西沢幸奏が”EXiNA”になった理由 変化を求める心の行き先はー 再始動後初インタビュー

SPICE

2019/8/6 19:00


衝撃の再始動である。2015年に高校生でデビューを果たした西沢幸奏が、新たに立ち上げたソロ・プロジェクト"EXiNA"(読み:イグジーナ)。自身の名前、"XIENA(シエナ)"のアナグラムであるこの名前を引っさげ、8月21日にはミニ・アルバム『XiX』をリリース、既に収録曲「EQ」「KATANA」が先行配信されている。8月25日にはお披露目となるライヴの開催も決定している彼女は、なぜここまで劇的にサウンドとビジュアルを変えてきたのか、まだ謎に包まれているEXiNAを知りたくて話を聞きに向かった。

――EXiNAであり、でも西沢幸奏でもある今、なんとお呼びすればいいのか……。

そうですよね(笑)。 そこをどこでどう分けるかっていうのはまだ自分でもちゃんと決めてないんですよ。

――では、「西沢幸奏から」というところでお聞きできればと思います、SPICEでは一昨年にドラゴンクエスト×リアル脱出ゲームの企画に出ていただいた以来です。

そんな前ですか! そりゃ私も変わりますね。

――今回EXiNAという形を発表されましたが、どういう経緯でこの形になったかのかをご本人の口からお聞きできれば。

そこは皆さん気になっているところだと思うので、話さないといけないなと思っているんですけど、私がこういうふうに動いたきっかけはそんなに凄いものではないんです。ただ変わりたかったし現状を変えたかったんです。それを全力で行動に移せたっていうことが大きくて。今こういう形になっていることが自分でもちょっとビックリしているくらいなんですけど(笑)。 なのでこう、皆さんが求めているような「こうだからこうなんです!」という答えは実はあんまり強く言えないんですよね。

――今回プロジェクトが変わって、SACRA MUSICの所属という形になって新たな出発という形ですが、ビジュアルもビックリするくらい変わりましたね。

お、ビックリしました?

――そうですね。かなり中二病感あふれるというと失礼かもしれませんが。

あはは!(笑)。ありがとうございます。


――コンセプト的なものはあるんですか?

なんか、ビックリさせたかったんですよね。出したかったものはインパクトなんで、今みたいな言葉が一番の誉め言葉ですね。「なんだこれ!?」とか「ビックリ!」みたいな感動を与えられるような人になりたいし、今回のビジュアルはそこを前面に出したっていう感じですかね。

――自分の意見が反映されている感じなんですか?

比重でいうと、人からの意見のほうが大きかったですね。

――提案があって、という。

そうですね、漠然とビックリさせたいみたいなものは自分にもあったんですけど、今回私はビジュアルに関しては人からの意見を大事にしていきたいなと思っていて。だからそこは新しいSACRA MUSICとの出会いがあって。新たなスタッフの皆さんと意見を出し合って今回のビジュアルは作りましたね。

――どういう提案をされたとか、どういう形でEXiNAというソロプロジェクトを見せて行こうという話し合いをしたのかを聞きたいと思うんですが。

本当にいろんな話し合いはしましたね。まず最初に当然ですけど私には過去があるので。“西沢幸奏”というしっかりと活動していた時期があるから。そことどういう風に兼ね合いをやっていくのかっていうのは大人としてみんなで考えなきゃいけないところだったので、そこはすごい時間をかけて考えていったし、なかなかその結論っていうのはビシッと出るものではなかったですね。

――自分のなかでもすぐ結論が出るものではなかった?

それはそうですねえ……。「この間はこう言ったけど、こうがいいんじゃないかなって今は思うんだよね」っていうのが毎回みんなから出るくらい、答えが出ない状態での話し合いが何回もあったので。私もそれを聞く度に「じゃあそうなのかな」って考えが変わっていったし、常に探り探りな感じでした。

「Electric Queen is back」は西沢幸奏の怒りの具現化である

――実際に今、世に出ているのは「EQ」という楽曲です。西沢幸奏というアーティストは楽曲も活動もどんどんソリッドになっていっている印象があったんですよ。そこでこの「EQ」をぶつけてきた。一発目にすごい楽曲を持ってきましたね。

ありがとうございます。

――単純にデジロックと言ってしまっていいのかと思うくらいの激しさです。



私たちは音楽をやっているからジャンルというものを、なんとか言葉にして「じゃあほかと比較したらミクスチャーデジロックなのかな?」とか言えるけど、それが正解かはわからない。音楽を普段聴くだけですよっていう方々はマジで言い切れないと思います。「たぶんロック?」みたいな(笑)。

――実際に楽曲が来たときはどうでした?

