令和に知っておくべき、新時代のお金のはなし - FPが解説


令和の始まりは新しい出来事でした。それまで突然新しい元号に変わってきたのに対して、新しい時代を迎える心の準備もでき、時代の幕開けを意識したと思います。

しかし、見渡せば決して明るい話題ばかりではありません。問題山積み感の方が強いかもしれません。そうした中、一般家庭の家計にも関わる様々な法案改正について、令和の時代を考えてみましょう。

○悪いことだけではない消費税増税

税収アップが必須の国の経済状況であれば、消費税増税もやむをえないことであったとしても、増税は、本当に家計に響きます。特にリタイア世代には、収入が少ないだけにその影響は大きくなります。

しかし、消費税の増税は長い目で見れば、悪いことばかりではありません。源泉徴収されるサラリーマンの重税が問題視されて久しいですが、少なくとも消費税は国民等しく課税されるからです。

私が住宅の営業をしていた時、お客さまにはサラリーマンもいれば自営業の方もいらっしゃりました。ローンを組んだりする上で、お客様の年収等は把握する必要があります。大卒の初任給程度しか所得申告をしていない自営業の方が、一般的な価格の5割増しから倍の価格の住まいを建築するのを見ると、納得のいかない気分になったものです。

また、これからは共働きが普通になっていくと思われますが、現在専業主婦は多岐にわたり優遇されています。特別なケースを除いて余裕があるから専業主婦でいられるはずですので、優遇措置が適切かどうかは疑問です。そうしたケースを考えると、国民等しく課税される消費税は、税の公平性は高まる側面があります。

できうるなら、生きていく上での最小限の基本的食材(例:穀物とその粉、基本的調味料5種くらい、切り身でない小魚、一定価格以下の肉、地場野菜など)は無税にし、残りに課税するくらいのメリハリがほしいと思っています。沿岸でとれた通常捨てられてしまう雑魚や繁殖しすぎている今は食べられなくなってしまった厄介者の魚類などを無税にすれば、問題解消にもつながるように思われます。
○「働き方」改革関連法と令和の時代

働き方改革関連法は以下の3つの柱となっています。
①時間外労働の上限規制
②年次有給休暇の確実な取得
③正社員と非正規社員の間の不合理な待遇さの禁止

時間外労働の上限規制と年次有給休暇の確実な取得は、ワークシェアリングからも大いに望ましいことだと思います。私自身は130時間を超える残業もありましたが、何ら強制されることもなく、よい経験だったとは思います。タイムカードが必要な働き方はほとんどなかったのも幸いでした。それでも大きな枠で考えれば、適切な働き方の仕組みは重要な課題でしょう。

非正規社員の待遇改善も当然です。ただし、そもそも最初からパートとして短時間働くことを望んでいる方々は別として、多くが正社員として働いていた時代に、「多様な働き方の推進」と称して、企業に忖度して契約社員や派遣社員としての働き方を推進してきたのは政府です。

今回の改革も待遇差は禁止されても、本来の問題が解決されたわけではありません。ワークシェアリングの問題も、働きたくても子供を預ける保育園に入園できなければ、そもそも働くことすらできません。
○保育料無償化

子育て世代の方々はどういう意見なのでしょうか。小さな子供を抱えて働いている方には確かに保育料の無償化は助かるかもしれませんが、そもそも保育所も不足している中、個人的には税の配分としては若干疑問に思っています。

どうしても働かざるを得ない家庭で、かつ収入の少ない(住民税非課税世帯等)場合に対して、利用料を無償化することは必要です。しかし短絡的に幼稚園・保育園の利用料を無償化するのは、いくらか疑問です。

世界的に見ても、国内においても、女性の就業率が高い国や県ほど出生率も高いのです。OECDの統計値を厚生労働省がグラフにしたものを見たことが有りますが、女性の就業率も出生率も高いグループとその反対のグループに完全二極化していました。就業率も出生率も低い国のグループは経済的に低迷している国であるという事実は、よく考える必要があります。

少子化を改善するには、まず働く環境を整えることが先決のように思います。子供を安心して預けるところがあり、安心して働けるところがあり、二馬力で働いていれば、ありがたいには違いがないでしょうが、無償化はさほど重要ではないと思います。

さらに少子化が本当に問題なのかもきちんと議論されているようには思えません。日本の国土からすると6,000万人程度が適当だという説もあるくらいです。どのような支援も原資は税金です。小手先の政策で納得せずに、広く問題を考えるのが令和の時代のように思います。
○相続法改正とその施行日

今回の相続法改正は様々な範囲に及びますが、その中で我々の生活に直接結びつく項目をピックアップしてみましょう。

①自筆証書遺言の方式緩和 2019年1月13日(施行済み)
それまで全文を自分で書く必要がありましたが、財産目録についてはパソコンで作成したり、預金通帳のコピーを添付したりすることが認められ、作りやすくなりました。

②下記の改正相続法の原則的施行日 2019年7月1日(施行済み)
遺留分制度の見直し…遺留分を侵害された者は、遺贈や贈与を受けた者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の請求をすることができるようになります。また、遺贈や贈与を受けた者が金銭を直ちに準備することができない場合には,裁判所に対し、支払期限の猶予を求めることができます。被相続人が行っていた事業を特定の相続人等に一括相続させることによって、円滑な事業継承を可能にすることができます。

特別寄与料の請求…例えば妻が夫の父母等を介護したケースなど、本来相続権のない非相続人である妻から一定の要件のもと、相続人に対する相当額の金銭の請求を認めることとしました。

遺産分割前の預貯金の払い戻し制度の創設…預貯金の一定割合は家庭裁判所の判断を経ずに、法定相続人単独でも上限を設けて払い戻しが受けられることになりました。

夫婦間で居住用不動産の贈与などの優遇措置…婚姻期間20年以上連れ添った夫婦において、居住用不動産(自宅)の贈与等をした場合には、遺産分割の際に、その贈与された不動産を遺産分割の対象となる遺産価額には含めない「持戻し免除の意思表示」があったものと法律上推定し、贈与等を受けた配偶者の最終的な取り分を多く確保することとしました。

③配偶者居住権・配偶者短期居住権 2020年4月1日
亡くなった方の家に住んでいた配偶者は、遺産分割で配偶者居住権を取得することで、その建物に住み続けることが可能になります。日本人の財産の大部分は居住用資産が占めています。それを法定相続分通りに配分すると、配偶者は住まいを売却して分けなければならなくなる場合があります。新な住まいを購入できる分が残ればまだよいのですが、そうでなければ配偶者は路頭に迷うことになりかねません。

④遺言書保管法の制度創設 2020年7月1日
紛失などの問題があった自筆証書遺言を法務局が保管する制度がスタートします。

今回の相続税の改正はいずれも実情に合わせた改正点だと思います。今まで相続が争続になりがちだった点を改善しています。

○■著者プロフィール: 佐藤章子

一級建築士・ファイナンシャルプランナー(CFP(R)・一級FP技能士)。建設会社や住宅メーカーで設計・商品開発・不動産活用などに従事。2001年に住まいと暮らしのコンサルタント事務所を開業。技術面・経済面双方から住まいづくりをアドバイス。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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