大人しかできない恋がある。男性が惹かれる、40代女性の武器とは

女子SPA!

2019/5/22 15:45

 男はステータスとお金さえあればいつでも若い女性をゲットできるが、女は“若さ”こそが恋愛における武器――。そう考える女性も少なくないだろう。そんな思い込みを払拭するラブコメ映画『パリ、嘘つきな恋』がフランスから日本に5月24日に上陸する。

フランスでは国民的コメディアンであるフランク・デュボスクが監督・脚本・主演と1人3役を務め、初監督作ながらも、250万人もの観客を動員したという異例の大ヒット作品だ。

デュボスクが演じるのはシングル、リッチ、ハンサムな40代のモテ男。ゲーム感覚で恋愛を楽しむ浮気性の男がひょんなことから、足が不自由だと嘘をついたまま、車椅子の美女と本気の恋に落ちる。嘘から始まった恋はどこへ向かうのか――?

今回はフランク・デュボスク氏に電話インタビューを行い、映画のテーマや40代女性の魅力について話を聞いてみた。

◆皮肉やトゲのある“笑い”は好きじゃない――

――この映画には爆笑シーンがたくさんありますが、ヒュー・グラント主演のイギリスのラブコメ『ラブ・アクチュアリー』へのオマージュのようなシーンもありましたね。

フランク・デュボスク(以下、デュボスク)「プールのシーンですよね? あれは編集をしているときに『ラブ・アクチュアリー』を思い出して、ちょっとそういう雰囲気に仕上げたんです。イギリスのラブコメは好きでよく観ているんです」

――本作がほかのラブコメと一線を画している点は、ハンディキャップをユーモアの種にしながらも、決して差別的ではなかったところです。この絶妙なバランスを引き出すのは難しかったのでは?

デュボスク「実は私の母が車椅子を使っているので、ハンディキャップを持つ人々をユーモラスに描くことに抵抗はありませんでした。ハンディキャップは私にとって“タブー”ではなく、生活の一部。ハンディキャップについて私と家族には自由に話せるし、ジョークにもできるテーマなんです」

――“ポリティカリー・コレクト(PC=差別的言葉をなくそうという概念)”を意識しすぎて、クリエイターとして創造性を十分発揮できないということはありますか?

デュボスク「本作のようにハンディキャップをコメディにするというテーマは、アプローチ次第だと思います。皮肉な気持ちで制作してしまうとやはりそれが出てしまう……。私の場合は愛情をもって描いたので、観客は笑ってくれたように思います」

――確かに現代では、皮肉やあてこすりによる“笑い”がはびこっています。

デュボスク「私は優しい人間なんで、人を傷つけたりトゲがあったりするユーモアは大嫌いなんですよ!(笑)」

◆目に見えないハンディキャップとは――?

――ハンディキャップをもつ女性フロランスと、リッチでハンサムなプレイボーイのジョスランの恋愛を軸にしていますが、人間がお互いに抱く“偏見”や“先入観”という普遍的なテーマを映し出しているように感じました。

デュボスク「障がい者と健常者に横たわる“違い”を物語にしたことには、理由があります。私たちは誰かと知り合ったときに、まず“自分とは違う”ところに目が行きがちですよね。

でも本当は、“違い”よりも“同じ”ところに目を向けるべきなんじゃないか――。他人を“自分と違う”という視点で見るよりも、“似ている”視点で見たほうが、お互いを深く理解し合えるのではないか――。そう思ったんです」

――作中、ジョスランの兄が彼に「お前は自分が好きじゃないから、他人に嘘をつくんだ」と言うセリフがあります。他人と深い関係が結べない人間の問題は何だと思いますか?

デュボスク「足の不自由なフロランスと嘘つきのジョスラン、この2人のうちどちらがハンディキャップを負っているかというと、実はジョスランのほうなんです。なぜなら、彼は自分を愛することができないから。

“自分自身を受け入れられることができない”、“自分自身に対して居心地が悪い”というのは、人生において一番のハンディキャップだと思います。自己肯定感がないというのは、他人と深い関係を築くのを妨げるんですよね」

――印象的なラストシーンですが、深い意味が込められていてとても感動しました。

デュボスク「足の不自由なフロランスのほうが一見社会的弱者だと受け取られがちですが、本当はそうじゃない。ハンディキャップには目に見えない形もあるんだ、という現代社会における差異に対する先入観や男女関係へのメッセージを込めたラストシーンにしました」

◆浮気な男が変わることはできるのか――?

――日本も西洋諸国もどんどん晩婚化していますし、ヨーロッパでは事実婚を選択する人も多いですよね。結婚についてデュボスクさんはどう思いますか?

デュボスク「人が結婚しなくなったのは、“愛する人が見つからない”ということよりも、長寿社会になってしまったことに原因があるんではないでしょうか? 現代では、キャリアのほかにもやりたいことがたくさんありますよね。だから、この長い人生のなかでひとりの人だけと一生を共にする……という価値観を保つことが非常に難しくなってきています。

フランスは失業率が高く、安泰な人生はもはや望めません。そんな現代では結婚というシステムがどんどん機能しなくなってきているような気がします」

――そもそも、ジョスランのようにハンサムでリッチな40代のプレイボーイが、女性のために変わるなんて、現実にはあり得るのでしょうか?

デュボスク「ははは。あんまりないでしょうね(笑)。だから映画にしたんですよ(笑)」

――そんな……!(笑)では、浮気性は治らないということですか?!

デュボスク「ディズニー映画では動物はしゃべりますよね? それと同じでラブコメ映画というのは男女のファンタジーを描いているんですよ!(笑)。だって、ジョスランのようにあんなプールを自宅にもっているようなリッチな男性なんて、そうそういないでしょう?

とまぁ、それは冗談で、真実の愛を見つけたら男性は変わります。愛は人を変えると私は信じていますよ!」

◆女性の魅力に“若さ”は関係ない?!

――デュボスクさんにとって、魅力的な40代の女性とは?

デュボスク「40代の女性の強みは、自分をよく知っていること。自分の長所だけではなく、自分の欠点さえも“魅力”という武器に変えることができるのが40代の女性です。自分をよく知っているということは、自分を信頼しているという意味。だから、彼女たちが発する言葉や行動は、男性の目には若い女性よりもずっと魅力的に映ります。

ただ問題は、男性は自分よりも強い女性を怖がってしまうんですよ。40代の女性は強い人が多いので、男性は思わず避けてしまうんじゃないかな」

――大人の女性は精神的に自立してないといけないけれど、強すぎてもいけないというわけですか……。難しいですね(笑)

デュボスク「男性は支配的な女性を恐れています。だから、40を過ぎたら女性はちょっとナイーブなフリをしたほうがよいかも(笑)。私の言いたいことは、女性の魅力に外見的な“若さ”は関係ないってこと。これは本当ですよ!」

(c)2018 Gaumont / La Boétie Films / TF1 Films Production / Pour Toi Public

<文/此花さくや>

【此花さくや】

映画ライター。ファッション工科大学(FIT)を卒業後、「シャネル」「資生堂アメリカ」のマーケティング部勤務を経てライターに。アメリカ在住経験や映画に登場するファッションから作品を読み解くのが好き。Twitter:@sakuya_kono

当記事は女子SPA!の提供記事です。

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