この曲はエピソードがいろいろあってですね。まずメロディが、歌のメロディラインがまったくない状態でいただいて。「こんなんだよ」って聴かされたんです。そのときの印象は本当に「なんじゃこりゃ」で(笑)。今はメロディがある状態だけど、バックトラックだけになると「ここにメロディが乗るの?」みたいな印象だったんですよ。想像がつかないというか。

――メロなしでこれを渡されるのはそれは、凄いですね(笑)。

そんな状態で「これ適当に歌ってみて」って言われて(笑)。 できるかな?っていう不安な感じだったんですけど、そこから試行錯誤を繰り返して、なんとかこう自分のなかでメロディができていって……かなりクリエイティブな時間でしたね。

――最初から決め込んで歌うというよりは、自由にやってみて、という感じなんですね。

はい。EXiNAの制作現場にはそういう自由さが凄くあります。「適当に歌ってみてよ」は流石に初めてでしたね(笑)。

――まあそうですよね(笑)。「適当に歌ってみてよ」はあんまりないですよね。

でもそれってすごいうれしいんですよね。1アーティストとして見てくれているなっていう感じがして。制作のときも「音楽やってるな!」って毎回かみしめられるし、めっちゃ楽しいです。

――なんていうか、圧迫されていた思いを爆発させてたたきつけているような印象があったんですよね。

ああ…そうですよね。とくにサビとかは私も感情を爆発せざるを得ないというか、歌っているときはエモかったですね。

――まずはフルボリュームでEXiNAはやっていくぞ!っていう表明的なものを感じたんです。

そうなんですよ。西沢幸奏からEXiNAに活動名が変わって、やっていきますよって発表するときにぬるっと変わるのって良くないなと思って。せっかくだからインパクトをもってドーンと出したいし、という意味でのビジュアルでもあったんですけど。「EQ」はサウンド面でもとにかくもう1発目ドカンとしたものを打ち放ちたいというEXiNAチーム全員の想いが思いっきし込められている曲ですね。すごいこだわりました、細部まで。

――ここは話せるぞっていうところはあります?

この曲の歌詞は、ものすごく時間をかけて作ったんです。「Electric Queen is back」っていうのがサビにドーンとくるんですけど、これが私の、西沢幸奏の怒りの具現化なんですよ。

――怒り!?

そうなんですよ。最初に一聴しただけじゃ「Electric Queen is back」って「えっ意味がわからない」ってなる方もいらっしゃると思うんですけど、私のなかでは「Electric Queen」は自分の怒りの具現化であり、ちゃんとそのストーリーもあって、でもこれを読んだだけじゃちょっと難しいでしょ?みたいなニヤっとする気持ちがあって。わからない面白さっていうか。

――込められたものは多い。

はい。

――ということは、EXiNAというものには、西沢幸奏の中には怒りがあると。

そうですね……常にイライラしているわけではないんですけど(笑)。「自分の意思を気づいたら出せなくなっちゃった」っていう経験がみんなあると思うんです。その自分の意思を出せなくなっちゃっていた人たちに、「このままじゃダメだよね?」っていうメッセージを曲に込めたんです。

――それが西沢幸奏の中にある怒りにつながっている?

私も同じ経験があって。それをもっと上手くたとえてみたいと思ったときに、ロボット、マシーンっていうのを思いついたんですけど、それじゃなにか足りない。この迫力にはちょっと負けちゃうなと思った時に浮かんだのが電気の女王。エレクトリッククイーンというものなんです。何か、私の中でその言葉を聞いただけでラスボス感というか。ビリビリってエレクトリッククイーンの周りに電気がほとばしっているイメージが湧いて、ものすごい力のあるものという感じがするんです。それくらいの怒りなんだぞっていうのを表現できたかなと思っています。

今までのファンが受け入れられないかもしれないのは覚悟している

――実際にビジュアルを発表して、こういうふうにやるというのを出して、曲を配信して。SNSとかの反応もご覧になりました?

見ました。

――やっぱり気になっちゃいますか?

いつもしないようにしているんですけど、今回ばかりは我慢できなくてエゴサーチしちゃいました。

――どうでした?

