「なつぞら」89話。山寺宏一、高木渉ら本物の声優の前で、アテレコシーンを演じる俳優たち

エキレビ!

2019/7/13 08:30

連続テレビ小説「なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第15週「なつよ、ワクワクが止まらない」89話(7月12日・木 放送 演出・田中正)視聴記録
咲太郎の声優プロダクション始動
咲太郎(岡田将生)の声優事業も始動し、スティーブ・マッキング主演「拳銃渡世人」の吹き替えにゲスト出演することになった。蘭子(鈴木杏樹)、レミ子(藤本沙紀)、雪次郎(山田裕貴)、松井新平(有薗芳記)と島貫健太(岩谷健司)が現場に赴くと、藤井ディレクターを高木渉、元・活動弁士の豊富遊声を山寺宏一という人気プロ声優が演じている妙。
山寺の八面六臂の活躍はもはや説明するまでもないと思うが、高木は、大河ドラマ「真田丸」に出演したあと朝ドラ半分、青い。」にも出演。声優だけでなく実写でも活躍するようになった。山寺も高木も声優として人気を獲得した後、実写出演も増加したという、舞台俳優が声優になったのとは逆パターンをいく人物たちというところも面白い。煙カスミ役の戸田恵子もそう。最近は宮野真守を筆頭にこの声優が俳優に現象が増加しているが、それをここで書くと長くなるし「なつぞら」とはズレてしまうので、いつか別の機会に考察したいと思う。

ドラマでは舞台俳優たちが声を当てることに慣れていなくてなんともちぐはぐなことになる。そこがなにかと示唆に富んでいた。

咲太郎の「放浪するガンマンが一話ずつ事件を解決していくドラマ」(最近好まれるのも一話完結ドラマ)

松井の「芝居は覚えるもんじゃねえ生み出すもんだ」(役者の矜持)

レミ子の「なんで私が男の子の役なのよ」に咲太郎の「レミ子のだみ声が生きるんだ」で実際やってみるとハマっていて、ディレクターも気に入った様子で咲太郎も満足顔。(声優だからこそ、女性が少年の声を演じられる。野沢雅子しかり。田中真弓しかり。もっとも舞台でも女性が少年をやっていることもあるが。寺島しのぶも南果歩も少年を舞台でやっている。それはともかく、ここ、レミ子が鬼太郎など少年の声をやっている戸田恵子じゃないところが惜しいが、戸田恵子演じるカスミの付き人だったレミ子というところが面白い)

島貫が映像の口パクに合わせず「芝居というのは間だよ。自分の間で芝居しなかったら役者の個性は死ぬんだ」と言うと松井が「吹き替えっていうのはよ 人の間を盗むんだよ」と言い、島貫の「そんな泥棒のまねができるか。おまえじゃないんだ」と反論。(またまた役者の矜持。「泥棒」話は、松井が過去時計を盗んだところとかかっている)

西部劇で効果音が馬の音(「なつぞら」では“馬”がずっとモチーフになっているのを感じる)。

いろいろあるなか、雪次郎には無自覚な北海道なまりがあって、役者としての欠点が浮き上がってくる。
何度もやり直した結果、口を塞がれてしまうときの山田裕貴の表情が辛い……。

声優考証は、声優事務所アイムエンタープライズの取締役会長・江崎加子男とクレジットされているが、撮影現場では高木がマイクの使い方などレクチャーしていたらしい。

「あなたってずるいわ」
うまくいかないといえば、短編アニメーション「ヘンゼルとグレーテル」。なつと坂場と神地はノリノリで作っているが、麻子(貫地谷しほり)が乗ってこない。貫地谷しほりがずっと浮かない顔をしている。
なつに、麻子がナットクしてないならやりたくないし、日本ではじめて原画をやるのは麻子であるべきだと言われ「あなたってずるいわ」と麻子は返す。この場面は白眉だ。
「そうやってなんでも一途に自分の情熱だけを貫こうとするんだから、まわりで悩んでいる人は何も言えなくなる」「でもものをつくるには大事なことよ。それはないとすぐに妥協するからね」と返す。
麻子はものづくりの厳しさをよくわかった人物だ。ものづくりに関わること、それも高みを目指す場合、年齢もキャリアも情も関係ない。実力しかない。だからそこについていけなくなる人は出てくる。そのどうにもならない事実。「私だってそうありたいのよ」と言いながら、なかなか先に進めない人の悩みは、朝の15分には重い。
世の中、言ったもの勝ち、やったもの勝ちなところがあって。なつはそういう人である。確実に麻子のほうが実力はあるし、なつは自分の情熱やポテンシャルにまだ無自覚だが、その旺盛な生命力で面白そうなこと、これから開かれていきそうなことに反応しているのだろう。ものごとをよくわかってない人のほうが強いってことがあるのだ。
麻子がすてきなのは「だから私のことなんか考えなくていいの。ものをつくることだけ考えてなさい」と言うところ。自分のことより作品が良くなることを考えていて、勉強不足にもかかわらずなんとなくまわりにかわいがられるなつを嫉妬していじめたりもしない。自分が進化のなかで淘汰されていく存在であることを自覚する知性がある。己の不足している分を自覚して、なんとも物悲しい表情をしている貫地谷しほりが魅力的だ。
貫地谷しほりがヒロインを演じた朝ドラ「ちりとてちん」で落語がものすごく好きで女性の落語家になったものの、結婚して子供ができて引退することを思い出す。

そして、また「なつぞらアニメーション」のクオリティが高かった! これじゃあ、素人は投稿できないよーとその圧倒的な才能に打ちのめされる気持ちと、麻子や雪次郎の気持ちがつながっているような気がして、ちょっと胸が疼く朝。どんなに頑張っても必ず報われることもないし、傍から見てがんばって見えない人がなぜかいいことになっていくこともいくらでもある。この理不尽さこそが現実。理不尽は坂場版「ヘンゼルとグレーテル」にも重要な要素だ。理不尽、それを乗り越えてこそ!

【第16週あらすじ】「なつよ、恋の季節が来た」 7月15日・月~22 日・土 演出:渡辺哲也
なつ(広瀬すず)たちの漫画映画づくりは佳境に入っていた。演出の坂場(中川大志)の度重なる描き直し指示にも負けず、新人・神地(染谷将太)の活躍もあり、新しい漫画映画が誕生しようととしていた。そんな中、夕見子(福地桃子)が突然、恋人の高山(須藤蓮)と一緒に北海道から上京してきた。周囲の学生たちに影響を受けた夕見子は大学を辞め、高山と一緒に新生活を東京で始めるという。夕見子のあまりに身勝手な結婚観についていけないなつ。亜矢美(山口智子)も説得しようとするが耳を傾けようとせず、ついに電話で富士子(松嶋菜々子)に相談してしまう。数日後、夕見子を説得しに十勝からやって来たのは、あの男だった。






91回あらすじ  7月15日・月 放送
亜矢美(山口智子)が営むおでん屋・風車に、なつ(広瀬すず)や咲太郎(岡田将生)、坂場(中川大志)、雪次郎(山田裕貴)たちが集まる。その中心にいるのは、北海道から上京している夕見子(福地桃子)。相変わらず独自の視点で恋愛について語っているが、なつにはまったく理解ができない。その夜、なつは夕見子に、どうして東京に来たのか、今どんな人と一緒にいるのか聞き出そうとするが……。




{木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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