U2来日記念スペシャルコラム連載vol.3 - 【来日演奏曲を予想!代表曲で振返るU2ヒストリー】

SPICE

2019/7/19 18:00


2019年12月に決定したU2の13年ぶりの来日公演。それも、2017年にアルバム『ヨシュア・トゥリー』の30周年を記念して敢行された「ヨシュア・トゥリー・ツアー2017」をアップデートさせたツアー、「ヨシュア・トゥリー・ツアー2019」の一環として実現する。

2017年に行われたこのツアーの特徴は何と言ってもアルバム『ヨシュア・トゥリー』を曲順通りに1曲目から最後まで再現することで、全世界で2,500万枚を売り上げグラミー賞では最優秀アルバム賞を受賞したこの歴史的名盤を立体的に堪能できる機会となることは確かなのだが、それ以外にも注目すべき点がある。それは、1本のライブとしての構成が非常に優れているのだ。

ライブの構成としては、最初に『ヨシュア・トゥリー』より前の時代の曲を演奏するブロックがあり、いきなり初期の代表曲達が立て続けに演奏される。その後に『ヨシュア・トゥリー』を完全再現をして、そしてその後に『ヨシュア・トゥリー』以降の楽曲が演奏されるという流れ。もちろん、『ヨシュア・トゥリー』以降の楽曲が演奏されるブロックでも披露されるのはU2ファンなら誰もが知っているヒット曲ばかりだ。

これは、まるでU2というバンドの歩みをライブを通して再現しているかのようにも思える巧みなセットリストが組まれていると言っていいだろう。

今回のコラムでは、来日公演での実際のライブの構成に即しアルバム『ヨシュア・トゥリー』前と、『ヨシュア・トゥリー』後に分けて、セットリストを予想しながらU2の歩みを振り返ってみたい。

『The Joshua Tree / ヨシュア・トゥリー』以前


アイルランド出身のU2は、1980年にアルバム『BOY(邦題:ボーイ)』でデビューし、いきなり頭角を現した。このアルバムの冒頭を飾る、疾走感が堪らない「I WIll Follow」は、いまだにライブのセット・リストに組み込まれるほどの人気曲だ。

I Will Follow You

バンドは翌1981年にセカンド・アルバム『October(邦題:アイリッシュ・オクトーバー)』を発表。1983年には、サード・アルバムで彼らの出世作となった『War(邦題:闘)』を発表。ここから「Sunday Bloody Sunday」と「New Year's Day」という2曲のシングルヒットを飛ばし、アルバムは全英1位を獲得。アメリカのチャートにも食い込む健闘を見せ、ここ日本でもこのアルバムによって名前が広く知られることとなった。特に「Sunday Bloody Sunday」のイントロで聴くことのできる、プロデューサー兼エンジニアのスティーヴ・リリーホワイトの作り出した非常に攻撃的なスネア・ドラムとハイハットのサウンドは日本の音楽ファンの間でも話題となった。とにかく、このアルバムのサウンド・プロダクションには度肝を抜かれた記憶が鮮明に残っている。また、83年暮れには早くも初来日を果たし、白い旗をステージで掲げたパフォーマンスが伝説の中野サンプラザ公演が行われた。

「Sunday Bloody Sunday」と「New Year's Day」の2曲は、初期U2の代表曲であるだけでなく、今のU2の礎を築いた重要曲と言ってもいいだろう。

Sunday Bloody Sunday

New Year's Day

1984年には4枚目のアルバムである『Unforgettable Fire (邦題:焔)』がリリースされてヒットを記録。このアルバムからはプロデューサーを前述のスティーヴ・リリーホワイトから、ブライアン・イーノとダニエル・ラノワというその後のU2サウンドを作り上げたチームへ変更し、一般的にU2といえばこのサウンドというような彼らのシグニチャー・サウンドを作り上げることに成功した(スティーヴ・リリーホワイトは、この後もバンドとの関係性を継続し、今に至るまでU2サウンドに貢献をしている)。

このアルバムからは、マーティン・ルーサー・キング牧師を歌った「Pride (In The Name Of Love)」というシングルヒットが生まれている。

Pride (In The Name Of Love)

翌1985年にはあのライブ・エイドに出演。映画「ボヘミアン・ラプソディ」で再び注目を浴びたライブ・エイドだが、クイーンではなくU2をベスト・アクトにあげる声も非常に多く、特にこの時12分間にわたって演奏された「Bad」は、伝説としていまだに語り継がれている(その伝説のパフォーマンスは、以下に映像を貼っているので是非。ここでは、ボーカルのボノがストーンズの「ルビー・チュースデイ」や、ルー・リードの「サテライト・オブ・ラブ」などの名曲の一節を盛り込みながら曲を進めるという、彼のライブパフォーマンスとしてはおなじみのスタイルが見られる)。このパフォーマンスで全世界的に注目をあつめ、イギリスではU2の過去のアルバムがチャートに返り咲くという現象ももたらした。

Bad

このライブエイドでの「Bad」のパフォーマンスや、アルバム『Unforgettable Fire (邦題:焔)』の成功によって世界的に注目を集めることとなったU2は、遂に1987年に彼らのエポック・メイキングなアルバム『The Joshua Tree / ヨシュア・トゥリー』を発表。世界を制するバンドとして、現在まで君臨している。

