若者が芸能界に憧れるのは昔の話?暗い、怖いとのイメージも…箕輪厚介氏「事務所のシステムを変える時」

AbemaTIMES

2019/8/7 10:00



 「闇営業」「契約書なし」「給料未払い」「圧力疑惑」「パワハラ疑惑」「薬物使用」「不祥事」「過激なファン問題」。才能を持つ選ばれた存在であり、視聴者を楽しませ、夢を与えてくれるはずの芸能人のイメージを覆す問題が頻発している芸能界。


 街で聞いてみると「ブラックな感じのところが怖いなと思って」(学生・10代)、「黒いイメージがある」(会社員・20代)、「ドロドロしているというか。お金と欲望が渦巻く世界だなと感じている」(学生・10代)、「最近は結構問題が多くて、闇がある感じだなと思う」(学生・10代)と、やはりマイナスイメージを持つ若者は少なくないようだ。

それだけではない。「今、テレビって簡単に出られません?ちょっとでも名前が出たら、すぐインスタからテレビ出られる。バラエティとか」(学生・20代)と、YouTuberやインスタグラマー、フォロワーを抱える素人までもが芸能人を横並びになっていることを指摘する意見もあった。


 東京工業大学の北村匡平准教授は「もともとは能や歌舞伎など、"芸"に秀でた人たちの社会が芸能の世界だった。20世紀はテレビ、映画、ラジオといったメディアの中での活動が主だった。しかしインターネットが出てきて、2000年代後半になるとファンと直接つながって、そこからお金をもらえるインフラも整った。いきなり有名人になった素人を芸能人と呼ぶかどうかは別にして、2010年代に入ると活動の場が非常に細分化し、映画俳優だと演技、お笑い芸人だったら漫才などそれぞれの領域を越えた活動もより顕著に見られるようになってきた。また、タレントが声優やナレーションしたり、ドラマの番宣に俳優が駆り出されてバラエティに出たりするような、専門の芸よりも知名度やイメージによって起用されることも増える傾向にある。もちろんバラエティと映画の相乗効果や、ある意味でリスクヘッジにもなっているとは思うし、大衆の心理として、好きな俳優がバラエティ出演時に見せる素の姿を見たいというのもある。日本ではタレントという言葉を使うが、英語ではセレブリティ=著名人・有名人という意味に近くなってきている。単純に"俳優"とか"お笑い芸人"とは言えないようになっているのが今の芸能界だ。そして間に広告代理店やテレビ局、スポンサーなど色々なものが入れば入るほど、何かやらかすとスキャンダルになってしまう可能性が非常に高くなっている」と説明する。


 また、インフルエンサーやYouTuberが事務所に所属するという動きも珍しいものでは無くなった。幻冬舎の箕輪厚介氏は"芸能人"の基準について、「芸能プロダクションによって飼われているのか、それとも自分の意思決定で生きているかの差だ」と指摘する。

「作家もそうだが、"面白いものを書いているのに売れない""才能がない"という言い訳ができなくなったと思う。ブログやnote、Twitterなど、最初の一歩は自分で踏み出せるし、そうするべきだ。そして、ファンから直接お金をもらっているからこそ、どんなに叩かれようが、ファンが付いているから続けていける。もちろん何をやってもいい訳ではないが、イメージで一発アウト、にはならないということだ。例えばベッキーさんはイメージでやっていたので不倫騒動で干されてしまったが、川谷絵音さんがその間も活動を続けられたのは、彼の歌やライブが好きで応援していたファンがいたからで、代替不可能だったから。それが芸能プロダクションやテレビ局に飼われていて、イメージで仕事をしている人間は、ちょっとでも干そうという動きが出た時点で終わってしまう。そもそも芸人がスポンサーから金をもらって笑いをとっているというのは壮大なる茶番であって、例えば宮迫さんに直接ドームを満員にできるくらいのファンが付いていて、十分に面白ければ関係ないはずだ」。

