ウィスキー好きならチャレンジしたい「ボトラーズ」の魅力

日刊SPA!

2019/8/9 15:54

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

― 第59回 ―

一般的に、ウィスキーと言えば蒸留所が作って売っているブランドで認知され、オフィシャルボトルと呼ばれています。「マッカラン」や「アードベッグ」、「山崎」などがそうです。蒸留所名と同じブランドも多いですが、もちろん別名の商品を出していることもあります。

一方ボトラーズウイスキー(以下、ボトラーズ)は、ボトラー(瓶詰め業者)がまず蒸留所などから原酒を樽ごと買い、自社で瓶詰めして販売します。通常、オフィシャルのウイスキーは、味を統一させるために多数の樽を混ぜて作っています。同じ原酒を入れても、樽や置いてある場所、気候などによって年数を経るごとに大きく味がかわってくるためです。ボトラーはいろいろと試飲して、コレと判断した樽を購入します。

◆オフィシャルボトルにはないボトラーズの魅力は?

ボトラーズは、自分の好きなタイミングで瓶詰めをして販売できます。そのため、若いウイスキーを購入して、自社の倉庫で寝かせてから、長期熟成ものとして売ることができます。もちろん、蒸留所などから樽を購入し、そのまま瓶詰めして自社ブランドのボトラーズとして売ることもできます。複数の原酒をブレンドして、ブレンデッドウイスキーにすることも可能です。

倉庫で寝かせる際、樽を変えることもできます。ホワイトオークで12年熟成させたオフィシャルの樽を購入し、シェリー樽に移し替えて3年熟成させてから販売する、というのもありです。オフィシャルのウイスキーは加水してアルコール度数を43度前後に調整していますが、ボトラーズであれば樽出しで55~65度で販売することもできます。オフィシャルではあり得ない、味や熟成期間の製品を楽しめるのがボトラーズの大きな魅力です。

樽は大きさにより50~400本くらいの容量があり、どちらにせよほとんどが限定品になります。もちろん、レアなのですが、同年代のオフィシャルと比べるとそこまで価格が跳ね上がることもありません。ブランドによっては安くなっていることもあります。

例えば、筆者は結婚式で生まれ年のウイスキーをそれぞれの両親にプレゼントしました。しかし、1972年蒸留のオフィシャルシングルモルトウイスキーはとてつもない価格になっています。マッカランなら50万円くらいしてしまいそうです。しかし、ボトラーズであれば、微妙にマイナーなウイスキーの45年熟成であれば一桁万円で手に入ります。さらには、オフィシャルウイスキーをリリースしていない蒸留所のウイスキーを詰めたボトラーズもあります。

◆はじめてボトラーズを楽しむ際の注意点

ただし、味にはばらつきがあるので注意してください。オフィシャルのボウモアが好きなのであれば、同年代のボウモアは同じ味になります。しかし、ボトラーズは樽が異なれば同じ熟成年数でも、まったく異なる仕上がりになります。それがボトラーズの良さで、楽しみのツボなのです。

ウイスキーにこだわっているバーで好きな銘柄を注文すると、オフィシャル以外に違うブランドのウイスキーをオススメしてくれることがあります。これは同じ蒸留所のウイスキーをボトラーが詰めたボトラーズです。ほとんどのボトラーズは、どこの蒸留所のどのウイスキーで何年熟成しているのかをラベルに記載しています。一部、銘柄を隠しているケースがあり、そんな時はネットで調べたり味見したりして、元のウイスキーがなんなのかを当てる楽しみがあります。

ボトラーズブランドは世界中に数え切れないくらいあるのですが、「ゴードン&マクファイル」や「ウイリアム・ケイデンヘッド」「ダグラスレイン」などの老舗をはじめ、「ザ・スコッチモルトウイスキー・ソサエティ」「ブラックアダー」「シグナトリー」「キングスバリー」などの中堅などが人気です。もちろん、イギリスやスコットランド以外にもあります。

どのボトラーも樽の選び方や製品作りに特徴があり、味の方向性が異なります。ボトラーズは、元のウイスキーとボトラーと蒸留年、熟成年数、利用した樽、価格などを検討して、購入します。味は開けるまでわからないので、ギャンブル要素があります。いきなりボトルを買うのではなく、まずはバーで飲んでみることをオススメします。バーテンダーに聞けば、いろいろとオススメを出してくれるうえ、1杯から頼めるので手軽に楽しめます。

もし、次に訪れたバーにいつも飲んでいるウイスキーのボトラーズウイスキーがあったら、ぜひチャレンジして、違いを楽しんでください。

―[30代が知らないと恥ずかしい! 今さら聞けないお酒のキホン]―

【柳谷智宣】

お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2年前に海底熟成ウイスキーを扱う「トゥールビヨン」を立ち上げ、現在販売中

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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