飯島寛騎・鈴木勝吾W主演 ベストセラー小説を初舞台化『ちょっと今から仕事やめてくる』ゲネプロ&囲み取材レポート

SPICE

2019/6/14 11:11


ブラック企業、パワハラといった社会問題に切り込み、70万部を超えるベストセラーとなった小説「ちょっと今から仕事やめてくる」。2017年には映画も公開された本作の舞台版が、6月13日(木)、渋谷・CBGKシブゲキ!!にて開幕した。

すべての働く人たち、そしてこれから働く人たちのバイブルとも言える舞台『ちょっと今から仕事やめてくる』。本公演のゲネプロ、そして囲み取材が行われたのでお届けする。

脚本は劇団oneor8の田村孝裕、演出は深作健太が担当。そして、W主演を務めるのは、「仮面ライダーエグゼイド」で主演デビューを果たし、映画やドラマでも活躍する飯島寛騎と、舞台『ジョーカーゲーム』や「侍戦隊シンケンジャー」などで存在感を発揮している鈴木勝吾。さらに、℃-uteのメンバーとして人気を博し、卒業後もマルチな活躍を続ける中島早貴、ドラマ「おっさんずラブ」、舞台『ダイヤのA LIVE』などで注目を集めている葉山昴、ドラマや映画に加え、ケーナ奏者としても活躍する田中健と、人気と実力を兼ね備えた注目のキャストが揃っている。

ゲネプロ前に行なわれた囲み取材では、各キャストによる役柄の説明と意気込みからスタートした。

青山の同級生・岩井を演じる葉山は「原作や映画ではあまり出番のなかった岩井を、今回の舞台で広げてもらっている。幼馴染ということで、無意識のうちに青山にコンプレックスを抱かせる存在になっています」と、原作やこれまでのメディアミックスとの違いをアピールした。青山の先輩・五十嵐役の中島は、「私が演じる五十嵐は、原作では男性で、映画から女性になった。舞台は五人での会話劇になるので、いかに青山くんに好かれるか、いかに青山くんに刺していくか、大事な役としてうまく表現したい」とやる気を覗かせる。

飯島は、「ブラック企業の新入社員・青山隆を演じます。この作品は、現代社会の問題であるパワハラ、ブラック企業などの壁に立ち向かっていく若者の話。周りの人たちの支えもあり、厳しい教えもありで、成長していく青山の姿を楽しんでもらえたら。それから、ヤマモトとの関係でどうお互いが伸びていくかも楽しんでいただきたいです」と笑顔で語った。

W主演となる鈴木も、「全員スーツなのに、なぜ僕だけアロハなのかだとか、役柄については語れないことがすごく多い。でも一つ言えるのは、主人公の青山に寄り添って、助けて、救い救われる友達・親友・兄弟みたいな役。真実は劇場に観に来て下さった方のためにあるので、ぜひ来てほしいです」と、青山とヤマモトの関係や絆に言及。

そして、青山の上司・尾高を演じる田中は、「映画を見て、原作も読んだ。ラストが全部違います。僕はもしかしたら舞台が一番いい終わり方をしてるかもと思いました。原作の北川先生も、見てすごく感動してくださっていたので頑張らないと。僕だけが年上で後期高齢者に入っているので(笑)、こいつらとどうやって頑張ろうか……とも思ったけど、いいチームワークができてます」と、年長者としてのあたたかい目線で語ってくれた。


主演を務める飯島と鈴木は今回が初めての共演。

お互いの印象を尋ねられた飯島が「思ったことを迷わず言ってくれる。まぁ良くも悪くもですけど(笑)。でもそのおかげですごく分かりやすかったし、頼りになる兄貴分だなって思います」と笑顔で話すと、鈴木から「良くも悪くもって!」とツッコミが入る。対する鈴木も「若者らしい真っ直ぐさと情熱、自分の哲学がある子だなと思いましたね。毎日誰よりも早く稽古場に来て練習して、舞台の経験が浅いのをカバーしていて、すごく逞しい役者になったなと感じました。良くも悪くもいい後輩です(笑)」と、飯島の発言を真似し、キャスト陣・取材陣を笑わせるなど、息の合った掛け合いを見せてくれた。

5人中4人が若手ということをうけ、カンパニーの雰囲気を尋ねられた田中が「年齢の差はあんまり意識してないよね」と言うと、葉山が「大先輩なので最初は怖い方なのかな~と思ってたんですけど、すごく優しくて。もう今じゃたまにタメ口きいてるもんな、なっきぃ」と暴露(?)すると、中島が「してない!(笑)」と否定し、取材陣からも笑いが。「そういう空気を最初から作ってくださったので、壁もなく、仲良くやらせてもらってます」と感謝する葉山に、田中も「若い人たちとやるのっていいですよね」としみじみ。

紅一点の中島も、「みんなオープンで、お芝居についても「ここ変わったね」とストレートに言い合える仲間なんです。自分の成長を毎日確認できましたね。稽古は集中して、休憩中はたわいもない話をして、素敵なチームだと思います」と、チームワークの良さを力強く語っていた。

