中川大志インタビュー 『高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの』音声ガイド収録で感じたこと

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2019年7月2日(火)~10月6日(日)まで、東京国立近代美術館で開催される『高畑勲展ー日本のアニメーションに遺したもの』。本展の音声ガイドを、俳優の中川大志が担当することが決定した。スタジオジブリの中心人物として活躍したアニメ監督・高畑勲の功績を初公開の制作ノートや絵コンテなど1,000点以上の資料で辿る本展。現在放送中のドラマ『なつぞら』で自身もアニメクリエイター役を演じている中川に、今回の収録の感想や高畑作品に対する思いなどを聞いた。

音声ガイドの収録は、「1本の映画を見ているかのようだった」



ーーまずは先ほど収録を終えてみて、今の率直な感想を聞かせてください。

音声ガイドは高畑監督の生涯を追った流れで構成されていたので、まるで1本の映画を見るような感覚であっという間の収録でした。こういうナレーションを録るのは初めてなので最初は緊張しましたが、今ドラマで演じている役と気持ち的にリンクするところもあり、自分が高畑監督の人生に入り込んだかのようで、時が経つのをすっかり忘れていました。このタイミングでこうした機会がいただけたのは、本当に大きな刺激になりました。

ーー収録の中で特に気を遣ったポイントはどこでしょうか。

展覧会に訪れる方々の邪魔にならないように自分の色はなるべく出さず、情報がしっかり届くことを意識して収録に臨みました。でも、高畑監督の思いがドラマの役と重なる部分もあって、表面では冷静を保ちながら、心の中では感情移入してしまうようなところがたくさんあったのも本音です。

ーー収録を終えてみて感じた、高畑監督の印象を教えてください

ガイドの中には高畑監督自身の言葉も多く出てくるのですが、とにかくアニメーションに対する熱量がものすごい方だったんだなって。人生の局面ごとに様々な苦悩や葛藤とぶつかるんですけど、どんな状況であっても根本にある情熱は揺るがない。子供の頃、僕らの目に自然と触れていた作品も、その裏にはいろんなドラマがあったということを知りました。きっと今、それらの作品を見直してみたら、幼い頃には気付かなかったメッセージを受け取れそうな気がします。

ーー音声ガイドでは、『狼少年ケン』などに携わった大塚康生さん、『アルプスの少女ハイジ』などに携わった小田部羊一さんなど、高畑監督を支えてきた方々のインタビューも聴きどころになっているそうですね。

そうですね。まわりの方々の想いや思い出を聞くことで、盟友のような近しい人しか知らない高畑監督の本当のお人柄が見えてくる。そんな部分を知ることができるのもこの音声ガイドの魅力だと思います。そして台本を読んでいて思ったのは、高畑監督は創作への情熱が人一倍強い分、周囲に要求するレベルも高いということ。その無理難題ともいえる要求に応えられるメンバーの力があったからこそ、監督の信念が形になっていったのだと感じました。

来場者を「泣かせるぐらい」の感動を届けたい


ーー高畑監督作品の中で、中川さんが特に印象に残っている作品を教えてください。

一番思い出深いのは『パンダコパンダ』です。幼い頃、祖母の家に『パンダコパンダ』のビデオテープがあって、それを何回も見ていた記憶があるんです。今でも主題歌が脳裏に焼き付いているんですけど、台本の中の高畑監督の言葉に「主題歌は子供たちでも歌える歌にした」という一節があって、まさに自分もそういう子どものひとりだったんだなって。もちろん当時は高畑監督の作品だとは知らずに見ていましたが、今こうして音声ガイドを演じさせてもらったことに不思議な縁を感じています。


ーーもし高畑作品のキャラクターを演じられるなら、中川さんはどのキャラを演じてみたいですか。

いやぁ、それは難しい質問ですね。そうだなぁ……、やっぱり『パンダコパンダ』のパパンダ。いや、『平成狸合戦ぽんぽこ』の狸たちかなぁ。ジブリ作品の中では『となりのトトロ』もそうですけど、もしかしたら本当にあるかもしれないって思えるような、日常とファンタジーが共存している世界観のお話が好きなんです。狸が人間に化ける瞬間の映像が印象的で、ああいう不思議なキャラクターを演じられたら楽しそうですね。

ーー今回の経験はご自身の表現にも活かされそうですか。

役者という職業もモノを作る仕事なので、見てくださる方々に作品を届けるからには信念を持ってこだわり抜くことが大切ということを学んだ気がします。

ーー資料を通じて展示物の一部をご覧になったそうですが、中川さんが思う本展の見どころを教えてください。

新人の頃に書いた企画案やメモなどをはじめ、ここでしか見られないものがたくさんありますし、高畑監督の念がこもった資料を見られる本当に貴重な機会だと思います。この展覧会で見られるストーリーは、高畑監督の人生の歴史であるとともに、日本のアニメーションの歴史でもあると思います。自分たちが当たり前のように目にしてきた作品が、本当にたくさんの思いや苦労の中で作られてきたという事実を発見できるのではないでしょうか。

ーー最後に、展覧会ナビゲーターとして本展を訪れる方々にメッセージをお願いします。

今回の収録を経て高畑監督の信念を改めて知り、最後は目頭が熱くなるくらいの感動を覚えました。皆さんにも同じような感動が伝わり、泣かせるくらいの感動を届けられたらナビゲーター役として嬉しいです。この展覧会に来たら高畑作品がもう一度見たくなる。わざわざ僕がそんなことを言わなくたって、きっと誰もがそういう気持ちになるはずです。

当記事はSPICEの提供記事です。

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