花火大会や海水浴場の落とし物がお宝に。メルカリに出品し小遣い稼ぎ

日刊SPA!

2019/8/10 08:50

 金や宝が眠っているのは山や海の底だけではない。ゴミの山、タンスの中、河川敷など都市や街に埋もれた“お宝”を目指してトレジャーハンターたちが奔走する。

◆街に眠る金やお宝をハントする!

’20年の東京五輪ではリサイクルした金、銀、銅からメダルを鋳造するというニュースが話題になったのは記憶に新しい。環境省の「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」によれば、金・銀・銅それぞれ1660個で計4980個。「金は約40㎏、銀は約4900㎏、銅は約3000㎏の原材料が必要」としている。

この「都市鉱山」とはいったい何なのか。簡単に言えば、廃棄された家電製品などに含まれるレアメタル(稀少金属)などを鉱山に見立て、それを回収するというものだ。金属関係会社勤務のY氏はこう説明する。

「携帯電話には、主にICなどに含まれる金、銀、銅のほか、コンデンサー部分にタンタル、セリウム、ランタンなど、モーターにネオジウム、タングステンなど、バッテリーにリチウム、コバルトなどのレアメタル、レアアース(希土類元素)が、それぞれ使用されています。金、銀、銅は電気分解や酸化作用によって比較的容易に取り出せますが、その他のレアメタルなどを経済的に捕集するには高い技術力が必要です」

都市鉱山に関しては、日本は世界有数の資源大国である。環境省によれば金の国内埋蔵量は6800tで、世界の埋蔵量の16%に相当する。現在、日本で唯一稼働している菱刈鉱山(鹿児島県)の産金量が236.2t、有名な佐渡金山(新潟県)で82.9tだから相当な量だ。1tの鉱石中に含まれる金属の含有量を示す値である「品位」も極めて高く、携帯電話1万台(約1t)から約280gの金が回収可能という。

「菱刈鉱山の平均品位は、金鉱石1tあたり31gですから、はるかに品位が高いと言えます。しかし1台1台の回収コストを考えると、買ったほうが安いかもしれません」(Y氏)

携帯電話に含まれる金は0.05g、ノートパソコンで0.3gにすぎない。しかも粉々に破砕して分別し、高温溶融炉でドロドロに溶かす必要があるため、素人が携帯の山を都市鉱山に見立てて、金脈を摑むことはさすがに難しい。だが、素人でも簡単に“金脈”に当たることもあるのだ。

◆バブル期に買われた金が高値で……

金相場の高騰を背景に貴金属買い取り店がここ数年、都内を中心に急増している。都内の買い取りショップ店主Kさんによれば、1gあたりの金価格は長らく2000円を下回っていたが、’06年以降ジワジワと上昇。’08年のリーマンショック後、さらに値を上げて’11年に4000円を突破。8月6日時点の小売価格で5437円をつけている。しかし、売買が活発になったのは金価格が上昇したからではないようだ。

「’80年代のバブル期に装飾品を買った世代が引退し、子や孫が譲り受ける。しかしデザインが古かったりで使いづらい。そういったことも売り出す理由のようです」

おばあちゃんからもらった金の指輪やタンスの中で眠っている金のネックレスなどが、思わぬ高値で買い取られる可能性は十分にある。灯台下暗し。“金脈”はすぐそこに眠っているのだ。

◆花火大会の後はお宝があちこちに

東京の金脈はこれだけではない。金ではないが、これからの季節はお宝を草むらで見つけることもできるという。会社員のNさんは、花火大会トレジャーハンターを自認する、この道20年のベテランだ。

「大学生の頃、多摩川の近くに住んでいて花火大会後に散歩していたら財布や携帯などが落ちていたんです。これは……と思い、すぐに懐中電灯を持っていったところ、携帯、財布、現金、ピアスやネックレスなどを拾いました」

警察に届けたところ、財布と携帯の持ち主が現れただけ。

「東京はいろんな花火大会がありますが、河川敷で行われる花火大会が一番いいですね。草の間に落ちたり、踏まれて泥だらけになったお札は、夜だとなかなか見分けがつかなくなるんです」

