【直撃インタビュー 】艇王・植木通彦に聞いた「ボートレースを楽しむ方法」が目からウロコ! レジェンドの意外な真実まで明らかに…!!



ボートレースに興味あるけど、やったことないんだよなぁ~。意外とそういう人は多いのではないだろうか。かくいう記者(私)も、今年の2月に人生初のボートレースに10万円を握りしめて行くまでそう思っていたうちの1人。初心者でも楽しめるのか不安だったこと、そしてボートレース場はギスギスしたところじゃないかと足が向かなかったのだ。……しかし……だがしかし!

実際にボートレース場を訪れたらキッズコーナーやグルメも充実していて、まるでレジャー施設のよう。また行ってみたいな~と思っていたところ……な、な、な、なんと! この度、元ボートレーサーで現在ボートレースアンバサダーの植木通彦(うえき みちひこ)さんにインタビューする機会に恵まれた!

も、もちろん、ボートレース初心者の私でも知ってる……なにせ、漫画『モンキーターン』で主人公・羽多野の前に立ちはだかる榎木さんのモデルにもなった人物なのだから!!

・植木さんのプロフィール

1968年生まれの植木通彦さん(現在51歳)は「艇王」と謳われたレジェンド。現役時代は公営競技史上初の年間獲得賞金2億円を手にするなど大活躍。顔を75針も縫う大怪我を負いながら復活したことで「水を舞う不死鳥」とも呼ばれていた。

39歳という若さで引退すると、その後はボートレーサー養成所の所長、2018年5月からは「ボートレースアンバサダー」に就任。ボートレースの魅力をより多くの人に発信している。そんな植木さんの意外な真実まで明らかになるインタビューは以下の通り!

・植木さんへインタビュー
8月某日、ボートレース平和島で植木さんへのインタビューは実現した。まずは「インコースが有利」「モーターの善し悪しが重要」など、ボートレースを体験して感じたままのこと、そして「どこに注目したら楽しめるのか」を聞いてみた。

──実際に見るボートレースはモーター音やスピード感など、想像していたよりも遥かにスゴかったです。初心者のような質問(実際に初心者)で恐縮ですが、ボートレースはどこに注目して観戦したら楽しみが増すのでしょうか?

植木「ボートレースは6艇で走りますが、基本的には1コースが強いです。そこで注目したいのが3コース。なぜかというと、だいたい今のボートレースは “まくり” で攻めるのが3コースなんです。

強い1コースに対して3コースがどう攻めるのか。その攻防戦に注目してもらうと、レースの推理も面白くなると思います」

※まくり → 2~6コースからスタートした艇が、スピードを落とさず1周第1ターンマークで内の艇を外から抜いていき、その後も抜かれずにレースに勝つ戦法。

──全体やインコースを見ていましたが、まさか3コースに注目とは……。では、楽しみの1つに「予想」がありますが、モーターとペラ(プロペラ)で差がつくというのは本当でしょうか? 競馬であれば斤量1キロで1馬身の差が出るとも言われていますが。

植木「モーターは競馬でいうと馬ですね。モーターがよくないとプロペラを回せないですし、モーターの力は重要です。ただ、モーターは抽選で公平に決まるんですね。そこで注目するといいのがボートレーサーのクラス

上から順番にA1級・A2級・B1級・B2級とランクづけされているんですが、上に行けば行くほど悪いモーターを引いたとしても着順をとる──立て直す力があると見てもいいんじゃないかな。また、プロペラに関してはレーサーによってタイプが違うので、形は自分に合ったものとなりますね」

・体重差、新しいターンについて
何だか舟券が当たりそうな気がしてきた……というのはおいといて、続いてはボートレースの予想に関わる体重差やターン技術についても質問してみた。

──現在、ボートレーサーの体重は最低51キロ(女子は47キロ)と制限が設けられていますが、体重によって差はどれくらいつくものでしょう?

植木「僕の現役時代はオープンだったので、何キロまでっていう制限なかったです。ただ、今は51キロで皆がそこに向けて調整していますね。では体重差でどれくらい違うのかというと、正直なところ直線だけだとあまり変わりません。

差が出るのはターンです。体重差があれば加速とブレーキに違いが出るんですね。例えばトラックに荷物を積んでブレーキをかけたとします。やはり空の方がギュッと止まるじゃないですか。それと同じ原理。レーサーはターンする際、必ずブレーキをかけるので、周回を重ねると差が出てきます。

そして今のボートレースはレベルが上がっていて、重いととても対抗できない。レーサーの体重は、ほぼ55キロ以下ではないでしょうか。昔は60キロのレーサーとか普通にいましたけどね(笑)

──レースのレベルが上がっているのはモンキーターンを使っているからですね。主流となった今、中にはウィリーしているかのようなターン(ウィリーターン)をするレーサーもいますが、どう思われますか?

植木「意識してやったことはないんですが、実は僕も現役の時に自然とウィリーになったことはあると思います。というのも、モーターが押してくれるから艇の前が浮くんですね。そうすると、水面との接地面積が少なくなるのでグッと加速します。

ただし、モーターの力がないと振り込んでしまうのでレーサーのテクニックも必要だと思います。ウィリーをやる1つの条件に必ずモーターのパワーがないとできないことが挙げられます。パワーがないと、効果が半減する場合もあるかもしれません」

──ターンするにも、モーターが重要になってくるんですね……! もう1つ、足をクイッと天に向かって上げるスコーピオンターンの方はいかがでしょう?

