ホルムズ海峡での攻撃、元巨大タンカー船長「日本との関わりはわからなかったのでは」

AbemaTIMES

2019/6/14 11:11



 安倍総理が滞在中のイラン近海・ホルムズ海峡付近で、日本の積荷を積んだタンカーが襲撃された。イランのメディアによると、攻撃を受けた2隻の船員は44人全員が救出され、近くの港に移送されたことを伝えている。

襲われたのはノルウェーのフロントラインが所有する「フロント・アルタイル(FRONT ALTAIR)」号(マーシャル諸島)と、日本の国華産業が運行する「コクカ・カレイジャス(KOKUKA COURAGEOUS)」号(パナマ船籍)。国華産業の堅田豊社長によると、サウジアラビアから東南アジアに向け爆発の危険性のあるメタノールを運ぶ途中、「船に砲弾を受けたという第一報が入った」と説明した。

30万トン級の巨大タンカーの船長として、イラン・イラク戦争(1980~1988年)の時期に度々この海域を行き来していたのが、片寄洋一氏だ。当時、舳先に重機関銃を搭載したイランのスピードボートに襲撃された経験も持つ。


 当時のことについて片寄氏は「戦争が激しくなると海員組合が船を出さなくなったので、仕方なく外国籍の船をチャーターしていた。今回2隻が襲われたのはオマーン近海の、だいぶ広くなっているところだが、私が襲撃されたのはイランの領海のホルムズ海峡80度くらい曲がるところで、かなり狭くなっている。当時はアメリカ海軍の駆逐艦とフリゲート艦が護衛についてきていたが、一列にならなければ航行できないので、襲い放題だった。船が隠れることのできる暗礁がいっぱいあって、岩陰から出てきて銃撃し、すぐに逃げていった。民間船なので武器は持っていなかったし、消火ホースでめいっぱい水をかけることで登ってくることは防げるが、とにかく一年を通してそういうことが起きる危ない海域だということはわかっていたし、なるべくデッキには出るなという以外には防ぎようがなかった」と回想する。

その上で今回の映像を片寄氏に見てもらうと、「タンカーとしては小さい方で、だいぶ舷が低いので、これならラダーや船尾に鈎の付いたロープを渡せば簡単に侵入することもできる。ただ、海賊ならば乗り込んで金品を奪わなければ意味がないし、ソマリア沖では船ごとどこかへ持っていくということもある」として、今回の襲撃が海賊による犯行である可能性は低いとの見方を示した。



 さらに「人がいるのは一番後ろの居住区だけで、あとは全て荷物を積む船倉。内部構造は二重三重になっているので、相当な強力なものでなければ貫通させことはできない。中に入っている化学物質が爆発していないとすれば、貫通したのは外側だけだと思う。この程度の火災なら消すことができる。煙の様子から見ると、魚雷ではなく、携帯型のミサイルのようなもので一番狙いやすい真ん中に向けて発射した可能性がある。そもそも魚雷は駆逐艦以上の船でなければ持てないし、浮遊機雷に触雷した可能性もあるが、それなら前の部分が損傷するはずだ」と指摘。

また、日本を狙った可能性についても「この海域はものすごく多くの船が出入りしているし、一隻一隻がどこへいくか、何を積んでいるのかはわかりにくい。また、船は国旗を掲揚して航行するが、あくまでも船籍のある国旗。今回の船も、それぞれパナマとマーシャル諸島と国旗を掲げていたはずなので、日本との関わりはわからなかったと思う。襲撃の目的はわからないが、日本への牽制というような意図があったとは考えにくい」とした。

ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「現代の戦争は民間なのか正規軍なのか、攻めているのか攻めていないのかが分からないというケースが多い。この海域は海賊が跋扈している海域ではないので、やはり何らかの勢力がアメリカとイランの緊張を高めるために撹乱の意味で行った可能性があるのではないか」と推測した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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