Nさんは現金だけで最高2万円近く拾ったこともあるという。だが、近年は運営組織が人を雇って清掃するなど、状況はやや厳しいようだ。では、もっと効率よくお宝をゲットできる方法はないだろうか。そのヒントを探るべく、記者は和歌山に飛んだ。

◆金属探知機を片手にうろつくアヤシイ男

和歌山県南紀白浜海岸を奇妙な機材を手に、歩き廻るグループがいる。彼らが担いでいるのは金属探知機だ。夏に海水浴客で賑わう白浜海岸はコイン、指輪、ネックレスなど「宝の山」だという。砂に埋もれた貴金属を金属探知機を駆使して効率よく収集する、現代のトレジャーハンティングなのだ。

ゲットしたお宝は、もちろん遺失物として警察に届け出て、3か月待って落とし主が現れなければ晴れて自分のものとなる。落とし主が現れることは、まずない。

難点は「アヤシイ」ことで、警察や警備員に職質されることもしばしば。しかし最近は「清掃ボランティア」と間違われ、「ご苦労さまです」と声をかけられることもたびたびだとか。探知機にヒットする半分以上は、空き缶や鉄くずで、それらはまとめてゴミ箱へ。お宝探しは社会貢献にもなっているのである。キャリアの長いAさんに話を聞いた。

「5年前に、酔っ払ったイキオイで、金属探知機を買っちゃったんです。数日後に荷物が届いて、『こんなの買ったっけ?』って。しばらく放置してたんですが、試しに近所の公園でやってみたら、江戸時代の古銭がザクザク出て……。すっかりハマっちゃいました」

そう言って笑うAさんの指には、シルバーの指輪がズラリ。もちろんすべて“お宝”である。

探知機でヒットする半分は鉄くずだが、残りの半分はコイン。稀にブランド物の指輪やネックレスが出てくる。文字通り「掘り出し物」である。これらの宝飾品は主にメルカリに出品するという。

Aさんによれば、真夏の週末、行楽客が押し寄せた直後が狙い目で「一日5000~7000円は稼げますよ」というから、ちょっとした小遣い稼ぎである。和歌山県の白浜海岸でこの成果ならば、人の多い東京や近郊の海岸ならもっと……。想像するだけでお台場や湘南の浜辺に飛んでいきたくなる。実際、Aさんたちが手にしている金属探知機も近年、売り上げが伸びている。北海道小樽市の輸入販売業者、MJDインターナショナルによれば、「定価は3万~45万円で、性能によって異なりますが、15万円程度のものが売れ筋です」とのこと。

タンス、河川敷、浜辺……お宝は、あなたの身近な意外な場所に眠っているのかもしれない。

◆東京・多摩川で砂金の採掘に挑戦!

多摩川で砂金が採れるのをご存じだろうか。調べてみると多摩川沿いの狛江や昭島、御嶽などの河原では、今でも砂金が採れるらしい。多摩川の源流には、かの「武田の隠し金山」があったとも言われている。そこで記者も試しに掘ってみることにした。場所は奥多摩湖の上流だ。

金は比重が鉄の約2倍、砂礫の6倍も重いので、水の中では真っ先に沈んでしまう。このため屈曲した川の内側や、流れが弱まった“トロ場”などの岩の下に溜まることが多いとされる。ここと覚しき大岩の下から土砂を掻き出し、水の中でパンニング(揺すって金を採る方法)する。すると比重の重い砂金は沈んでいく。上澄みの土砂を捨て、さらにパンニングをすれば砂鉄や砂クロームなど、比重の重い鉱物だけが残る。これを注意深く観察してみると……おお! あった! 小さな砂金が数粒、顔を出したではないか。

しかしここで冷静に考えてみる。土砂を掘り返す労働力、交通費、時給にすればたったの数円。これでは大赤字である。だが、清流の中で気持ちのよい汗をかいて金が手に入ることを考えれば、レジャーとしてはかなり楽しいはずである。もちろん国有地での砂金採掘は、管轄する都道府県の建設事務所に事前に届出る必要があるので注意しよう。

取材・文・撮影/中村茂大

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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