池田成志が『けむりの軍団』を語る!「無責任な匂いをさせつつも(笑)痛快な時代劇を見せたい」

SPICE

2019/6/29 18:00


2019年7月15日(月・祝)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて上演される劇団☆新感線「いのうえ歌舞伎《亞》alternative『けむりの軍団』」。脚本を務めるのは3年前の『乱鶯』で筆を執った倉持裕。そして演出はいのうえひでのりが務める本作で、頭の切れる軍配士・真中十兵衛(古田新太)とある目的のもと、バディを組むずる賢い謎の浪人・美山輝親役を務めるのは、これが13回目の出演となる新感線の常連・池田成志。本作に向けた想いを池田に聴いてきた。

ーーまずは基本的なところから。本作のオファーが来た時にはどう思われましたか?

『けむりの軍団』は、昔やった『秋味』(豊年漫作チャンピオン祭り・秋味R 古田新太之丞・東海道五十三次地獄旅~踊れ!いんど屋敷)に少し似ているかもしれないですね。そして、お仕事のオファーを断る理由などさしてございません。オートマティックに「次はこれだから」とお話が来る関係ですので(笑)。
実は(生田)斗真が出る『偽義経冥界歌』に出たいんですけど、って言っていたんです。斗真と一緒に出た事がなくて、本人にも「出たいなぁー」って話をしたのですが……。「他の芝居とスケジュールが被っているのでダメです」って言われまして(笑)。そのほか新感線の中でもいろいろバランスなど考えたんじゃないですかねえ。「橋本(じゅん)がダメだから池田でいいやっ」とか(笑)。​

池田成志
池田成志

ーーそんな雑な(笑)。さて、倉持さんの本をお読みになった感想は?

僕は倉持さん作品を初めて経験しますが、本当によくできているし、読み物としては完成されていますね。でもね、お芝居は「体感」ですから、体感時間が長いなって思われたりするとつまんないな、って思われがち。だけどこの本は「このシーン、要らないんじゃないの?」っていうシーンがほとんど見受けられないので、たいしたもんだなと思いましたね。「これを削ったらこっちの理由が説明つかなくなる」「これ、いらないなあ……あ、でもこれがないとこっちに繋がらないのか」って感じでいろいろ絡み合っていてね。

ーー今回成志さんが演じる「美山輝親」という人物ですが、どのように演じたいと考えていますか?

今回、何も考えてない人ではない、実はいい人な? キャラクターなので、むしろやりづらいんですけど(笑)。いつもみたいに無責任ではいられないなと思っています……でも無責任でやりますけど(笑)。あとはケガですよね! いのうえさんとやると必ず身体を壊すんですよ! 台本を読んだ限りでは、今回もさんざん殴られたり吹っ飛ばされたりするので、今から軽く心配なんです。僕はこの顔ぶれの中では最年長のはずなんですけど、いちばん殴られていますね(笑)。……また入院しちゃうかも(笑)。それだけは避けたいです(笑)。

ーーこれまで成志さんが演じてきた役どころはおおむね裏切ったり、裏切ったり、また裏切ったりする役どころだらけでしたからね(笑)。

今回は僕だけでなく、全体的に騙し、騙され、というキャラクターばかりなんですよ。それが戦国時代の「調略もの」のようであって。悪は悪なりに策を練り、主人公側もまた策を練る。そんな中で(早乙女)太一の役だけが策を練らずに純粋な存在としている。黒澤明監督の『隠し砦の三悪人』のような歴史活劇、時代活劇の様相なんです。今回はそういったおもしろい作品の……パクリなんです(笑)。
池田成志
池田成志

ーーそこはオマージュとかリスペクトとか違う表現が(笑)ちなみにどのような心構えで稽古に臨んでいかれる予定ですか?

