能性もあります。また、60歳前に独立・退職して国民年金に切り替える人もいるでしょう。そうすると、ねんきん定期便に書かれている年金額をもらえると思っていたとしても、実際に受け取るときには年金額がより少なくなります。

逆に、継続雇用などで60歳以降も働く人が増えていますから、ねんきん定期便だけでは年金額が把握しきれないとも言えます。
○ねんきん定期便に合わせて活用したい「ねんきんネット」

ねんきん定期便は過去・現在の年金加入状況を確認し、将来の年金受け取り額を知るための便利なツールではありますが、日本年金機構が提供している「ねんきんネット」も併せてチェックするのがおすすめです。

ねんきんネットは、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも利用できるサービスで、郵送で届くねんきん定期便を電子版で閲覧できるほか、日本年金機構から郵送された各種通知書なども確認することができます。今まできちんと見ずに捨てていたという人には助かりますね。

なお、ねんきんネットで積極的に利用してみたいのが「年金見込額試算」です。現状での試算はもちろん、今後の給料やボーナスがいくら上がると年金額がどう変わるか、逆に下がるとどうなるか、何歳まで継続して年金に加入するかなど、自分でさまざまに条件を変えて年金額をシミュレーションすることも可能です。

50歳以上の人は、ねんきん定期便に記載されているよりも現実に近い年金額を把握できることになりますし、50歳未満の人にはこれからの収入アップを目指すモチベーションに繋がるかもしれません。

ねんきんネットを利用するためにはユーザIDとパスワードが必要です。日本年金機構が運営するサイトから利用登録の手続きをするようにしてください。

○著者プロフィール: 續恵美子

女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」認定ライターファイナンシャルプランナー(CFP)生命保険会社で15年働いた後、FPとしての独立を夢見て退職。その矢先に縁あり南フランスに住むことに――。夢と仕事とお金の良好な関係を保つことの厳しさを自ら体験。生きるうえで大切な夢とお金のことを伝えることをミッションとして、マネー記事の執筆や家計相談などで活動している。エフピーウーマンでは、女性のための無料マネーセミナー「お金のmanaVIVA(学び場)」を無料開講中!

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