高良健吾インタビュー 評価が常につきまとう職業“俳優”との向き合い方 

AbemaTIMES

2019/7/14 10:00



 誰からも、親からすらも存在を忘れ去られた男が同級生から「三井くん」とその名を呼んでもらったとき、純粋で狂気的な愛が生まれるーー。俳優・高良健吾が映画『アンダー・ユア・ベッド』(7月19日全国ロードショー)にて主演を担当。11年もの間一人の女性に執着し、ついには彼女の家に侵入、ベッドの下で監視するようになるという変質的な男・三井を演じる。三井は愛する女性・千尋の生活を覗き見るうちに彼女が夫から凄惨なDVを受けていることを知る。三井の行為は褒められたものではないが、高良はその心の動きを「理解できる」と語る。他者から評価され続ける“俳優”という仕事、そして三井という男に高良はどう向き合ったのだろうか。
共感はできないけど理解はできる “認められない”苦しみが生んだ三井というキャラクター


ーー脚本づくりの段階で安里監督の中では高良さんのイメージがあったとお聞きしました。そのことについてどう感じましたか?

高良:
嬉しいです。自分をイメージして書いてもらえるというのは、俳優としてすごくありがたいことです。

ーー三井というキャラクターと出会ったとき、どのように感じましたか?

高良:
純粋。ピュア。

ーー三井に対して共感する部分はありましたか?

高良:
僕は演じる上で「共感」というのはあまり重要ではないと思っているんです。ただ「理解」は必要だと思っています。三井は理解できるキャラクターでした。純粋すぎるが故にあそこまでいってしまったのだろうと。三井のように認めてもらえなかったというか、子供の頃から存在を認めてもらえなかったという過去が、あそこまでの行動に移してしまったんだと思います。認められない」、そしてその反対の「認められる」ということには、それだけの力があります。千尋に「三井くん」と呼んでもらえて、あの瞬間が彼を支えて、彼は動き出す。


ーー高良さんの演技に「孤独感」を感じました。どういうことを心がけましたか?

高良:
「白と黒」という風に分けないように心がけました。「グレーゾーン」を作ることを大事にした。「善と悪」とか、そういうので分けちゃダメだ。分けるのは勿体無い。そういうのじゃないところで演じたいと思いました。

ーー安里監督からは?

高良:
安里監督とはちょっと今までしたことのない作り方をしました。僕は段取りとかテストで自分が準備してきたことをやって、「ああしていこう」「こうしていこう」とかアドバイスをもらってやっていくというやり方をしてきたのですが、今回は、現場入りすると監督が待っていて「今日やるシーンの話が始まって。「こういう風にしていきましょう、って確認をしてからやるというやり方でした。

ーーモノローグ部分のセリフもたくさんあり、お芝居の表現とは違う表現になったと思います。どんなことを意識しましたか?

高良:
セリフが説明的にならないように意識しました。モノローグで答えを言ってしまわないように。監督と話し合いが多かったのは、モノローグの部分です。「このセリフは削っていきましょう」というのが結構ありました。
ユーモアすら感じさせる行き過ぎた三井の行動


ーー千尋役の西川さんの芝居もリアルでしたね。生で見られていかがでしたか?

高良:
西川さんの凄さは自分の扱いを知っているところ。千尋という人が存在しているという風に見せる事は難しい、だけれども簡単にしている。

ーーDVのシーンもかなりハードでしたが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

高良:
大変さとか過酷さというのは、台本を読んだ時点で覚悟していなければいけなかった。今日現場で「過酷なシーンだな」というときも、誰も腰は引けていなかったんです。ただその中でも1番明るいのは西川さんで、そういう現場でのあり方とかは、彼女の中の凄さを感じました。

ーー演じられて印象に残っているシーンはありますか?

高良:
僕的に、ちょっと笑えるシーンがあるんですよね。「三井くん、どうしたの?そこまでいく?(笑)」って。三井がちょっと可愛く見える瞬間が何個かありました。実際映画になったものを見ると、現場で想像していたよりもユーモアがあって見えました。千尋を助けられなくて、自分にスタンガンを当てて気絶しちゃうシーンとか、「面白いな、こいつ」って(笑)。僕はああいうの好きです。
評価されるのが俳優の仕事「10代、20代は傷ついたこともあった」


ーー高良さんにも「認められない」という気持ちはありますか?

高良:
今の僕の状況で考えたら、確実に人に裁かれる、評価される立場なんです。だからある意味「認められる」「認められない」ということは、ずっとついて回っている。10代、20代はそれに傷ついたりしていたこともあったんですけど、今はもうないです。いや、ないと言ったら嘘になるんですけど(笑)、今は自分の仕事に(評価されることは)こみこみだなと思います。

ーー高良さんにとって、プレッシャーや重圧から心を軽くする手段は?

高良:
旅行です。興味があるな、と思ったところに行きます。周りに旅好きが多いので、そこでの話を聞いたりすると影響受けて行きたくなったりします。やっぱり海外とかにいくと、周りも自分のこと俳優だと思ってないし。俳優と気づいてもらえることはありがたいことですけど。たまに離れたくなります。

ーー日常から。

高良:
って日常から離れる仕事なんですけど(笑)。


ーー本作について「いつもより個人的な思いが多かった」とコメントを出されていましたが、どういう思いがあったのでしょうか?

高良:
30代最初の歳に撮影した作品だったんです。30代をずっとすごく楽しみにしていたので、この1年でどのくらい変われるかなという気持ちがありました。どこか褒められたいとか評価されたいという気持ちもありました。普段以上に結果が欲しいという欲が出ていました。

ーー劇中で三井は千尋から「三井くん」と声をかけられたことで、救われますし人生が変わっていきます。高良さん自身、これまでに救われた言葉はありますか?

高良:
たくさんあります!それは、いろんな人からもらった言葉です。自分がやったことを肯定されるというのは1番大きいです。否定されることの方が多いですし、「よかったよ」と一言声をかけてもらうのは大きいです。ただ、いい意見もそうじゃない意見も、人の意見は聞いた方がいいですね。「俺は面白いと思うんだけどな~」じゃなくて、人はどう思うかっていうのも、この仕事をしていく上で必要。

ーーこの映画も反応が楽しみですね。

高良:
楽しみです!ただただ“痛い映画”にはなってほしくない。痛みから感じることがある。皆さんにとってそういう映画になっていたらいいなと思います。






テキスト:堤茜子
写真:You Ishii

当記事はAbemaTIMESの提供記事です。

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