なぜ「こんにちわ」は間違いとされるのか? 新連載「米光一成の表現道場」

エキレビ!

2019/8/7 08:00



こんにちわ。表現道場の米光一成である。
宣伝会議編集ライター養成講座即戦力コース、池袋コミュニティカレッジ「表現道場」、さらにnoteの「表現道場マガジン」などで道場主を務めている。


こんにちわ? こんにちは?
さて。
あいさつの時に使う「こんにちわ」。
口に出して言うときは「こんにちわ」である。
だが、書き記すときは「こんにちは」が正しいとされる。

なぜ「こんにちわ」が間違いとされるのか?
「こんにちは」はもともと「今日は、よいお天気ですね」といった挨拶の言葉を省略して、「こんにちは」としたもの。
「こんにちわ」の「わ」は、助詞の「は」である。
「私は、米光一成です」の「は」を「わ」と書かないように、「今日は、よいお天気ですね」の「は」を「わ」とは書かない。
助詞の「は」は「わ」と発音するが、「は」と書く。
だから、「こんにちわ」でなく「こんにちは」と書くのだ。


「あるいは」「とはいえ」
「こんばんわ」も同様。「こんばんは」が正しいとされる。
「あるいは」「とはいえ」等も、「わ」と発音するが「は」と書く。




「いまわの際」は「いまは」「いまわ」?
では、「いまわの際」はどうだろうか。
「いまわの際」は、臨終の時、死にぎわの意味。
「いまわ」は、元来「今は限り」であり、旧仮名では「いまは」と書く。
だが、今では、「いまはの際」と書かず「いまわの際」と書く。
「すわ一大事」「出るわ出るわ」「きれいだわ」なども、「は」と書くべきところだが、今や「わ」と書くのが慣例だ。

例外の例外の「わ」
仮名は、だいたい発音通りに記すのが原則である。
ところが一部例外がある。
表記の慣習を尊重して、発音と違えて書く。
そのうちのひとつが、「は」だ。
助詞の「は」は、いまや「わ」と発音するが「は」と表記する。
だが助詞として使う意識が薄れたものは、例外の例外として「は」と表記せず「わ」と表記する。
それが、「すわ一大事」「出るわ出るわ」「きれいだわ」などだ。

「こんにちわ」が正しい日が来るのか?
では、「こんにちは」はどうだろうか?
いま「こんにちは」と言うときに、「今日は、よいお天気ですね」の省略だと意識しているだろうか。
ほとんどの場合していないだろう。
「こんにちわ」という挨拶のひとかたまりの言葉として使っている。
であるならば、「こんにちわ」と表記してもいいのではないか。
少なくとも目くじら立てて間違いだと主張するよりも、許容したほうがいいだろう。
(テキスト:米光一成 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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