「なつぞら」60話。天陽くん(吉沢亮)のセリフのないシーンが泣けた

エキレビ!

2019/6/10 08:30

連続テレビ小説「なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第10週「なつよ、絵に命を与えよ」60話(6月8日・土 放送 演出・渡辺哲也)視聴記録
まゆゆのメガネ美少女っぷりが
再びアニメーターになる試験を受けたなつ(広瀬すず)は、課題よりたくさんの枚数を描き、同じく試験を受けた茜(渡辺麻友)に感心される。
だが、なつの絵は線が荒く使い物にはならない。仲(井浦新)だけが彼女の意欲やポテンシャルを買ったが、結局不合格になってしまう。
結果を訊いて悔しい顔をしないなつ。それは自分の能力のなさを自覚しているから。ただ、描きたいイメージを形にできないことは悔しい。その例えを「いまの自分には美味しい牛乳は絞れないんだってことがわかりました」と言って、仲と井戸原(小手伸也)を困惑させる。アニメと搾乳を並列して語るのは一緒くたにされても仲と井戸原にはわからないが、イメージに手が追いつかない悩みは、仲も井戸原も味わっていることだった。

結果を静かに受け入れる広瀬すずの顔が魅力的だ。広瀬すずは「ちはやふる」でもそうだが聖なる勝負に赴く顔が似合う。単なる勝ち負けにこだわっているのではなく、自分と戦っている感じがする。何もかも受け止めて自分に責任をもつ強さ。内面と向き合っている眼差し。
なつはいたって真面目だが、「え、なんで牛乳?」と困惑する井浦新と小手伸也のリアクションが愉快。

合格した茜を演じている渡辺麻友のメガネ、白いブラウスに紺の短いジャケットとアンサンブルの長めのスカート、ワンストラップシューズ、白い靴下がなにもかも理想的な美少女ふうで眼福だった。

表情で見せるドラマ
なつが頑張っているその頃、北海道では照男(清原翔)と砂良(北乃きい)との結婚話が進んでいた。
59回で、この土地で農業しながら生きていこうとする天陽なら、なつのことは諦めて結婚を考えないといけない状況に追い詰められていたので、ふいに砂良を訪ねる天陽に、まさか、砂良を?と一瞬思うが、すぐに菊介(音尾琢真)と仕組んだ小芝居であることがわかる。音尾琢真と吉沢亮が目配せしたり、妙にへんな間合いやセリフ回しで会話しているところが愉快。
「砂良さんは馬鹿な芝居につきあってくれたのかな」と天陽がなつに手紙を書く。
それを受けてなつは「お正月は花園神社にお参りに行きました。天陽くんのことを祈っておきました」と
返事を書く。こうして年が改まったことがわかる。なつが神棚に花園神社の御札をあげて参っている場面は、風車の入り口を開けたところに鳥居が見えている。その画もすてきだ。ちなみに花園神社は見世物小屋や唐十郎のテント芝居などが行われる場所で、一角には芸能の神社があって多くの俳優たちはそこに参る。

「十勝に帰りたい みんなに会いたい」 いつもわりと落とし気味の声の広瀬すずが、ここだけ声を上げてくる。それがぎゅっと心をつかむ。でも、帰れない。東京でアニメーター修業する。なつは俯いて絵を描き続ける。「ちはやふる」でも広瀬すずは俯いてかるたに向き合っている。うつむく表情が内面に潜っていく精神性に見える。うつむく表情が美しいことは貴重である。

なつからの手紙を読んだ天陽は、描きかけのなつの絵を塗り込めていく。吉沢亮がふと涙ぐむところで、天陽の感情が手に取るように伝わってくる。
朝ドラは、セリフだけ聞いていてもわかるドラマと言われている。主婦が朝の支度をしながらでもわかるようにと気を使っているのだ。60回の菊介と天陽と照男の小芝居はそのいい例である。菊介と天陽の目配せとかは見ないとわからないが、たとえそれを見なくても、何が起こっているかは音だけ聞いていてもわかる。菊介たちのセリフ回しが不自然なところや、あとから照男が出てきて、何が目的だったかわかり、照男と砂良が結婚することになったと結果もちゃんと出る。こういうわかりやすい表現を、登場人物の小芝居として描いているところが「なつぞら」の志の高さである。
「なつぞら」の本領が発揮されるのはその後だ。60回の最後の天陽がなつの手紙の声(なつの声は音としてちゃんと伝わってくる)を聞きながら、なつの絵を描き、なつの絵の上に絵の具を乗せて消していく、泣きながら……ここはもう見ないことにはまったく伝わらない。好きな女の子の絵を消していく、一言もセリフもなく、天陽の想いを描く。俳優もそれに応える。
天陽の想いを知らず、なつは懸命にアニメーターを目指す。悲しいけれど、いい回だった。

第11週 「なつよ、アニメーターは君だ」(6月10日・月~ 演出: )あらすじ
東洋動画で働くなつ(広瀬すず)たちは、数万枚におよぶ動画を描き上げ長編アニメ映画「白蛇姫」を完成させた。風車に帰ると、新婚旅行で東京を訪れていた照男(清原翔)と砂良(北乃きい)の姿があった。思い出話に盛り上がる中、咲太郎(岡田将生)も帰宅。2人の兄が初めて顔を合わせる。数日後、咲太郎の劇団の公演が幕を開け、なつは雪次郎(山田裕貴)とともにに訪れる。主演女優・亀山蘭子(鈴木杏樹)とも会い、なつは大きな刺激を受ける。そんな中、なつに再びアニメーターになるチャンスが回ってくる。




第62回(6月11日・火 放送)あらすじ
咲太郎(岡田将生)に誘われ、劇団「赤い星座」の舞台を見にいったなつ(広瀬すず)と雪次郎(山田裕貴)。終演後、二人は咲太郎の案内で主演女優の亀山蘭子(鈴木杏樹)を紹介してもらう。風車に帰っても、なつの熱は覚めやらず興奮気味に亜矢美(山口智子)に報告。雪次郎は、周囲が驚くほどに冷静な視点で、物語について語り始める。そしてなつは、アニメーションの仕上げの新しい仕事であるトレースに挑戦する。


(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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