「なつぞら」94話「(男親は)相手の男を抹殺することしか考えてない」抹殺……

エキレビ!

2019/7/19 08:30

連続テレビ小説「なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第16週「なつよ、恋の季節が来た」94話(7月18日・木 放送 演出・田中健二)視聴記録
樹齢にまでこだわる坂場
「なつぞらアニメーション」リスのしっぽがリーゼントになるアニメ、輪郭線の太さから動きまで完成度が高かった。この投稿者さん(東京都 おおのたろうさん)はプロですよね、きっと。

「なつぞらアニメーション」のクオリティが高くなるにつれ、東洋動画の作業も進行していく。坂場(中川大志)は麻子(貫地谷しほり)に「鳥たちが一致団結して魔女に抗議」「鳥たちがデモをしている」みたいな絵がほしいと言うところには、高畑勲監督の「平成狸合戦ぽんぽこ」の自分たちの住処が土地開発でおびやかされる狸たちの反対活動を思い出した。鳥も狸もどちらも体制に不満をもった庶民のことである。
坂場があまりに細かく直しを要求するので、麻子は、昔自分が堀内にうるさく言ったことを棚に上げてすっかり切れる。ただ、神地(染谷将太)の絵は褒められているのでなんでもかんでもできたものにいちゃもんをつけているわけではなく、坂場のなかのNGとOKの基準がちゃんとあるようだ。世の中にはなんでもかんでもダメ出しすることはが仕事と勘違いしている人もいるけれど、坂場のようにより良いものを目指して厳しい要求をしてくる人もいる。坂場のような人はアニメの現場にも演劇の現場にも映画の現場にも出版の現場にもいろんな現場にいるのでニヤニヤしてしまう。
坂場はなつが描いた木の巨人の動きに“根拠”を求め、「樹齢は何年ですか」とまでこだわってくる。それでなつは廊下で木の動きを演じてみて、社員に奇異な目で見られてしまう。ここで注目は、坂場との場面でないと階段を使用しないこと。あの階段は特別な場所になっていると思われる。

戦隊とライダー出身者は安定している
なつは悩んで、陽平(犬飼貴丈)の描く美術を見せてもらいに行く。相変わらず帽子をかぶっている陽平は、坂場は絵の勉強をすごくしていて、天陽の絵まで知っていたと言う。なんと天陽、なつ、坂場は「絵」でつながっていた。「なつぞら」にはものすごく時々しか出てこない人がふたりいる。信哉役の工藤阿須加と、陽平役の犬飼だ。たまに出てきてなつに必要な情報をもたらすお役立ちキャラ。信哉は第一話から印象的に出てきて、なつの人生に重要な存在ではあるが、陽平は重要キャラ・天陽の兄という属性ながら、たまに出てくると、ものすごく的確に状況を演じていて、場面をわかりやすくする。教え方のうまいトレーナーみたいな俳優である。さらに、優しさ、爽やかさで、場を和ませる。
山田裕貴は戦隊もの、犬飼貴丈は仮面ライダー出身俳優である。特撮ヒーローものはたくさんいる若手俳優の登竜門的なものになっていて、ヒーロー役を勝ち取り、顔を売ったあと、さらなる高みに登っていくという若手俳優の成長すごろくのスタート地点のようなものだ。次に進むコマが朝ドラ出演。子供と一緒に見ているママが、活躍するヒーローにときめくことが平成以降、戦隊やライダーの存在意義のひとつになっていて、主婦の見る朝ドラに戦隊、ライダー出演者とは相性がいいのだが、特撮ヒーロー出身者はおうおうにして清潔感があるうえ、芝居が的確なので安心して任せられるのだということを、山田と犬飼の仕事を見てナットクしている。

相手の男を抹殺する
夕見子が東京にかけおちしてきたと、なつの報告を受けた富士子(松嶋菜々子)はさっそく、泰樹(草刈正雄)と剛男(藤木直人)に相談。相手の高山(須藤蓮)の素性も調べ済み。東京の亜矢美(山口智子)との連携など、女たちの団結、共闘が楽しい。その一方で、なつと麻子は坂場の対処をめぐって軽いマウントの取り合いをしていたり、なつが駆け落ち情報を実家に伝えたことを夕見子が怒ったりする女の対立も描いている。
「いだてん」で宮藤官九郎が「そう 違う!」とセリフで状況を相対化しているが、大森寿美男は細々、状況を描いている。やり方は違うが趣旨は同じ。どっちかじゃない、どっちも。世界をまるごと描こうとしている。

富士子「(男親は)相手の男を抹殺することしかか考えてない」
剛男「抹殺って忍者じゃないんだから」
抹殺って表現がすごいが、泰樹が「抹殺…」と噛み締めている顔は本気ぽい。

どうしたものかと思ったところ、富士子が昔なつが言っていた「慣れてない人がいい」と泰樹を東京に派遣することを思いつく。夕見子が北大の合否案内が来て部屋にこもってしまったとき、様子を見に行く役割を泰樹が引き受けたことがあった。それを富士子が思い出したのだ。これで泰樹が東京に来る“根拠”が出来た。これなら坂場もOKに違いない。

【第16週あらすじ】「なつよ、恋の季節が来た」 7月15日・月~22 日・土 演出:渡辺哲也
なつ(広瀬すず)たちの漫画映画づくりは佳境に入っていた。演出の坂場(中川大志)の度重なる描き直し指示にも負けず、新人・神地(染谷将太)の活躍もあり、新しい漫画映画が誕生しようとしていた。そんな中、夕見子(福地桃子)が突然、恋人の高山(須藤蓮)と一緒に北海道から上京してきた。周囲の学生たちに影響を受けた夕見子は大学を辞め、高山と一緒に新生活を東京で始めるという。夕見子のあまりに身勝手な結婚観についていけないなつ。亜矢美(山口智子)も説得しようとするが耳を傾けようとせず、ついに電話で富士子(松嶋菜々子)に相談してしまう。数日後、夕見子を説得しに十勝からやって来たのは、あの男だった。

96回あらすじ  7月20日・土 放送




なつ(広瀬すず)たちの短編映画に、声を吹き込む作業が進められている。声優には咲太郎(岡田将生)の事務所から蘭子(鈴木杏樹)らが担当し、ついに作品が完成する。仕事を終え、束の間の休息として、東洋動画のメンバーでハイキングに行くことに。制作中は何度もぶつかった麻子(貫地谷しほり)や坂場(中川大志)も、一緒になってバレーボールをして笑い合う。そんな中、麻子はメンバーにある思いを打ち明ける。


(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

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