続けて箕輪氏は「吉本の件も、吉本社内の問題だとは思わない。芸能界全体の問題というか、システムの話だ。芸人さんたちが"ギャラが安い"と吠えているが、納得して入ったんでしょう?と思う。でも、サラリーマンが"俺はもっと稼げる"と思って転職するように、事務所を簡単に移籍することが芸能人はできない。なぜなら、"潰す"ということが公然と行われているからだ。この現代社会で、"芸能人だからしょうがないよね"と言うのは気持ち悪いし、指摘するとみんなピリピリする。これ、マジで令和か?と思う。加藤さんは辞めるのを辞めたらダメだ。今しかない。でも、僕は単に芸能事務所を批判したいわけではなく、昔は良いシステムだったかもしれないが、今の時代や日本に合うシステムに変えないといけないのではないかと言いたい。本当に一握りしかスターにならないし、そのためにコストがかかるというのはスポーツも同じだ。だから移籍させた時に育てた人が儲かるという仕組みににしないといけない」と問題提起した。


 マルチタレントのはましゃかは「ある事務所の社長さんに、ブログの文章が過激だし、恋愛の話とかは書かないでくれるんだったら所属してもいいよ、と言われたこともあった。でも私はそういう表現ありきでやってるから、フリーでやることにした。でも、役者をやってみたいという希望もある。ただ、大きな事務所に所属していないと受けられないオーディションもあったりするので、そこは難しい部分だと思う」と明かす。

芸能関係の問題に詳しい佐藤大和弁護士は「今までテレビ、メディアではこういった発言ができなかったという実情があった。それがここ1年くらい、公正取引委員会が"芸能界は少しおかしくない?色々な問題があるのではない?"とようやく切り込んできた。大きな一歩ではないかと考えている」と話す。

「YouTuberもインスタグラマーも、最近では事務所に所属する傾向が強くなっている。もちろん事務所には育成能力や営業力があるので、個人事業主である芸能人との調和もできると思うが、一方で契約トラブルや移籍トラブルも起きている。やはり自由な競争ができないのが今の芸能界の最大の問題だ。実際、移籍や芸名トラブルで出演できなくなってしまった人は多いし、視聴者もそれは分かっている。この問題を解決するためには立法も必要だと思うし、当事者が立ち上がる必要があると思う。移籍金の話についても具体的に詰めていく段階だと思う」。

さらに箕輪氏は「こんなことを言っていいのか分からないが、出演者たちの言っていることがCM中と本番で違うことがある。そこでCM中のノリで喋るから僕は炎上するが、そうやって茶化しに来る奴が出られなくなってしまえば、テレビは本当に茶番だけになって、政治のように若者にとって面倒くさくてリアリティがないものになってしまう。昔だったらこんな話をするだけで潰されていたと思うが、今変えることで色々なことが変わると思うので、切り込みたいと思っている。ただ、根深いのは誰も悪くないこと。昔からの付き合いとか、気の利いた奴の先回りした忖度が問題だ」とも訴えた。


 佐藤弁護士は「その通りで、人間関係や信用、慣習でやってきたのが今の芸能界だ。ここに法律を入れて、契約文化を作ってぶち壊したい。私はこの問題を2014年からやっているが、当時は事務所側の弁護士だけが育っていて、芸能人側の弁護士が育っていなかった。だから本人(芸能人)たちにも権利意識がないし、表現の自由が制限されていたり、被害を受けたりすることも受け入れてしまっていた。そういうことを忖度なく言うことが大事だと思っているし、いつ干されてもいいと思ってテレビに出演している。芸能界を本気で変えるなら、芸能人の権利を扱っている弁護士がテレビ局に忖度して発言しなかったら全く意味がない」と強調。北村氏も「日本ではテレビ局と大手芸能プロダクションが市場を独占し過ぎた歴史がある。それを抜本的に変えなければ、封建的な体制はなくならない」と指摘した。


 ZOZO執行役員の田端信太郎氏は「テレビはいわば"中二階"だ」と話す。「真面目に働いている一般の人からしたら、俺らができないようなことをやらかして、日頃のストレスをスッキリさせてくれるのが芸能人だと思う。それなのに最近ではテレビカメラの前で頭をペコペコ下げさせられるとか、バカじゃないのと、夢も希望もないと思う。俺とか箕輪さんの方がよっぽど自由だなと感じる。事務所に所属する、契約するというが、日本以外のエンタメの世界では、演者やクリエイターがエージェントを雇うのが業界標準だ。エージェントに対して"お前クビ"と言えるのが演者であって、日本ではそれが逆転している。本来、そのくらいの強い個が無いのであれば芸能界にこなくていい」とコメントしていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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