少年二人の瑞々しい冒険を描いた、舞台『チック』が開幕 演出家・出演者コメント&舞台写真が到着

SPICE

2019/7/16 19:32


2019年7月13日(土)舞台『チック』が開幕し、プレビュー公演が行われた。本公演は、ドイツでミリオンセラーとなり、今や世界中で愛されている児童小説「Tschick」(邦題「14歳、ぼくらの疾走:チックとマイク」作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ)の舞台版。2017年に初演が行われ、数々の賞を受賞した本作の再演だ。

翻訳・演出を務めるのは、ドイツ出身の小山ゆうな。そして、14歳の少年である主人公のチックとマイクを演じるのは柄本時生と篠山輝信、 またこの2人を取り巻く人物約20役を演じ分ける土井ケイト、那須佐代子、大鷹明良のコメント、そして舞台写真が届いたので、紹介する。

翻訳/演出 小山ゆうな

お客様がとても暖かく見守ってくださり、出演者にも初日で緊張があったと思うんですが、客席の反応にすごく助けて頂いて、演者とお客様の間でどんどん作品が一緒に作られていくという感じがしました。『チック』にはとても普遍的な要素が詰まっていて、特に戦争や移民、性的指向の話題に関しては、初演時よりも演じる側やお客様の方も触れている情報が多くなったことで、よりタイムリーに伝わり、さらにこの作品を深くお分かり頂けているように思います。時代によって戯曲のとらえ方も変わっていくことを感じました。
毎日少しずつ違う事が起こったり、お客様の反応によって変わる場面がいくつかあるので、たくさんの方に楽しんでご覧いただけたらと思います。
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

チック(アンドレイ・チチャチョフ)役 柄本時生

楽しかったのと、何と言うか初演の時よりもすごく劇場全体の空気が「柔らかく」感じました。それは初演にはない、新しい感覚でしたね。今回やってみて、この作品は思いのほかライトなんだって思いました。思いのほかライトで、でも思いのほかキツくて、その 振り幅がすごくはっきりしているんですけど、その両方が綺麗に混ざっている感覚。それが『チック』なんだと思いました。再演によって色々なことがいい意味でフラットになって、今日のお客さんの姿を見ていると、観やすくなっているんじゃないかと思います。楽しんで観れると思いますので、ぜひ観に来てください。
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

マイク・クリンゲンベルク役 篠山輝信

稽古場で何回も何回も稽古をしてきましたけど、お客様という、マイクにとって初めて話を聞いてもらう相手役が表れて、ようやく完成したというか、始まったなと感じました。
どんどんお客様と会話をしていくことで劇場全体が渾然一体となって、気づいたらみんなで旅を終えていたみたいな。人と人とが想像力をキャッチボールして初めて完成する、ものすごく魅力的な作品だと思います。初演の時はこういうことは言わなかったですけど、責任を持ってみなさんを旅に連れて行きます! 演劇で旅をするというすごい体験をしに来てほしいなと思います。是非一緒に旅に行きましょう!
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

イザ/タチアーナ/看護士 ほか役 土井ケイト

この作品自体が、もう全く予想不可能というか、常に新しく進化し続けていて、時としてぶれそうなところは、演出の小山さんが軌道修正してくれました。今日はついにお客さまが入って、また違ったいい意味で変わりました。舞台上でいろいろ事件が起きるんですが、それらも組み込まれてしまうような、お客様と一体になった、本当の意味での体験型だと思える何かがある舞台です。何でもありだけど、すごく強いしっかりとした芯みたいなものが通った作品なんじゃないか と思うんです。だからこそ千穐楽まで、いろんな遊びを入れていけたら…。ぜひ、お楽しみに!
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

母/フリーデマンの母/カバおばさん ほか役 那須佐代子

初日を終えて、やっぱり笑っていただけると嬉しくなってはずみが出ますね。お客さまからの反応をもらえて嬉しかったです。この作品の一番の魅力は、劇場に一体感があるというか、客席と舞台が分離していない。なおかつ肩肘張らないでリラックスして楽しめるということじゃないかと思います。世代を越えて引っかかれる作品の幅があって、ビヨンセを好きな世代から「ドイツといえばナチス」みたいなイメージの年の人たちまで楽しめると思います。翻訳劇とは言えども、翻訳劇の堅苦しさは一切ないので、心配せずにエンジョイしに来てもらいたいです。
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

父/フリーデマン/フリッケ/ライバー ほか役 大鷹明良

お客さんがリズムを作ってくださってようやくお芝居が完成したな、ああ、こんな風にお客さんと旅する芝居だったなと感じています。今回は再演ですが、チックとマイクの家庭環境や置かれている立場など、初演時の2年前より他の国の話ではないという実感があります。ですが、どうしたらいいのかわからない閉塞感のなかで、チックとマイクのふたりが“生きていく”という希望を表している作品だと思いますので、いろんな年齢層の方に観ていただいて、感想を言っていただけるとありがたいです。ぜひ 21 日の選挙にも行って、お芝居も観にいらしてください。
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

プレビュー公演を経て、さらにブラッシュアップされた本公演は7月28日(日)までシアタートラムにて上演する。
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司
世田谷パブリックシアター『チック』 撮影:細野 晋司

また、『チック』再演に伴う関連企画として、『イザ ぼくの運命のひと / PICTURES OF YOUR TRUE LOVE』リーディング公演が行われる。本作は『チック』に登場する、ゴミの山に一人住む不思議な少女「イザ」に焦点をあてたスピンオフ的な作品で『チック』公演期間中に、特別に7月20日(土)、21日(日)の2回だけ上演される。