植木「僕はやったことないので、言えることは怪我に気をつけてというか(笑)。でもレーサーもプロなのでやる意味、やる効果があるからこそやっていると思います。

ちなみにモンキーターンをやらなければいけない理由はあります。昔は正座をしたままターンしていたんですね。そしてモンキーターンと正座のままターンした3周回のタイムを比べたところ、約2秒も違った。ボートレースは1秒で20m進むので、40mもの差がついたんです。

転覆するリスクがあったものの、リスクをなくしてターンすればやる価値は間違いなくある。そういう背景があって、皆がやり始めたんです。もしスコーピオンがモンキーターンのように効果あるとなれば、やるレーサーも増えてくるかもしれません。ファンの方が喜んでくれるのはもちろん、期待に応えたいですからね」

・植木さんの意外な真実
──それではボートレースの魅力の1つ・スピードについてもお伺いします。ボートのスピードは時速80キロ、体感で120キロだと言われていますが、植木さんは実際にどのような感覚で乗られていましたか?

植木「特に速いと感じたことはないですね。ボートに乗っていると、周りが止まって見える時もありました。でも養成所に入ったときは怖かったですよ。もう、むちゃくちゃ速かったですし(笑)。これで本当に競走ができるようになるのかなと不安に思っていました。

ただ、レーサーになって自分の調子がいいと遅く感じることさえありました。先ほどお話したように、ボートは1秒で20m進むので0.1秒くらいの中で判断しなければいけないんですが、このタイミングでハンドルを切ったらあの場所に行けるというのは分かっていましたね

──えっ、そんな一瞬で!!

植木「一瞬の判断が遅れるとターンマークを50cm開けたり……レベルが上がるSG(スペシャル・グレード)クラスになると、0.1秒の判断が致命傷になります」

──コンマの世界……!! 日常生活にもいろいろ速い乗り物はありますが、ボートレースを何かに例えるならばジェットコースターとかでしょうか?

植木「う~ん、僕はジェットコースター乗れないんですよ(笑)。だって自分でブレーキかけられないじゃないですかぁ。過去に取材で乗ったことあるんですけど、まぁダメですね~」

──車ともまた違いますか?

植木「実は車も下手なんですよ(笑)酔いやすい体質ですし。決められた道がダメなのかなぁ。僕の経験だと、ボートレースはスリックカートに似ていますかね。昔、流行ったんです。ゴーカートとはまた違うんですが、滑りながらコーナーを回るところとか。

レーサー時代、地元の若松ボート場の近くにあったので、ボートの練習として皆で行っていました。ボートに通じるものがありましたが、今ではVRとかあるので、簡単に体感できるような時代にはなりましたよね」

──確かに! ボートレース戸田にもVRコーナーがあって、お客さんも体験できるようになっているのを見かけました。というか、レジェンドの植木さんでも乗り物酔いされるんですか!?

植木「ダメなんですよねぇ~、車も酔うし船も酔うんです(笑)」

──えっ、じゃあ実は現役時代にボートで酔ったことも……?

植木「ボートは風に当たるというか、酔う暇がなかったんですかね。船は自分で運転すると大丈夫なんですが、そうじゃないと10分で酔います。車も後部座席に乗るとダメですね。ボートだけは、酔うわけにはいかないっていうプレッシャーがあったから大丈夫だったのかなぁ(笑)」

・これからのボートレース

──これからのボートレースについて質問させてください。私自身、ボートレース場へ初めて行った時に驚きました。こんなにキレイなんだと。イメージしていたところとは違っていて、近年はCMもキャッチーですよね。

植木「ボートレース場はますますキレイになっていくと思いますよ。地域の皆さんに喜んでもらえるような施設にしていけたらと考えています。ボートレース場をテーマパークというかボートパーク化っていうのかな。今のように暑い時期、施設に行って涼んでいただくだけでもいいですし。

そこで会話も生まれますし、これから地域の皆さんがどんどん集まっていただけるような施設を目指しています。お子さんから年配まで、いろんな方が来やすいような環境にしていきたいです。レースを楽しむだけではない施設ですね」

──少し前までボートレースの魅力を知らなかった私が言うのも何ですが、現代のボートレース場を知らずにいる人はもったいない! それでは最後に、これからボートレースに興味を持っている方、現地へ行ったことがない方へメッセージをお願いします。

植木「ボートレースの魅力はレーサーだと思うんですね。自分の出身と同じなど、レーサーを応援して欲しいです。施設もキレイになっていますし。できたら1人ではなく、仲間と来てください。

そしてレースの推理を楽しんでもらって、美味しいご飯を食べてイイ1日を過ごしていただけたらと思います。こうじゃない、ああじゃないとレース推理の会話も面白いですよ。みんな自分がコメンテーターになれるから(笑)。新しいイベントなどもやっていますのでぜひ!」

参考リンク:ボートレース公式HP
イラスト・Report:原田たかし
Photo:RocketNews24.

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当記事はロケットニュース24の提供記事です。

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