東日本大震災を描くミュージカル『いのちてんでんこ』初の東京公演が決定 いのちの大切さと三陸の魅力がつまった作品

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2019/7/23 11:43


2013年から岩手県大船渡市を拠点として、三陸沿岸の東日本大震災被災者の証言を基にしたミュージカル『いのちてんでんこ』が全国各地で上演されてきたが、2019年9月10日(火)から11日(水)にかけて東京公演が行われることになった。9月11日(水)は東日本震災から8年半となり102回目の月命日にあたる。

「いのちてんでんこ」とは「津波てんでんこ」とも言われ、地震がきたら津波が来る、てんでばらばら他人にかまわず逃げろという三陸地方に伝わる言葉だ。作・演出を手掛けた前川十之朗は、2012年4月に防災科学技術研究所の委託取材員、東大協力研究員として被災地に赴き、津波から逃れ九死に一生を得た人たちを取材し、それらのオーラルヒストリーをもとに本作品が生まれた。また三陸沿岸の集落の取材を続けていく中、現地のコミュニティーの繋がりを強固にしているのは祭の存在だと知り、物語の中に三陸の郷土芸能のエッセンスを取り入れたという。本作品はこれまでに各自治体や文化庁との共催事業などのほか、高等学校の芸術鑑賞会などを重ね、6年間で47公演、のべ4万人の観客にいのちの大切さや『いのちてんでんこ』という言葉の持つ意味を伝えてきた。

東日本大震災から8年が経過し、災害の記憶の風化が叫ばれているが、ここ数年は豪雨による被害が各地で発生し、日本のどこに住んでいても自然災害と向き合わずに生きていくことはできない状況だ。その中でひとり一人が自然災害にあった時いかにして身を守るのか、そして、被災後の生活をどのように立て直していくのかを考えることが必要になってきている。そうした思いと「三陸の魅力としてこの作品を未来に繋げていきたい」という想いが結実し、初の東京公演となる本作品に注目したい。

【前川十之朗 プロフィール】

福井県出身(1965年生まれ 53歳)
演出家、音楽プロデューサー、三陸国際芸術祭プログラムディレクター(2014~)、元東京大学協力研究員(2012~2014)、元防災科学技術研究所委託取材員(2012)

1987年から、音楽家として、フォーライフレコードなどに所属し、多くの楽曲を発表。2002年に、パフォーマンス団体「未國」を設立。演出・音楽・脚本を手がけ、身体と発声を組み合わせたユニークな演出は、作品と共に高く評価される。演出家として、2010年ベルリン市のアーティスト・イン・レジデンス助成を受け渡独。ドイツでの舞台活動中、東日本大震災の映像をみて、帰国を決意。

2012年4月に帰国し、そのまま三陸沿岸に入る。東京大学協力研究員および防災科学技術研究所専門員として、被災者を取材。それら証言をもとに創られたミュージカル“いのちてんでんこ”は、のべ4万人の高校生に観劇されている。現在は岩手県大船渡市に定住。三陸沿岸の地域文化を発信する会社“みんなのしるし”を設立し、沿岸を縦断しながら文化事業をおこなっている。

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