灼熱地獄と超重力で崩壊寸前…ラグビー型につぶれた惑星の悲しき運命

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Image: Gizmodo US

地球も50億年後には、こうなるかも。

太陽系から遠く離れた宇宙に、ラグビーボール型につぶれてしまった惑星があるのをご存知でしょうか。ホットジュピター(灼熱巨大惑星)に分類されるこの太陽系外惑星は、あまりにも恒星に近い位置にあるため、その引力が強すぎてこんな形になっているんです。しかも、恒星からの熱を近距離からくらうので表面温度が超高温になり、普通なら星の大気にとどまっているはずの重金属ガスまでもが宇宙空間へと逃げ出しているのです。こんなことは、観測史上初だそうです。

先日、天文専門誌の『アストロノミカルジャーナル(The Astronomical Journal)』に掲載された論文によると、地球から約880光年離れたホットジュピター「WASP-121b」の大気から、鉄とマグネシウムのガスが放出されているんだとか。

WASP-121bは木星や土星と同じくガス惑星で、質量は木星の約1.8倍。地球の太陽に当たる恒星から約380万キロという、非常に近い距離にあり、1.275日で公転します。(ちなみに、太陽に一番近い水星でも、その距離は約5790万キロ。)恒星の強い重力に引っ張られて、WASP-121bは潮汐破壊という、崩壊状態に陥る寸前です。いや、大げさではなく、本当なんです。WASP-121bがゆがみ、ラグビーボールのようになっているのがその証拠です。
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Image: Gizmodo US
ハッブル宇宙望遠鏡からの観測イメージ

月の引力で、地球もほんの少し「ラグビーボール型」


今回発表された研究を指導した、メリーランド州ボルチモアにあるジョンズホプキンズ大学の天文学者、デビット・シング氏は米Gizmodoに対し、「一番わかりやすいたとえは、月の引力による海の潮の満ち引きです」と語っている。「地球の場合、海が月の重力に引っ張られ、月に最も近い位置にある海が月に向かって膨らみ、満潮を迎えます。逆に、地球の裏側にある場所では月の引力が弱く、海が月と反対方向に膨らみ、こちらもまた満潮になるわけです。そのため、地球の海洋システムも多少はゆがんでいて、ほんの少し「ラグビーボール型」になっています、と彼は言います。

WASP-121bでも、それと似たような現象が起きています。ただ、恒星に一番近い箇所は、通常より約10パーセントも膨らんでいるというので、かなりやばそうです。

あまりの高温で、鉄も宇宙に逃げ出す…


さらに、恒星からの強烈な恒星光が注ぐため、WASP-121bの表面温度は2200ケルビン(約1926℃)を超える、灼熱地獄。昨年の調査では、WASP-121bの温度が高すぎて、大気中の水分子も水素と酸素に分解されてしまっていることがわかっています。

今回のシング氏の研究で、上空の大気が過剰に熱せられて重金属のガスがWASP-121bから漏れ出ていることも明らかになりました。このような現象が実証されたのも、今回がはじめて。彼らの論文によると、大気の下層部にあったマグネシウム、そして鉄までもが上層に流れ込み、ガスの状態を維持したまま、軽い気体である水素とヘリウムガスに付着し、ともに宇宙へ逃げているというのです。

「これまでも、太陽系外惑星で金属ガスが大気から流出したケースも見つかっています」とシング氏は米Gizmodoに語りました。「しかし、これほどの高度で鉄が発見されたことは、大きな驚きでした」とも。

ハッブル宇宙望遠鏡で金属ガスの放出を観測


シング氏の研究グループは、ハッブル宇宙望遠鏡のイメージング分光器を使用し、近紫外線でマグネシウムと鉄のスペクトルを測定しました。地球から見て、地球外惑星が恒星の前を通過するタイミングで観測を行なう、トランジット法という手法です。WASP-121bは極端な条件がそろっているので、「本当に重金属ガスの流出があり得るのか」ということを確かめようとしたのです。

シング氏はハッブルのプレスリリースで、「重い物質の放出を見られるチャンスだと思いました。非常に高温で、観測しやすく、金属の放出を確認する絶好の条件だったのです」と述べています。「我々の主な対象はマグネシウムでしたが、大気に鉄の痕跡が見つかったケースもありましたので。この星は大きく、膨張していて、また重力が比較的弱いということも、金属ガスが漏出する一因になっていると考えられます。WASP-121bの大気は宇宙に放出され続けています」。

“近い将来”、消滅する運命に…


星の解析を行なっている間、シング氏らは測定値が恒星の影響を受けないよう、配慮しなければなりませんでした。幸い、彼らはNASAのトランジット系惑星探査衛星のデータにアクセスできたので、「恒星の活動状態について適切な制約を知ることができたので、それに対する反応と考えられる活動を除外することができました」とシング氏は米Gizmodoに語っています。

シング氏によると、WASP-121bSingは消滅する運命にあるといいます。このホットジュピターは、いずれ恒星によって木っ端みじんにされてしまうと考えられているのです。 彼は「現在、この星の寿命はあと1000万年ほどだと考えられています。天文学では、それほど長い時間ではありません」と述べています。「今後10年間、天文学者たちはゆっくりと衰退する惑星の軌道を、積極的に発見していきたいと思っています。そうすれば、WASP-121bの真の運命をもっとよく知ることができるでしょう」。

当記事はギズモード・ジャパンの提供記事です。

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