「クレイジージャーニー」で話題の二人が熱弁、ブラジル・スラム街の歩き方と暮らし方

日刊SPA!

2019/6/25 08:30

 6月20日(木)、テレビ番組「クレイジージャーニー」(TBS)出演で話題のふたりが、「スラム街の歩き方と暮らし方~ブラジル・ファベーラのリアルとホマンチコ~」をテーマにトークショーを行った。同番組の出演者が共演するのは、非公式の場では初。

ブラジル・リオデジャネイロのファベーラ(スラム街)に10年以上住み、そこで暮らす人々を撮影した写真集『ROMÂNTICO(ホマンチコ)』を刊行した写真家の伊藤大輔氏。

今回は、世界各国の危険地帯やスラム街を渡り歩き、近著に『世界の危険思想 悪いやつらの頭の中』や『GONZALES IN NEW YORK』などがあるジャーナリストの丸山ゴンザレス氏を聞き手に迎えた。

今まで交わることのなかったふたりが交差する。写真家、ジャーナリスト、生活者、旅人……それぞれの立場からブラジルやファベーラのリアルについて語り合った。

◆「ブラジルは治安が悪い」と報道されがちだが…

クレイジージャーニー出演の常連でもあるゴンザレス氏いわく、「番組スタッフの間で“ヤバかった取材”として常に名前があがるのが伊藤さんのギャング撮影」なのだとか。写真集のなかにもファベーラで拳銃を手にするギャングの姿などが収録されている。

とはいえ、危険なことばかりかと言えば、そうではないという。伊藤氏は「ブラジルに関する日本の報道には誤解が多い」と指摘する。

「ブラジルの危ない面ばかりクローズアップされがち。よく勘違いされるのですが、ファベーラも99%が穏やかな生活だから。残り1%ぐらいで銃撃戦がある。やっぱり、正しく伝えたいと思った。あと、僕が住んでいたのはファベーラのなかでも“高級ファベーラ”だから。ちゃんと住める家があって、自然や海が近くて。子どもを育てていたから、やっぱり快適なところにしか住まないよ。

リオでも郊外のほうなんかは、僕でも入りたくない。ただ、治安のことって難しいですよね。極論を言えば、どんなに治安が悪いと言われている場所でも、どこに踏み込んだら危ないのかわかっていれば大丈夫だったりするから」(伊藤氏)

ゴンザレス氏もブラジルの各地を取材した経験がある。

「ブラジルって、実際に行ってみたらほとんどの場所が楽しいんですよ。ただ、僕の立ち位置からすると、『ぜんぜん危なくないですよ』とは言えない。だからリスク込みで伝えたうえで、最終的に面白いと思ってもらえたらうれしい」(ゴンザレス氏)

◆「みんな人生にドラマをもっている」

ファベーラで写真を撮るために暮らしていた伊藤氏だが、「自分の撮りたい場面で撮りたい写真が撮らせてもらえない」と思い、カメラをやめていた時期もあったという。会場では、そんな時に回していたというムービーも上映された。

そこには、スラムで暮らす人々のなにげない日常が映されていた。もちろん、ロケットランチャーが飛び交う激しい銃撃戦や、ドラッグを嗜む様子など、治安の悪さを物語る場面もあった。しかし、その多くは人々が楽しそうに歌やダンスに興じる姿。サッカーの試合があれば、近所の人たちで集まってビールを飲みながら観戦する。

「日本でも小さい頃に町内会とかつながりがあったけど、スラムもコミュニティだからね。そういうのが残っている。それが懐かしくて、居心地がいいと思えた」(伊藤氏)

伊藤氏が“父親のような存在”と話すブラジル人の男性がいる。女性の口説き方から波の乗り方、ギャングとの接し方、リオの裏社会でトラブルに巻き込まれず、いかに楽しむかを教わったという。

「スラムにいる人たちは基本、逞しいというか。みんな人生にドラマをもっているよ。『俺は田舎から出てきて、あそこの林を切り開いたんだ』とか、強い人しか残っていない」(同上)

ゴンザレス氏からファベーラの日常を10年間に渡って切り取った写真集のタイトル『ホマンチコ』の意味を問われると、伊藤氏は「ポルトガル語で劇的とかロマンチックなんですが、僕はもともと会社員をかじって辞めているので。ロマンを求めていたんだと思います。日本で感情むき出しになったり、大声を出したりすることなんてないじゃないですか。海外で撮っていると、相手も本気で怒って瓶とか投げてくる。それに対して僕も怒ったり。それが心地よい部分もあったんです」と答えた。

スラムと聞けば、危ないイメージばかりが先行するかもしれないが、そこには人々にとって当たり前の日常があり、人間ドラマがあることを実感した次第である。<取材・文・撮影/藤山六輝>

【藤山六輝】

コアなジャンルを得意とするライター・編集者。著書に『海外アングラ旅行』『実録!いかがわしい経験をしまくってみました』(共に彩図社)、執筆協力に『旅の賢人たちがつくった海外旅行最強ナビ【最新版】』(辰巳出版)などがある。Twitter:@gold_pimpcode

当記事は日刊SPA!の提供記事です。

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