基本的にすごい前向きな感じでとらえてもらえているなという印象だったんですけど。「いろんなことを推測するよね」という印象でしたね。

――もちろん、どうした!?っていう意見も多いと思うんですよ。「アニソンシンガーです」というところでデビューした西沢幸奏ですけど、そこからいろんな変遷を経てここに来て。デビューのときのMVとかを並べて観るとまったく違うというか(笑)。

もう本当、並べないでよって感じではありますね(笑)。 恥ずかしいです。

――でも、そこで好きになった人たちっていうのももちろんいると思うんです。西沢幸奏のファンの人たちへのアプローチをどう考えているのかっていうのを聞いてみたいなって。

うーん……まあ、諦めている部分が大きいです。

――自分のなかで?

自分のなかで……まあそうですね。いろんな受け取られ方をするというのは覚悟のうえだし、これだけ変わっちゃったんで。今まで(のファン)の方たちが多少受け入れられないという部分もあるだろうなというふうには覚悟していたので。むしろ、エゴサーチというか、ツイッターをかの反応を見たときに良い反応が多かったというのに違和感を感じたくらいでした。

――それくらい、自分のなかでは拒絶反応があるかなという印象はあった。

ありました。

――変な話、そういう予測をしながらでも変わりたかったというのはあるんですか。

そうですね……。変わりたかったです、私って基本常に変わりたがっているんですよ。自分が好きじゃないって思っちゃうことが多くて。それは今までの自分の歌詞にもすごく反映されているんですけど。

――自分自身のことが好きじゃなくなってしまうと。

それは自分のために良いように言ってあげるとすれば「常に向上心がある」ということなのかもしれないですけど、「どうしていつも自分はこうなんだろ」って思ってしまうことが多いんです。

――ライブ終わりで「もっとこうできた」とか?

それもあるし、ひとつあるとすれば「どうしてもっと音楽を楽しめないんだろう?もっと音楽を楽しみたい」というのがすごく大きいと思います。

――純粋な意味で音楽を楽しめる環境に自分を置きたかった。

環境のせいだとは思っていないですけどね。ただ、それくらい何かを変えないと、気持ちも変わらないなって思ったところはありました。

自分でもビックリするくらいのライブをしていきたい

――2018年はかなりの本数ライブをやられているのを観ていましたが、そこで音楽に対する取り組み方や考え方が変わったりする部分もあったりしたんですか?

音楽に対して変わったところはなかったんですけど、ファンの方と触れ合う時間が多かったので。こんな風に求められているんだったらどうパフォーマンスしていこう?とか、そういうことはすごく考えましたね。そういうふうに考える機会があったというのはすごい今となっては良かったなって思います。

――すでにEXiNAとしてのお披露目ライブも発表されて、動き出しています。何曲か先立って楽曲を聴かせていただきましたが、これライブでどうするんだろう?こんなに音沢山鳴ってるの!って思ったんです。どういうふうにしたいとかあるんですか?

楽しみたいです。めっちゃ楽しみなんですよ。なんでそんなに楽しみなのかっていうと、わからないからなんですよ。

――わからないから?

もちろんライブのことを想像しながら作った曲もあるし、ファンの人に声を出してもらうのがすごく好きなのでシンガロングな部分のある曲もあったり、それは今もぶれていないんですけど。いろんなことが音楽的な意味で変わったので。まだ今日の段階ではバンドと合わせてもいないので、ぜんぜん想像もついていないんですけど。とにかくシンプルに楽しめたらなというのがありますね。お客さんの反応もわからないですし。

――未知数を楽しめる人だなと前々から思っていたんですけど、それを前面に押し出している感じがしますね。こうでこうだから楽しいはず、じゃなくて「これがどうなるかわからないからわくわくする」という感じがすごくしますね。

そうですね、音楽って聴いて安心するものもあるじゃないですか。ライブとかでも、知ってる曲が来たらやっぱりテンション上がっちゃうだろうし。でも、私がやるんだったらそういう安心感よりもビックリしたときの感動を感じてもらえるようなものにしたいなと思っているんです。アルバムのタイトルとライブのタイトルが「XiX」というタイトルになっているんですけど。Xって未知なるものを指しているんです。「XiX」っていうのは、未知なるものと未知なるものの中に私が挟まれているっていうものになっていて。そういうものもタイトル込めています。自分もビックリしちゃうくらいのことをしていきたいなっていう思いは本当に強いです。

