ViVi広告批判で自民党「真摯に受け止める」 西田氏と町山氏“直接対決”で考えるメディアと政治

AbemaTIMES

2019/6/13 17:45



 若い女性が並んだ写真とともに、「わたしたちの時代がやってくる!」とのタイトル。内容を見ると、若者たちからの“どんな社会になってほしいか”という主張が書かれている。新しい世代の意見がまとめられたページなのか…と思いきや、これはViViで展開された自民党のPR。つまり政党による広告だということで波紋が広がった。

タイトルの最後には【PR】とつけられ、ページの最後までスクロールすると #自民党2019 のハッシュタグをつけて投稿するよう促している。自分が望む世の中について、ハッシュタグとともにSNSに投稿すると、抽選でTシャツがもらえるというキャンペーンだ。ネットでは、「ViViは自民党の機関誌なのか」「政治や社会問題が普通に話題になるきっかけになるといいな」など、賛否の声が寄せられている。


 特定の政党とのコラボ企画について、ViViを発行する講談社は「この度の自民党との広告企画につきましては、ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心ごとについて、自由な意見を表明する場を提供したいと考えました。政治的な背景や意図はまったくございません」とコメント。

一方、#自民党2019プロジェクト事務局は、コラボ広告の意図について「若い層・女性層へのアピールとして行ったもの」と回答。一部であがっている批判の声については「様々な声があってしかるべきであり、真摯に受け止めます」との見方を示し、広告費用については「答えられない」としている。


 若者に訴える広報活動は、選挙権を持たない人々の政治参加を促進させる効果がある。しかし、直接政策を訴えるわけではない広告ばかりが話題になるのはいいことなのか。13日放送のAbemaTV『けやきヒルズ』では、Twitter上の議論が話題になっている東京工業大学准教授の西田亮介氏と映画評論家の町山智浩氏が直接対決を繰り広げた。

端を発したのは、ViViの自民党広告に対する西田氏の「自民党広報の割と優れた創意工夫の範囲内。いまのところ違法性も、サブリミナル等倫理的に問題のある手法も認められない。政治広報といったとき、これしか目に入らないのは他党の展開不足もある。さすがにこれだけで批判するのはどうか。むしろ積極的かつ健全に競争すべきでは」というツイート。これに町山氏が「資金力と広告代理店とメディア支配層との癒着で政権与党にかなうわけがない。広報は量やイメージではなく、政策について競われるべきです」「政党が広告で競争したら、資金力が大きいほうがプロパガンダやり放題になっちゃうよ」などと反論し、応酬を繰り広げていた。

今回の広告について、「政治広報の手段としては、道義上の問題がまったくないとは言えないまでも、違法性の高い行為とも言えない」との考えを示す西田氏。一方、町山氏は「グレーだと思っている。Tシャツをプレゼントするということでハッシュタグをつけなければならないが、公職選挙法では物品を有権者に配布することは禁じられている。すでに参院選をにらんでいる時期で、自民党側の人も再選をにらんでの広報活動だと言っており、ギリギリのところだと思う」と話す。


 これに対し西田氏は「町山さんがご指摘のとおり倫理的な問題はあると思う。しかし、(Tシャツプレゼントの対象は)抽選で、企画内に候補者も登場しない。公選法が禁止する事前運動は候補者が具体的に特定、類推できることが条件になっている。今回のViViの広告には候補者が出てこない。公選法に違反しているとまでは言えないと思う」と反論。

一方で、町山氏が指摘するのは他党を圧倒する自民党の組織力と資金力。そこで不公平が生じることに「西田さんは競争すればいいとおっしゃっているが、競争は同じ条件でなければできない。ほかの政党が講談社ないしメディアに対して働きかけた時に、今回の自民党と同じように報じるのか」と疑問を呈する。


 西田氏はその疑問を「講談社が応じるか否かは推測の域を出ない」としたうえで、「公平性ということなら、町山さんのTwitterのフォロワーは27万人で、僕は2万人。何度もメンションを飛ばしてこられているが、条件を完全に同じにするのであればフォロワーの数を同じにすべきという考え方もあるが現実には難しい。(自民党と他党の不公平感は)これと似ている。与野党の格差を規制をかけて完全になくすという発想は危険で、しかも制度設計が難しい。当面、現行法と判例踏襲が望ましいのではないか」と述べた。

これに対し町山氏は「自民党が広告代理店やメディア関係者と懇意にある状態と、僕に27万人のフォロワーがいるのは違う状況で、比べるのはおかしい」と否定したうえで、「講談社は自社の行為が正しいと思うなら質問に回答していると思う。そういった忖度ないし広告のお金が入って、メディアにとって自民党がクライアントになってしまった時に、メディアはどう独自性を保って報道することができるのか。政治における大きなお金、利権が存在することを野放しにすると、メディアコントロールという点で非常に危険だと思う」とメディア側のスタンスに触れ反論。

西田氏が「その点はまったくそのとおりだが、僕は具体的に政治広報で何が行われているのかを世の中に提示しながら検討を加えていく方が、いきなり直接規制するより望ましいと考える。争点が少ない憲法改正の国民投票は量的規制があったほうが望ましいが、政治的な議論については、広く表現の自由を尊重すべき」と意見すると、町山氏は「政治的な関心を呼ぶために宣伝活動が有効であるという考え方は危険。今回のViViの自民党広告は、自民党の政策や政治的問題にまったく触れられていない。そこで提示されているメッセージも男女同権や多様性であったり、杉田議員などが反対するような意見を述べているにもかかわらず、自民党がなしているような形で宣伝しているように見えてしまう」と主張した。


 また、西田氏の「それを具体的にどのように規制をかけていくかはすごく難しい。政策論のみで競わせるのはそれこそ敷居が高い。多くの人はむしろ政治に対する関心を失ってしまいかねない」との意見には、「ただメディアはこういったことに関するプロで、素人ではない。何が問題かわかっているうえであえてやっているような、メディア側の問題もあると思う」と再度指摘した。
(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▶︎【映像】Twitterで議論の西田氏と町山氏が“直接対決”

当記事はAbemaTIMESの提供記事です。

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