【ぶらり秘境下車】橋上に佇む絶景駅! 雄大な渓谷美を誇る「保津峡駅」から柚子の里・水尾を目指して歩く



まだ見ぬ景色や出会いを求め、秘境駅を旅する「ぶらり秘境下車」。今回は京都市と亀岡市にまたがる橋上の無人駅、「保津峡駅」をご紹介しよう。

ホームから眺める保津峡の渓谷美、そして歴史ロマンあふれる水尾の里への旅、ボリュームたっぷりでお届けするぞ!

・川下りで知られる景勝地
日本海沿いに京都府と山口県を結ぶ日本最長の在来線、JR山陰本線。そのうち京都駅から園部駅までの区間は嵯峨野線(さがのせん)の愛称で親しまれており、今回ご紹介する保津峡駅も嵯峨野線の区間内に含まれている。

保津峡駅は渓谷に掛けられた橋梁(きょうりょう)の上にホームを構えており、真下には川下りで知られる保津川が流れている。絶好のロケーションを有する当駅だが、近くを走る嵯峨野観光鉄道(JR線とは別の観光列車、いわゆるトロッコ列車)に観光客が集中することもあり、利用者の数は極めて少ない。

・これぞ渓谷美
しかし人が少ないということは、逆に景色をゆったり楽しむには最適かも。しかも運が良ければ、遊覧船が真下を通る風景を見られるというではないか。期待に胸をときめかせ、筆者は保津峡駅のホームへと降り立った。

駅には筆者の他に外国人のカップルが一組いたものの、ほぼ貸切状態。ホームから周りを見回せば山々の緑がなんとも鮮やかで、澄んだ空気が心地よい。

お目当ての景色もバッチリ。眼下を流れる保津川のせせらぎに、時折聞こえる鳥のさえずり。目だけでなく、五感で渓谷美を楽しむ

ただしホームには転落防止用に背の高い柵が設けられているので、子供や身長の低い人には少し景色が見えづらいかもしれない。でも危ないから身を乗り出したりしちゃダメだぞ。

山の間を電線が通っている風景、なんか味があって好きだな。この気持ち分かってもらえます? あ、分かってもらえますか。ありがとうございます。

ホーム間は線路の下を潜る形で行き来することができる。下から見上げる線路も迫力があって、これまた良しだ。電車が通ると駅全体がガタガタ揺れる感じがあり、橋の上にある駅だということを実感できる。

しばらく滞在してみたものの、タイミングが悪かったのか遊覧船の姿は見ることができず。あきらめて近くを散策してみることにした。

・柚子の里をめざして

駅前の案内板で周辺の地理をチェックする。どうやら東へ進むと前述の嵯峨野観光鉄道のトロッコ保津峡駅、北へ進むと柚子の産地として知られる水尾集落へと行き当たるようだ。今回は水尾集落へと足を伸ばしてみることにした。

駅から3.1kmと少し遠いが、日ごろ運動不足の筆者にはちょうど良い。バスも出ているようだが、せっかくなので歩いていこう。

駅を背に歩き始めると、すぐに道が二股に分岐していた。ご丁寧にも「水尾方面」と書かれた看板が3個も設置されている。これは迷わなくていいや。そう思ったのだが……。

看板①には「水尾まで2.9km」、看板②には「水尾まで3.5km」、看板③には「水尾まで3.6km」と書かれている。

いったいどれを信用したらいいんだよ! 徒歩での100mって結構でかいぞ。てか駅前の案内板には3.1kmって書いてなかったか。

4つの看板に書かれた距離がいずれも異なるというトリックに、いきなり距離感を狂わされてしまった。しかし嘆いていても始まらないので、水尾集落を目指して山道を歩き始めることに。

森の間を縫うように府道50号線をひたすら歩く。この日は気温が高かったものの、木々が直射日光を遮ってくれる箇所が多く、あまり暑さは感じない。それどころか、所々道路に木漏れ日が落ちて良い感じだ。距離がどうとか騒いでいたことも忘れ、プチハイキングを楽しむ。たまには歩くのもいいな~。

しばらく歩いたところで、また看板を発見。さてさて、どれくらい進んだかな?

保津峡駅まで1.1km、水尾まで3.2kmとある。なるほど。そうですか。

……。

………。

……っておかしいだろ! 足し合わせたら駅から水尾まで4.3kmあることになるじゃねえか! さっき見つけた4つの看板のなかでも3.6kmが一番長い距離だったぞ。いい加減にしろ!

それぞれ異なる証言をするオリエント急行の乗客のような看板たちに、筆者の脳細胞(灰色ではない)は惑わされる。よし、もう何も信じない。

その後も次々と出てくる看板にシカトを決め込んだり、四つ葉のクローバーを探したりしながら(発見できず)、なんとか水尾集落に到着。ふう、ようやく着いたぜ。

・柚子ソーダと清和天皇社

古ぼけた看板に迎えられ、集落の中へ足を踏み入れる。とりあえず喉が渇いていたので、ジュースを買うことに。せっかく柚子の産地に来たので、「京ゆず MIX SODA」をチョイスした。まあ自販機で売られている商品なので当地の柚子が使用されているものか定かではないが、細かいことは良いではないか。

飲んでみるとコレが激ウマ! マジのマジで激ウマ! 山歩きの後ということで美味しさに拍車が掛かったことは認めるが、それを差し引いてもウマイ。あまり他のところで見かけたことはないが、もっと色んなところで販売するべきだって! 伊藤園さん、聞いてますか~?

渇きも癒えたところで、集落内を散策してみることに。できれば何か食べたいところだが、飲食店はおろか、人の影が全く見当たらない。鶏鍋を出す店が数軒あるようだが、どこも「予約にて」と書かれており扉は閉ざされている。パッと入って食べられる雰囲気ではなさそうだ。腹減ったぜ……。

どうやら食事はあきらめるしかなさそうだ。この地で亡くなった清和天皇を祀った神社が近くにあるらしいので、そちらに行ってみることにした。

清和天皇は水尾の美しい自然をこよなく愛し、譲位後の余生をこの地で過ごされた方らしい。神社の境内は厳かな雰囲気で、ピンと引き締まったような空気を感じる。そしてやっぱり誰もいない。

・敵は本能寺にあり

そろそろ帰路につくことにしよう。日が落ちかけた水尾集落の美しい風景に後ろ髪を引かれながら、もと来た道を引き返す。

往路では気づかなかったが、半分ほど進んだところで「明智越」なるスポットに出くわした。調べたところ、明智光秀が信長を討つため拠点の亀岡から本能寺へ向かう際に通った道だそうな。

この場所を通ったときは、わずかばかりの天下になろうとは思いもしなかったのかもしれない。そんなことを考えながら、帰路を急ぐ。

・ベストスポットはここだ!
保津峡駅へと帰ってきた。お腹も空いたことだし、今回の旅はここで終わりとしよう。最後に、保津峡駅をバッチリ写真に収めたいという貴方のためにベストスポットを紹介するぞ。

駅を背に歩き出すと、すぐに道が二手に分かれることは前述の通りだ。この分岐路で、右(東)方向へ進んで欲しい。つまり今回足を伸ばした水尾方面とは逆の方向だ。

少し坂を上るとすぐに視界が開け、駅を斜め上から見下ろすことができるようになる。この場所から、周辺の渓谷美も含めて駅の全景を撮影することができる。ぜひ参考にして欲しい。

Report:グレート室町
Photo:RocketNews24.

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