――2曲目の「KATANA」も発表されましたが、やっぱりブレてないですね。ファンに向かって曲を差し出しているというよりは、叩きつけているといいますか。

あははは(笑)。多少無意識かもしれないですけど、そこはあると思います。



――今まで知らない人に向けてもちゃんとアピールしていくような楽曲を作っているような印象はありますね。

本当になんか申し訳ないなとたまに思うんですけど、今までのファンの方が聴いたらこう思うだろうから辞めておこう!とかってまったく思っていなくって。むしろ、新しくなったことを楽しんでほしいんですよね。で、新しい出会いも同じくらい強い気持ちで求めているし。

――さっきもおっしゃっていましたけど、どうしたって「定番のあの曲が欲しい」っていう気持ちって絶対にあるじゃないですか。

私もそういう気持ちあるんで、それは凄いわかります。

――今までの楽曲も持っているわけじゃないですか?それをやっていくという気持ちは。

あります。

――EXiNAとしてチューンアップしていくという形になるんですか?

はい。多少、ショッキングかもしれないです(笑)。実はもうアレンジができていて。歌って準備しているんですけど、自分でも改めて練習がすごく必要なくらい変わっていて。それを悲しいなという風に思われる方もいると思うんですけど、私を好きでいる以上、そこは楽しんでほしいですね。

――変わっていくことを。

そうですね。そこはもう、好きになった人の宿命かな(笑)。そういう人なんで、すみません。

”EXiNA”をただ確かめに来てほしい

――この先どうなっていくかも未知数ということですよね。

言えないけど決まっていることもあるし、すごい先のことを考えながら進めているプロジェクトではあるんですけど、その中身というのはそのときそのときの感情でめっちゃ変わるものなんだなということを今回の制作で思いましたね。「こうじゃない?」っていう感情が反映されやすい現場を作れたなという自信もあるので。いい意味でぜんぜん想像はつかないです、ほんのちょっと先のこともわからない。

――それはファンを含めて僕らは「こうなったよ」っていうのを受け入れてどう感じるかっていうのはその時々でやっていくしかないですね。

そうですね。私もその度にドキドキするんだろうし。

――またSNSでエゴサーチしちゃう日々ですね、それ。

そうそうそう(笑)。でも、楽しくないですか?そういうほうが。

――予定調和よりは良いと思います。なんというか「まあ、西沢幸奏ってこんな感じだったよね」というのは、らしくないなと思いますね。そういう意味ではすごく面白い環境になりましたね。どうなっても歌うことをやめない人だと思っているのでそこは心配していないと言うか。

辞めないと思いますね。

――ライブも気になりますね。どうなるのか。

私も自分の体力が心配なので、体力をつけなきゃと思ってます。

――色々お話伺ってまいりましたが、改めて決意表明と、どういうライブにしていきたいかを聞けたら。

決意表明……そうだなあ。まず間違いなく言えることは、曲がめっちゃカッコいいです。まだ皆さんにお聞かせできていない曲とかもあるんですけど、絶対にライブ映えすると思うんですよ。間違いなくいい音楽を作っているんだと感じてもらえるんじゃないかな。あとは私自身、西沢幸奏からEXiNAに変わったけど、自分の中ではこれまでの延長線上にあることだし。でも、間違いなく今までよりは良いものにしたいという思いはあるし。そこに対する自信はぶれないものなので、ただ確かめに来てほしいなとしか言えないですね。

――最後に、西沢幸奏ではなく、EXiNAにとって“音楽”とは。

そういう質問来ると思って考えてたんですよ!(笑) いやあ、考えててよかったな(爆笑)。そうですね……私は、友達に近い感覚かなと思っていて。私ってそれほど心が強いわけではないんですよ。音楽に対しても好きって思えなくなっちゃう瞬間とかもあったりとかして……。擬人化して言えばやっぱりケンカとかもするし。一緒にいる理由がわからなくなっちゃうときもあるんだけど、やっぱりしんどくなったときに音楽しかないなって思うんです。結局私には音楽が必要だし……。友達であれば、変な気を使う方がおかしいと思うので、素直な自分として付き合って行きたいんです。

――やっぱり離れられないというところになるのかもしれないですね。

ですね。

――でも、EXiNAだったら憧れのデイヴ・グロール(アメリカのロックバンド フー・ファイターズのボーカル)との共演が半歩くらい近づいたんじゃないですかね。

そうだったらうれしいなあ……!

インタビュー・文:加東岳史

当記事はSPICEの提供記事です。

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