「なつぞら」58話「こんな稚拙な絵」と言われてしまう

エキレビ!

2019/6/7 08:30

連続テレビ小説「なつぞら」 
NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第10週「なつよ、絵に命を与えよ」58話(6月6日・木 放送 演出・渡辺哲也)視聴記録
強くてうらみがましい目
なつ(広瀬すず)が勉強のために、捨てられていた動画を拾って描いた動画をみつけた麻子(貫地谷しほり)。
白蛇姫が泣く前に戦闘的な表情になるところを、堀内(田村健太郎)が描いたと思って大絶賛するが、当人は「こんな稚拙な絵は描かない」と断固否定する。芸大出の絵画エリートならではの発言だ。
「こんな稚拙な」と言われたり、麻子には「強くてうらみがましい目」「なにより許仙に会いたいという気持ちが滲み出てるのよ、この顔から」と言われたり、独学のなつの絵は決して巧くはなく、むしろ下手だけど何か強烈な意思みたいなものにあふれているということだ。
それこそ麻子が言う、動画はただ原画の間を記号的に埋める仕事ではないとことである。なつにそれができたのは、かつて高校演劇で「白蛇伝説」を演じたとき、自分の感情と役を重ねていくことを学んだから。なつは、白蛇姫の感情を想像して想像して、泣く前に戦闘的な顔になるところを思いついた。人から何を言われても「好き」という気持ちはなくせないという感情を。それはなつのなかにもあるもの──。それが彼女を掻き立てて、お世話になった北海道と酪農を捨てて東京に来て、おしゃれをして会社に通い、仕上げの仕事をしながら作画部屋を覗いて勉強したり、動画の練習もしたりする。他人から見て決してスマートなやり方ではなく、ぎくしゃくしていて、人によってはなんでそんなことするのか理解できないといらいらする。でも、おぼつかないながら、一歩一歩、自分のやりたいことを見極めていくことで生き生きしてくるなつの姿を見て、ももっち(伊原六花)は感化されていく。こうしなきゃいけない、こうしたらいけない、なんてことに縛られているのは苦しいではないか。思ったことをやってみればいい。そうしたらもっとこの世を楽しめる。というかのように、堀内も麻子も各々、自分の仕事にプライドをもって働いている姿が映し出される。

貫地谷しほりが動画の良さを饒舌に語るとき、ほんとうに絵(仕事)が好きなんだなあと感じられて、とても良かった。ここぞというとき腕にしてるゴムで髪をきゅっと束ねるところも様式的だがはっとさせられる。

また、動画がなつだったことがわかって、愕然となる麻子と、背後で表情を動かしている下山と、きょとんとしてるなつと、はははと豪快に笑って堀内に動画をクリーンナップをするよう言う井戸原と、淡々としてる堀内と、もっと背後で様子を伺っているエキストラと……と一コマでいろんな表情を映し出した構図も良かった。こういう画面、この間「おしん」でも見た。

大人の会話
なつの描いた動画をめぐって、第一製作課長・露木(木下ほうか)、東洋動画スタジオ所長・山川(古屋隆太)、仲(井浦新)、井戸原(小手伸也)が語り合う場面は朝ドラにしてはやけに男くさかった。朝ドラでも「べっぴんさん」の「男会」など男が集まるシーンもあるものの本筋から外れたにぎやかし的なシーンになることが多いのだが、この四人、なんかガチで経営について語っている感じで、それぞれが企みももっていそう。山川の苦みばしった感じが印象的。演じている古屋隆太は、劇団サンプルの俳優だ。ちょっと仕草を流さずぴしっと止めて見せて情報がきっちり伝わってくる。

若者は絵を描くことに情熱を注いでいるが、年配の人は会社経営のことも考えている。仲さんは純粋に絵を描いている人のように思うけれど、経営側にも片足をつっこまざるを得ない、難しいところにいる人なのだろう。だから彼にできるのは、可能性のある若者にチャンスを与えて、能力を伸ばすこと。
仲さんは、なつにオムライスをごちそうしながら、もう一度試験を受けないかと言う。このオムライス、ケチャップでリボン(店名にちなんでであろう)が描いてあることがスチールではわかる(前回の記事参照ください)。そしてなつは、お約束のように、口にケチャップをつけてしまうというおとぼけっぷり。牧歌的だった。

第10週 「なつよ、絵に命を与えよ」(6月3日・月~ 演出: )あらすじ
なつ(広瀬すず)はついに東洋動画に入社。仕上課でセル画に色を塗る仕事を与えられる。先輩の桃代(伊原六花)から手ほどきを受け作業を覚えていくが、緊張のあまりに手が震えてしまう。そんなある日、なつは仲(井浦新)から誘われ、憧れの作画課の部屋を訪れる。下山(川島明)たちとの再会を喜ぶ中、後輩を厳しく指導する女性アニメーターの麻子(貫地谷しほり)を目にし、なつは衝撃を受ける。数日後、なつのもとを背景担当の陽平(犬飼貴丈)が訪ねてきて、十勝にいる弟・天陽(吉沢亮)の近況について語り始めた。






第60回(6月8日・土 放送)あらすじ
アニメーターになるための試験を受けたなつ(広瀬すず)。試験の夜、仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)、露木(木下ほうか)らが集まり、受験した5名の描いた絵を採点する。しかし、なかなか決めきれない。日が変わり、よくやく決断した仲と井戸原はなつを呼び出し、結果を伝える。そのころ十勝では、天陽(吉沢亮)が、森の奥深くの小屋へと向かっていた。それは、弥一郎(中原丈雄)の娘・砂良(北乃きい)の元で…。


(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順
奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

当記事はエキレビ!の提供記事です。

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