「きのう何食べた?」涙と爆笑の最終回、1話と比較でさらにグッとくる

dwango.jp news

2019/6/30 13:37


よしながふみ原作の人気マンガを実写化したドラマ「きのう何食べた?」(テレビ東京)がついに最終回を迎えた。

西島秀俊と内野聖陽が男性カップルを演じ、食卓を中心に日々の何気ない幸せやほろ苦さを丁寧に描いた本作は、原作ファンも含め多くの視聴者の心を掴み、金曜の夜にほっこり幸せな気分を毎週毎週与えてくれた。

感動の名言あり、現実の切なさあり、爆笑のアドリブありの最終回を終えた上で、ここであえて第1話を振り返ってみたい。変わるもの、変わらないもの。ドラマ「きのう何食べた?」の魅力が改めて見えてくる。(一部ネタバレあり)

素朴で温かいOAUの『帰り道』が流れるオープニング映像は、「何度みても癒し」「見る度に泣けてくる」と大好評だが、第1話で初めてこのオープニングが流れたのは、シロさんと同じ弁護士事務所の“若先生”こと修(チャンカワイ)がシロさん(西島秀俊)に

「きのう何食べた?」

と尋ねた直後だった。夕食の献立を聞かれた質問に対する“答え”のように流れた映像。豚の生姜焼きを作るシロさんを、ケンジ(内野聖陽)がちょっかいを出しながらスマホで撮影。最後は2人で手を合わせて「いただきます」をする、という日常の一部を切り取ったものだ。

2人の仲睦まじい様子がなんとも可愛らしく、いつまでも見ていたいと心掴まれたものだが、全12話、シロさんとケンジの互いを思いやる気持ち・歩み寄り・別れない為の努力、そして現実との葛藤を見てきた上で、この映像が“答え”だと思うとさらにグッとくるものがある。

最終話では、シロさんの実家へ。第1話では、母・久栄(梶芽衣子)がシロさんに電話で「同性愛者なのはちっとも恥ずかしいことじゃないのよ。人間にはそれぞれ違った個性があって素晴らしいことなの」と同性愛を理解しようと努力していることは分かるが、最終話でシロさんの父・悟朗(田山涼成)がケンジ(内野聖陽)に尋ねたのは、「家の中で女の格好をしているのは史朗のほうかね?」。“どっちかが女の格好をするもの”。現実の理解はそうも変わらないということが浮き彫りになった。

それでもケンジは、「ご両親がちょっとでも安心できるなら、いいじゃない?」と、自分が女装していることにしたのだ。そして「そんなことより」と、自分が恋人の実家でご飯を食べる日がくるなんて夢みたい、と幸せを噛みしめる。ケンジにシロさんが言った「長生きしような、俺たち」は共に生きていこうというプロポーズのような言葉。「食い物、油と糖分控えてさ、薄味にして腹八分目で」という言葉の後に行った「長生きしよう」はとても現実的で、だからこそ夢ではない決意のように感じられた。

こうして、ほろ苦いことよりも幸せの方をたっぷりと感じて、厳しい現実を2人なりに乗り越えていきながら、シロさんとケンジの心の距離もますます縮まっていくのだった。


第1話で、ケンジ(内野聖陽)が美容室の客に「ゲイなの」とカミングアウトし、シロさん(西島秀俊)のことを話したことが分かると、シロさんは激怒した。それが、最終話では「おまえが幸せ感じるなら、これからはカフェぐらい何度でも付き合うよ」と変化している。年月を重ね、日常の小さな幸せをいくつも重ねる中で、どんどんシロさんの心境は明らかに変化した。

笑顔のシーンが増え、表情が大幅に豊かになったように感じるが、今ここで第1話を見てみると、変な言い方だが、シロさん(西島秀俊)はやっぱりシロさんなのだ。もっと硬くてぶっきらぼうな感じがしたはずなのに、やはりケンジへの想い、心の奥にある優しさや人間味は滲んでいる。過剰ではなく、心境やケンジとの関わりの変化の分だけ、表情が広がったように感じる。そこに、原作ファンでもある俳優・西島秀俊が完全に“シロさん”となって、余すところなく演じた凄みを感じずにはいられない。

最終回のラストは、おそらくアドリブで、まさかの下ネタをケンジ(内野聖陽)がぶち込む(そしてそのまま放送しちゃう)という爆笑のラストだったが、第1話もおそらくアドリブと思われる楽しい二人の会話で締めくくられていた。ケンジがコンビニで定価で買ったハーゲンダッツを2人仲良くソファで食べるシーン。シロさんが「『ひょんなことから』の“ひょん”って何なの?」と尋ねると、ケンジが「ひょんなこと」を妄想をして語り出す。「何言ってんの?違う、ひょんなことの“ひょん”の意味は何ですかって聞いてんの!」「ひょんは…ひょんよ」…

「じんわり泣いてたら、ラストめちゃくちゃ笑った」「中盤で泣いてもやっぱり最後はニヤニヤしちゃう」と、2人の楽しい会話で笑顔になれる、そんなラストは全12話変わらなかった。ちなみに、中村屋のBGMもしっかり第1話から登場していた。

「きのう何食べた?」という一見ありふれた問いは、特別な言葉ではないように思えるが、一緒に美味しいご飯を食べて、気持ちを伝えあう――そんなシンプルな日常の中に幸せがあることを何度も気付かせてくれたドラマを観た後、この問いには日常がギュッと凝縮されているように感じる。そしてその後のオープニング映像が、最初から変わらない明確な“答え”を示してくれていたように思う。

“何食べロス”や「続編希望」の声が続々と上がっている本作。ドラマで放送されたのは、15巻まで出ている原作の第7巻までの内容から。最後の最後のシーンもいつもの「いただきます」で終わったドラマ「きのう何食べた?」。まだまだ二人の日常を覗いていたい。

(C)「きのう何食べた?」製作委員会

当記事はdwango.jp newsの提供記事です。

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