また、今回のセットの中で一際目を引くのが、最前列の前に敷かれた線路。

「最初は線路があることに驚いたけど、深作さんの考えを聞いて、すごく象徴的なものだと感じた。線路もそうだし、点字ブロックも、一つひとつ意味のあるものなので、愛を持って作品に挑みたいです」と飯島が説明すると、「(飯島が)言った通り、すごく象徴的なもの。主に青山とヤマモトに関係のあるセットではあるけど、観にきてくださったお客様とも共有できる部分だと思う。みんなの“線路”やでってこと。心の中にそういうものを持っててくれたら嬉しいです」と鈴木も頷く。二人にとって、そして観客にとって、この線路がどんな意味を持つのかは、ぜひ劇場で確かめてほしい。

最後に、映画やコミックスといった多様なメディアミックスをされている今作の、舞台ならではの見所について。飯島が「舞台版はすごく現実味がある。共感する部分が、きっと年代によって違うんじゃないかと思うんです。そこをぜひ楽しんでほしいですね」と語った通り、学生、社会人になりたての若手、中堅、役職付きのベテラン……と、立場によって様々な見方ができる本作。会社での立場や仕事への向き合い方だけではなく、友人や家族との付き合い、生きていくうえで大切なことにも気付けるはずだ。

※この先ゲネプロの写真及びネタバレあり
《あらすじ》
青山隆(飯島寛騎)はブラック企業で働く若手社員。厳しいノルマに追われ、部長・尾高(田中健)からの叱責に怯えながら、学生時代に同級生の岩井(葉山昴)と語り合った“理想の社会人生活”とは程遠い生活を送っていた。そんな青山にとって、営業成績が優秀な五十嵐(中島早貴)は唯一尊敬する先輩だった。
ある日、疲労のあまり駅のホームで意識を失ってしまう青山。危うく電車にはねられそうになった彼を救ったのは、幼馴染のヤマモト(鈴木勝吾)と名乗る男だった。
青山はヤマモトのことを全く覚えていないが、いつでも爽やかな笑顔を浮かべ、大阪弁で話す彼と過ごすうちに本来の明るさを取り戻し、仕事でも大きなチャンスを掴む。
だが、ひょんな事から、三年前に激務で鬱になり自殺したヤマモトという男のニュースを知り……。


見所の一つが、囲み取材でも話題に上った舞台セット。

客席の目の前に白いレールが引かれており、一段上がった場所が駅のホームや会社、青山の部屋など、様々な場所に変わる。シンプルなセットと小物の使い方で想像力を掻き立て、ガラリと印象を変化させる様子は実に見事だ。

また、岩井との関係が詳しく描かれたことにより、かつては明るかった青山がブラック企業から逃げられずにいる理由に、グッと説得力と現実味が増したと感じた。就活を経験したことのある人の多くが、二人のやりとりに共感できるのではないだろうか。



そしてブラック企業のパワハラ部長・尾高は、部下に厳しくパワハラ上等という姿勢はそのままに、青山への期待を垣間見せるシーンもあり、時代に対応しきれていない体育会系上司というイメージに。



青山が唯一尊敬している営業のエース・五十嵐も、苦悩を感じさせる描写が増え、働く女性が抱える大変さ、第一線で活躍し続ける社員の姿勢がより鮮明になっている。



2015年に原作が発売となり、2017年の映画化を経た今回の舞台化で、より時代に即し、近年のビジネスパーソンを取り巻く様々な問題に深く切り込んだ作品に進化していると感じた。











また、特筆すべきはキャスト陣の演技力の高さだ。

青山がブラック企業に追い詰められ、余裕をなくしていく様子はあまりにリアルで背筋が冷たくなるし、そんな青山を救うヤマモトの明るい笑顔と、ふとした時に見せる昏い瞳のギャップにグッと心を掴まれる。青山を気にかける岩井からは今時の若者らしい軽さと義理堅さの両方がうかがえ、どこか和やかな気持ちになった。

また、先輩として青山を励ます五十嵐のあたたかい笑顔と時折見せる厳しい表情からは、穏やかながら芯の強い彼女の人となり、仕事への思いがひしひしと伝わってくる。うっかりすると高圧的なパワハラ上司という印象で終わりかねない尾高に人情味を持たせ、どこか憎めない部長として演じる田中の手腕も見事だ。

















話の大筋は原作・映画と同様だが、細かな部分の流れやラストが違うため、初めて本作に触れる方はもちろん、すでに「ちょいやめ」のファンだという方も十分に楽しめるはず。

青山とヤマモトは、果たしてどんな結末を迎え、どんな未来を選ぶのか。舞台版ならではの答えを見つけに来てはどうだろうか。本公演はCBGKシブゲキ!!にて、6月23日(日)まで上演。

当記事はSPICEの提供記事です。

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