HYDEがラルクを再開しない理由 アメリカ進出で音楽性激変でもファンの反応は?

wezzy

2019/6/18 07:05


 19日、HYDE(L'Arc~en~Ciel、VAMPS)がソロ名義のアルバム『ANTI』をリリースする。オリジナルアルバムとしては2006年リリースの『FAITH』以来13年ぶりとなる。

『ANTI』の特色は、HYDEだけで曲をつくるのではなく外部のソングライターとの共作で楽曲制作を行ったこと。もうひとつは、海外のソングライター、プロデューサー、エンジニアを迎え、海外仕様の音づくりを目指したことである。

HYDEはアメリカでのツアーを精力的に行うなど、海外進出、特に米国進出の動きを強めているが、『ANTI』はそういった活動の延長線上にある。

「ROCKIN’ ON JAPAN」(ロッキング・オン)2019年7月号のインタビューでは、アメリカ進出のために音のつくり方を抜本的に変えたと語っている。

<日本で作った曲であっても、プロデューサーとかエンジニアとか、向こうのフィルターを通すようにしてました。やっぱり、僕たちの感性ではわからないことがあるんですよ。どこが気持ち悪いとか──日本のフィルターだけで作ると、アメリカ人が聴いてどこか気持ち悪いところがあるんですよね、きっと。そこを向こうのフィルターを通してクリアにしたかったんですよね>
<向こうのフィルターを通すんだけど、お互いの共通点の一番いいところを作り上げたいなって。日本でももちろん最高でありたいけど、向こうの人が聴いて『ん?』って思われる部分をなくしたい。それは僕らではわからない部分があるので、プロデューサーとかエンジニアとか、向こうのフィルターを通してます>

日本の音楽業界の慣例でつくられていった、よく言えば「個性的」、悪く言えば「ガラパゴス」な部分を、敢えて消すように努力したのである。
ONE OK ROCKはアメリカ進出で音楽性を変えバッシング
 ONE OK ROCKも、今年2月に発売されたアルバム『Eye of the Storm』で、かなり似た制作スタイルをとっている。

このアルバムをつくるにあたりONE OK ROCKは、ジャスティン・ビーバーのメインプロデューサーのひとりであるPoo Bearと楽曲を共作するなど、バンド外のクリエーターと積極的にコラボレートした。

また、アメリカ側のスタッフから「もっとラジオソングも作ったほうがいい」というアドバイスを受けて、向こうのレコード会社から紹介されたプロデューサーと曲をつくるなど、バンド運営に関するイニシアチブまでかなりの部分をアメリカ側のスタッフに渡したのだという。

アメリカで成功するため自分たちが身につけてきたやり方はいったん捨て、「郷に入れば郷に従え」スタイルで相手のやり方を学ぶ。それをTakaは「大人になる」という言葉で表現していた。

「MUSICA」(FACT)2019年3月号のインタビューでTakaは、<今まで僕らは好きなように曲を作って好きなように生きてきて、これだけの景色を見られてるわけですけど、でも今は大人になって、アメリカというカルチャーの中でいろんなものを吸収しながら──時にはそこに抵抗したりもすることもあるけど、でも柔軟にどんどん吸収していって、同時にその先に広がる未来と自分達が見たい景色とを重ね合わせていくという……今はその段階にいるんですよね>と語っていた。

しかしその結果として生まれた『Eye of the Storm』に、日本のファンが拒絶反応を示してしまった。Amazonのレビューなど、リスナーが評価を書き込むことのできるサイトでは、<これまでに発表されたワンオクのアルバムの中でも最低です>といった声が溢れた。

特に、現在のアメリカでのトレンドに合わせるため、ロックバンドとしてのONE OK ROCKがもっていた「バンド感」を敢えて捨て去る音づくりをしている面がファンの不興を買い、なかには<もはやバンドというよりTakaのソロプロジェクトって言ってくれた方が納得できる>との意見もあった。
HYDEはファンがL'Arc~en~Cielを求めていると知っている
 『ANTI』も、VAMPS のファンはまだしも、L'Arc~en~Cielを求めるファンからすればピンと来ない内容なのかもしれない。

ただ、そのあたりの事情はHYDEも織り込み済みのようだ。

前掲「ROCKIN’ ON JAPAN」のインタビューでHYDEは<今ときめくのはやっぱり、アメリカで自分の音を鳴らすことなんですね>としたうえで、このように語っていた。

<あんまり日本のことを考えてない──って言うと怒られそうだけど(笑)。基本的に、本当に日本のみんなの好みのことをやろうと思ったら、ラルクを再始動させるほうがいいんでしょうけど>
<本当はラルクみたいなことをやってほしいっていう人も結構いると思うんですけど(笑)、ちょっと我慢しててくれと。僕もときめきたい、もっと。もうちょっとしたら、君たちが好きそうな曲作ってあげるから、と(笑)。僕はもうちょっと夢を見たい、っていう感じですよ>

HYDEがアメリカ進出を志向するのは「夢」だけが理由ではない。「ROCKIN’ ON JAPAN」で彼は<僕ってもう、長い間日本で活動しているので、もうHYDEっていうだけで聴かない人っていっぱいいると思うんですよ。(中略)そこに僕はアプローチしていかないといけないんですよ。でも、かなり難しいことだと思います。(中略)純粋に音楽を届けられない環境が、僕は日本にはあると思うんですよね>と語っている。

そういった部分があるのは事実だろう。しかし、『ANTI』のようなかたちで新たな方向性を示すことで、<HYDEっていうだけで聴かない人>にアプローチすることになる。

アメリカ進出は、太平洋の向こうで新たなファンダムを開拓するのみならず、日本国内で新たなファンを掴むことにもつながるのかもしれない。

ちなみに、エンタメ系ニュースサイト「ナタリー」のインタビューでHYDEは、アメリカ進出に関する今後の予定について<アメリカのフェスでどこまで僕の音楽を浸透させられるか。3年以内に自分が満足がいくところまでいけるか。これが目標です。そのうえで、アメリカから撤退するかどうかを決めます>と語っている。

せっかくのチャンスなのだから「撤退」などと言わず、新たなファンをたくさん掴んで成功をおさめてほしい。これまでのHYDEが好きだったファンたちも<もうちょっとしたら、君たちが好きそうな曲作ってあげるから>という言葉を信じて待っていてくれるはずだ。

当記事はwezzyの提供記事です。

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