「分散投資・長期投資・積立投資=リスク低減」は、疑ったほうがよいかもしれない


「分散投資」と「長期投資」、そして「積立投資」。これらは個人投資家が資産運用でよい成果を得るための“鉄則”ともされています。資産運用において、リスクを抑えるための“三種の神器”といってもよいでしょう。私もセミナーなどで、この3つのポイントを「リスクを減らす投資手法」として強調してきました。

●分散投資は狙いを絞らない

分散投資は、資産運用をする際に、投資対象を特定のものに絞らずに、できるだけ多くの銘柄・分野に幅広く分散させたほうがよい、という考え方です。いくら良い銘柄、期待できそうな分野であっても、必ず上昇するとは限らない。予想が外れて、悪い結果となることもあります。だからこそ、多くの投資家は、ネットや雑誌でいろいろな情報や分析記事を見て、「上がる銘柄」を探すわけです。

しかし、それでもなかなか優良銘柄を当てるのは難しく、かえって平均よりも悪い結果となることもあるわけです。それなら狙いを絞らずに、幅広くいろいろな分野の銘柄を少しずつたくさん購入しておけばよい。いろいろな分野の銘柄を組み入れておけば、そのなかには平均以下の成果となるものもあれば、平均以上となるものもあり、全体としては“ほどほどの成果”が期待できる、というわけです。その結果、「リスクが減る」と考えられます。

●長期投資はずっと保有し続ける

長期投資は、その考え方を“時間”に適用したものです。「時間分散」ともいわれます。大きく上昇する直前のタイミングに投資をして、上昇した後で下落する前に売却すれば、短期間で大きな利益が得られます。しかし、それがわかったら苦労はありません。わからないからこそ、経済見通しや相場予想をするのですが、それでも当たらないばかりか、大きく外すことも少なくありません。

平成バブルでも、ITバブルでも、あとから見て「天井だった」というタイミングでは投資が盛り上がっていました。一方、バブル崩壊の後には、今から見ると「底だった」というタイミングがありますが、その時はさらに下がる不安が拭えませんでした。

ならば、上昇するタイミングを狙うのはあきらめて、良いときも悪いときもずっと保有し続けよう、というのが長期投資です。そのなかではマイナスとなる時期もありますが、10年、20年という長い期間で見れば、ある程度の成果が期待できる、という考え方です。

●積立投資は相場を見誤らない

積立投資は、持っている資金を一度に投資せずに、少しずつ分けて投資していく方法です。相場の状況にかかわらず、定期的に買い付けを続けていきます。

相場が上昇する場合は一度にまとめて購入したほうが利益は大きくなります。相場が下落する場合は、下がった後に購入したほうがよいでしょう。しかし、そればかりはわかりませんので、常に一定の間隔で、毎回同じ単位または金額を、多数回に分けて購入していきます。高いときにも購入することになってしまいますが、安いときにも確実に購入がなされますので、「リスクが減る」というわけです。相場の読みを見誤るリスクをなくすことができます。

●実際、どれほどの効果があるのか?

この3つの投資方法はに「リスクを減らす」効果があるというのは、資産運用の分野、特にファイナンシャル・プランナーの間では、もはや“常識”で、疑う人はほとんどいません。しかし、本当はどれほどの効果があるのでしょうか? 改めて、見直してみる必要があるのではないでしょうか。

実際、分散投資や長期投資、積立投資をすれば、常に損失を回避できるわけではありません。リーマンショックの後は、「分散投資」であることをアピールしていた投資信託が軒並みマイナスとなりました。平成バブルが崩壊してから30年が経過していますが、日経平均株価は当時の水準まで戻っていません。日本株のように上下を繰り返している相場では積立投資は有効ですが、アメリカのように一本調子で上昇している場合は明らかに“不利”となります。

3つの投資手法にはそれぞれ“一理”はありますが、そのメリットが強調され過ぎているきらいがあるようです。本に書いてあるから、専門家が言っているから、と言って「これなら安全」と決めてかかってはいけません。「リスクを減らす効果」はいわれているほどにはないのかもしれません。
(文=村井英一/家計の診断・相談室、ファイナンシャル・プランナー)

当記事はビジネスジャーナルの提供記事です。

ランキング

ランキングをもっとよむ

注目ニュース

注目記事をもっとよむ