僕は新感線に限らず、どこの現場に行っても役は作り込まないタイプです(笑)。が、今回は「実は……」という人ですから。いつも無責任に裏切り続けてよくわからなくなっちゃった、というキャラクターを良く演じてきましたが、今回はそうではないので、そのあたりがちょっと難しいかもなあ、ちゃんとやらなきゃならないかもな、と思っています。なにせ話がうまく出来ているので、いつもは話の隙間を見つけてはどう遊ぼうかなとそんな事ばかり考えているんですが、今回はそんな事をあまり考えず、話を次に渡していく事をまずはやっていかねば、と思っています……って、ごく当たり前の事なんですけどね(笑)。

ーー今更ですが。実は新感線の舞台で「実はもっと真面目な、マトモな人物を演じたかった」と思われる事はありましたか?

ないですね! 自分自身ではすごく人が良いと思っていますが、良質な人間を演じることは不得意なんです。まあ役者は皆そういうところがあると思いますけどね。「そんなにお前っていい奴か?」「そんなにお前は清い奴なのか?」ってどこかで思っているからこそ、二枚目キャラを演じる人は苦しいと思うんです。でも悪役って思う存分できるから役者としてはやりやすい。そういう意味では僕はいい人なのか悪役か分からないグレーな役が多かったから、ものすごく無責任に出来たんですけど、今回はそういう匂いをさせつつもベースとなる設定があるので、そこはくずさないようにしないとって思っています。

いのうえさんも製作発表で言ってましたが、確かに娯楽ですけど、本格時代劇っぽいので押さえておかなければならない「点」を揺らして悪ふざけのほうに振ると逆におもしろくなくなりそうなんです、今回に限っては。だから舞台を観に来たお客様を「痛快な時代劇を観た!」という気持ちにさせたいですね。

ーー倉持さんが書きたがっていた事の一つに「古田さんと成志さんのバディもの」があったそうです。古田さんとは長いお付き合いになりましたが、こんな絡み方は初めてですよね?

これまでの芝居では、大体僕が出ても裏切っちゃうので「バディ」と見せかけてやっぱり違う、という事が多かったんです。でもこれだけガッツリ一緒にいるという芝居はなかったですね。他の現場でもなかったような……。
池田成志
池田成志

古田とは結構長い事一緒にやっていますから、あまり新鮮味がないというか(笑)。プライベートでは古田が馬鹿な事をやって「おいおい、何してるんだ」という関係性でずっとやってきているんですが、舞台上ではこれが逆になっちゃうんですよ。よく古田は僕が芝居でボケたりすると「そのくらいでいいから。早くやれ、先に進め!」って目をするんです、お客さんに分からないように。まああのほっそい目ですからバレませんけどね(笑)。でもその目がちょっと殺し屋みたいで、ボケをやっていても醒めるんですよ、舞台上で(笑)。今回もまたあるんだろうな、と思うと舞台上では会いたくないですね(笑)。

ーー新しいタイプの絡み方、楽しみにしています! ちなみに13回目の出演となる成志さんから見た劇団☆新感線の魅力とは?

いのうえさんの「姿勢」だと思います。劇団員も皆いいトシこいてるし、凄く文句も言うんだけど、いのうえさんの面白がり方や、いのうえさんが興味を持つ映画、お芝居などを劇団にフィードバックして、そんなにお金をかけなくてもいいじゃないっていうくらいお金をかけて展開させていく「姿勢」に実は求心力があると思うんです。僕も20代の頃から劇団と付き合いがあるんですが、その求心力は揺らいでいないと思いますね。それは長く続いている劇団はどこも同じ。ナイロン100℃ならケラっち(ケラリーノ・サンドロヴィッチ)や、大人計画なら松尾(スズキ)さんや(宮藤)官九郎とかもね。僕みたいに劇団に入っていない人間が時々お邪魔しても、芯が揺らいでいないからここにいていいんだ、っていう居心地がいいんです。
あと、やっかみ半分でここまで演劇界に無視され続けている劇団っておもしろいじゃないですか(笑)。「あんたらがやっている事は演劇じゃないね」って言われる事が未だに多い。でも「それでいいんだ」ってスタイルでいる、それが特筆すべき点かもしれないですね(笑)。


池田成志
池田成志

取材・文=こむらさき 撮影=岩間辰徳

当記事はSPICEの提供記事です。

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