今回『イザ』を演じるのは 『チック』でまさに「イザ」を演じている土井ケイト、そしてイザの前に現れる様々な「男」を演じ分けるのは『岸 リトラル』(2018)での鮮烈な演技が印象に残る文学座の亀田佳明だ。また『イザ』のために創った国広和毅によるオリジナル楽曲も聴きどころの一つ。2人の登場人物の感情に寄り添うようなギターの音色を国広自らがライブで演奏する。

『チック』と同じく翻訳・演出を務める小山ゆうな、出演者の土井ケイト、亀田佳明、また音楽・演奏を担当する国広和毅のコメントも紹介する。

翻訳/演出 小山ゆうな

作家が亡くなる直前に書かれたこの作品は、彼の人生の中での様々な要素が 描かれていて、すごく凝縮された作品です。だからこそ 詩的な部分もあり、そこがすぐには理解できなくても、触れていくとどんどんわかってくるような、想像力を刺激する、すごく深くて面白い、綺麗な戯曲だと思います。
土井さんは『チック』でもとても魅力的なイザで、すごく大きなものを抱えていて、でもそれを表に出さない、という大変な役を、すごく繊細にライブ感のあるかたちで演じていらっ しゃるので、ユーモアもありつつ、ピュアなイザの痛みもしっかり伝わる んじゃないかと思います。
亀田さんは一緒に話し合いながら、作品をより深く掘り下げられる方で、一言のキーワードではっとするような表現をして下さり、本番が始まってお客様と触れ合う中でもどんどん変化されていくと思います。
国広さんはやっぱり生き方がかっこいい人なので、それが音楽にも表れていて、信頼しています。彼の歌を聴くだけでも価値があるかもしれないと思うほど、本当にかっこいいん です。
今回、音楽に興味のある方にもお楽しみ頂けるよう、”ライブとリーディング”という形式をとっています。『チック』をお好きな方にご覧いただけたら 、改めて気づかれることがいっぱいありますし、ご覧になっていない方も、本当にピュアな気持ちの中にスッと入っていける作品なので、夏にはぴったりだと思います。ぜひご覧ください。

イザ役 土井ケイト

初演のときには、『イザ』の戯曲が手元になかったので、『チック』だけを読んで臨ませていただきましたが、イザというキャラクターはすごく深いなと感じました。作っていく時はとても難しくて、稽古しながら探ってきたんですが、最初とずいぶん変わってきているんです。そして今回初めて『イザ』の戯曲を読んで、わたしの考えるイザと“本当のイザ”との違いがわかった部分がすごくあって、そこがターニングポイントになりました。朗読は初めてなので、普段はあまりんなことしないのですが、亀田さんに助けを求めたんです。そうしたら、本当に親身になっていただき、的確に教えてくださいました。ものすごく感謝しています。演出の小山さんは、頭の中がおもちゃ箱・宝石箱のような方で、いつもきらきらしています。役者一人ではとてもできないところへ導いてくれて、そんな時は「ゆうなさんのおもちゃ箱、ちょっともらいました!」って思うんです。国広さんは、変な人です。天才です。かっこいいし音楽もすばらしいのですが、すごくおもしろい人でトークも楽しみです。わたし自身、読むと泣いてしまうくらい、本当にいい戯曲なので、お客様へそのまま届けられるようにと願っています。

男役 亀田佳明

初めて戯曲に触れたとき、圧倒的な言葉の存在にまず驚かされました。イメージをどんどん膨らませていく詩的で、はかない 言葉。頭で理解するというより、ただひたすら感じていたいと思える言葉にあふれた戯曲だと思いました。
小山さんとは一度ご一緒したことがあるのですが、作品の本筋をきちんととらえると、後は俳優に歯止めをかけずに、ひろがりを与えてくれる方。それだけに小山さんとの作品づくりはやりがいを感じますし、すごく楽しいです。土井さんは、今回初めましてなんですが、なんて純度の高い俳優さんなんだろうとびっくりしています。お客さんから見て感情移入しやすいピュアなものをしっかりと持たれた俳優さんなんだと思います。そして音楽の国広さん。すでに稽古場でのパフォーマンスに圧倒されています。『岸 リトラル』ではスタッフと役者の関係でしたが、今回は一緒に舞台上でセッションができる! 考えただけでワクワクします。この詩的で刺激的な『イザ』を、私もお客様と一緒に楽しみ、一緒に感じられる空間にしていきたいなと、今から本番の舞台を心待ちにしています。

音楽・演奏 国広和毅

『イザ 』を初めて読んだ時、感覚的にはとても分かる、けれど細部を正しく理解するのは難しい戯曲だと思いました。後で小山さんの説明を受けて、敢えて多様な解釈が可能なように書かれていることを知り、なるほど挑みがいがあるな、と。イザのモノローグが中心なので土井さんの作り出すイザの性格や声質をヒントに音楽を作り始めました。稽古では土井さんの素晴らしくエモーショナルなセリフに即興的にギターで絡むのがとても楽しい。楽しみすぎかもしれないのでこれから少し冷静に整理していく予定です。小山さんには随分自由にやらせて頂いています。アイデアを上手く拾って頂けるのでさらに提示したくなります。きっと乗せ上手なのでしょう。それから亀田さんの一人多役ぶり!演じ分けるだけでなく沢山の役を通して一本の筋が通っているんです。この辺もお客さんには楽しんで頂きたいと思います。

当記事はSPICEの提供記事です。

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