アルバム『The Joshua Tree / ヨシュア・トゥリー』は、今回のツアーでは全曲が演奏されるため、ここでは割愛する。

『The Joshua Tree / ヨシュア・トゥリー』以降


U2は、80年代、90年代、2000年代と、その音楽性を大きく変えながらも成長を続けてきたバンドとして知られている。

80年代は今まで見てきたように、社会問題に深くかかわり、政治的発言も積極的に発していくという硬派なスタンスと、ディレイが印象的なギター・サウンド、爆撃機のようなドラム・サウンドを中心に組み立てられたシンプルなバンドサウンドを身の上としてきたが、90年代に入ると一変する。

1991年に発表された7枚目のアルバム『Achtung Baby(邦題:アクトン・ベイビー)』は、それまで縁遠いと思われていたエレクトロニクスを大幅に取り入れ、テクノからの影響も見られるようなサウンドにシフトした。ただ、バンドのソング・ライティングの軸はブレることなく多くの名曲を生み出したこのアルバムは大ヒットを記録し、いまだに人気のあるアルバムとして評価が高い。

多くのシングルが切られたこのアルバムは、本当に名曲が多いが、特に下記の「ONE」は世界的に評価の高い名曲として多くのアーティストにも歌い継がれている。


One

また、「Mysterious Ways」や「Ultraviolet (Light My Way)」はU2らしいメロディアスな楽曲ながら、ダンス・ビートを意識した楽曲として、当時のバンドの意欲的な姿勢がよく伝わってくる。

Mysterious Ways

Ultraviolet (Light My Way)

このアルバムから始まる90年代のU2は、1993年の8枚目『ZOOROPA(邦題:ズーロッパ)』、1997年の9枚目『POP(邦題:ポップ)』とアルバムを重ね、当時隆盛を極めていたダンス・ミュージックのムーブメントに呼応するようなサウンドを展開。また、それと同時に、巨大なスタジアムで大掛かりなショーを展開するスタジアム・ライブ・バンドとして、他の追随を許さぬ実績と評価を積み上げて行った。

そんなサウンドの変化を遂げていたU2は2000年代に入ると、原点回帰ともいえるサウンドの変更を試みる。2000年に発表された10枚目のアルバム『All That You Can't Leave Behind(邦題:オール・ザット・ユー・キャント・リーヴ・ビハインド)』では、ダンス・ビートへの接近からシンプルなロック・バンド・サウンドへの回帰がなされた。

このアルバムでは「Beautiful Day」という大ヒット曲を生み、グラミー賞の多くの賞を2001年と2002年で受賞するなど、高い評価も得た。また、映画『トゥームレイダー』の主題歌となった「Elevation」もこのアルバムを代表する曲だ。

Beautiful Day


Elevation

前作で原点回帰を見せたバンドは、2004年にもシンプルなサウンドを前面に押し出した11枚目のアルバム『How to Dismantle an Atomic Bomb(邦題:原子爆弾解体新書)』を発表。iPodのCMソングとなった「Vertigo」はシングルとして大ヒットを記録。アルバムもセールス的にも大成功を収め、前作同様にグラミー賞を複数部門獲得するなどの記録を残した。このアルバムを引っ提げてのツアーで、前回の来日公演がさいたまスーパーアリーナで行われている。

Vertigo

2009年には12枚目『No Line on the Horizon(邦題:ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン )』を発表。U2に長きにわたり関わってきたブライアン・イーノ、ダニエル・ラノワ、スティーヴ・リリーホワイトを始めとしたお馴染みの制作陣が手掛けたこのアルバムでバンドサウンドに原点回帰をした2000年代は終了。

続く2010年代は、2014年の13枚目『Songs of Innocence(邦題:ソングス・オブ・イノセンス)』、2017年の14枚目『Song of Experience(邦題:ソングス・オブ・エクスペリエンス)』という対となる2枚のアルバムを立て続けに発表。特に『Song of Experience(邦題:ソングス・オブ・エクスペリエンス)』は全米チャートで1位となり、U2がいまだに現役であることを見せつけると共に、80年代、90年代、2000年代、2010年代のすべてにおいて全米1位を記録した唯一のバンドとしての記録を樹立して見せるという快挙を達成。

シングルとして発表した「You’re The Best Thing About Me」は初々しささえも感じさせるほどの仕上がりで、バンドの今の姿を伝えるだけでなく、デビュー約40年経った今でもバンドのアティチュードは変わらぬままであることを証明しているかの様だ。

You’re The Best Thing About Me

ここまで、U2の約40年のバンドの歴史をその代表曲と共に振り返ってきたが、ここの挙げた楽曲以外にも代表曲は山ほどある。ただ、ライブで演奏される頻度などを鑑みると、これらの曲が今回の来日公演のセットリストに組み込まれるのではないかと予想してみた。

今回の来日公演の「ヨシュア・トゥリー・ツアー2019」は、2017年に行われた「ヨシュア・トゥリー・ツアー2017」とどう変わるのかは、まだ初日の11月8日ニュージーランドはオークランドの公演が幕を開けるまでは分からない。もしかすると2017年と同じかもしれない。もしかするとアップデートされているかもしれない。ただ、そのいずれにせよ、U2の代表曲のみでショーが構成されることは間違いないだろう。

セット・リストの予想を楽しみながら、12月の来日公演までじっくりと待っていたい。

当記事はSPICEの提供記事です。

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