柚希礼音×ソニンが描く“日本初演”の世界とは?『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』インタビュー

SPICE

2019/5/21 18:00


2019年9月25日(水)から東京・TBS赤坂ACTシアターにて、10月25日(金)から大阪・梅田芸術劇場メインホールにて、A New Musical『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』(以下『FACTORY GIRLS』)が上演される。
ブロードウェイの新進気鋭のソングライティングチームと日本の豪華クリエイティブチームによって生み出される本作は、世界に先駆け日本で先行上演するという異例の作品。19世紀半ばのアメリカ北部。劣悪な環境の工場を舞台に、そこで働く女性たちが、自身の尊厳と労働環境の向上を求め、ペンと団結力を武器に闘う姿を描くヒューマンストーリーだ。日本版の脚本・演出は板垣恭一、主演に今年芸歴20周年を迎える柚希礼音、そして共演にソニンを迎える。

4月某日、柚希とソニンに話を伺ってきた。

ーーまずは、本作のオファーを受けた時の心境から聞かせてください。

柚希:メインキャストが女性だけ、という作品にあまり出た事がなかったのですごく興味深かったです。恋愛も描かれていますし、今話題になっている「労働」についてもテーマになっているので、きっと「そうだ!」ってこぶしを振りかざす作品になるんじゃないかな。
柚希礼音
柚希礼音

ソニン:原作はあれど、いちから作り上げていくミュージカル作品に参加するのは初めてなんです。だからプレッシャーもありつつ、同時に海外原作を日米のクリエイテイブチームで作り上げていくのが楽しみです。どの国よりも日本人チームは役者も含めて繊細で緻密なのでその融合にワクワクしています。

柚希:そうだよね。「日本初演」という大きな責任があるので、日本のお客様が共感できるよう、中身がしっかりあるものを、板垣さんと共に作りたいです。歌もロックで素敵なんですよ。工場でみんなで歌う曲もかっこよくて、一幕ラストなども「おおー!」って声が出るくらい。すごいミュージカルになるんじゃないかなって。

ソニン:柚希さんも先ほど話されていましたが、女性をメインにした物語って日本では少ないので、女性にとっては嬉しいんじゃないかな? 今の時代、女も強いって事が浸透してきてはいますが、まだ変わってないところもたくさんあって。ミュージカルがブームになりつつある今の日本で、新作ミュージカルとして届ける事ができるのは幸せな事だと思うんです。個性豊かなキャストの方々と作品のテーマを色濃く届けていけたらいいですね。

ーーお二人は初共演なんですよね?

柚希:ソニンちゃんと一緒に舞台に出ることができるなんてね!

ソニン:柚希礼音“様”と共演できるなんて! 実は柚希さんが退団公演をしていた時、(東京宝塚劇場の)隣、日生劇場で『嵐が丘』に出ていたんです。退団公演の最終日、「外が凄い事になってるよ!」って聴いていて、それが凄く記憶に残っています。その後、まさか同じ事務所に入る事になるとは思ってなかったです。
(左から)柚希礼音、ソニン
(左から)柚希礼音、ソニン

ーーお互いの印象はいかがですか?

ソニン:めちゃめちゃチャーミングな方だと思います。

柚希:え? チャーミング? へぇ~。※他人事のようなリアクションで全員笑。

ソニン:舞台上で観るイメージと全然違い過ぎて戸惑ったくらい。「こんなにフレンドリーに接してくれるなんて!」滅茶苦茶キュートなんですよ。素の顔を見て以来すっかりファンになってしまって。もちろんステージも観ますが、終わった後の柚希さんのお顔を見るのが嬉しくて仕方がないんです。
ソニン
ソニン

柚希:そうなの? すっごく嬉しい! ソニンちゃんはすごくかっこいい女性。舞台を観てもすごくリスペクトしていて、本当にソニンちゃんは凄いなあと思っています。今回一緒に舞台を作る事で相乗効果が生まれるのが楽しみです。舞台に立っている時、作り込むその先で、何もせずドーンと立っている事ができる、ソニンちゃんはそれが出来る人。私もそういう事が出来る人が好きなんです。

ーー相思相愛みたいな状態ですね(笑)。

柚希・ソニン:(顔を見合わせて)フフフ。

ーー本作は、「労働環境」や「女性の権利」が描かれていますが、普段の生活の中でそういった事を考えたり感じたりする事はありますか?

柚希:ほんと、日本人は働きすぎだと思います(笑)。休んだら不安になるって精神があるじゃないですか。海外に行くと「どんだけ休憩とるの!?」って思う事がありますが、でもそれくらい「オフ」を作る事の大切さも感じるので、この作品を通して自分自身の働き方を見つめなおしたり、刺激を受けながら稽古をしていくんだろうな…と。
(左から)柚希礼音、ソニン
(左から)柚希礼音、ソニン

ソニン:私たちがやっているエンターテインメントの世界も労働基準があるようでないようですが(笑)。日本人は良くも悪くも我慢するのが上手で、自我を主張するよりも「貢献する事」「相手の気持ちをおもんばかる事」が強い。それは凄く素敵な事なんですが、逆にそれが自分を苦しめているようにも思えます。エンタメ業界にももっと浸透していけばいいのに、もっと変わればいいのに、と正直思う事があります。……なんだか凄くマジメな話になってしまいましたが(笑)、「働き方改革」が盛んな今、この作品が変化のきっかけとなればいいなって。

ーーお二人が今回演じるサラ・バグリーとハリエット・ファーリーという女性を、今どのようにとらえていますか?特にサラは実在の人物でもあるのでどう演じようとされているのか気になります。

柚希:私は実在の人物を演じるのが凄く好きなんです。例え世の中の人たちがその人の事を否定していても演じている私だけはその人を誰よりも理解し、味方になっていくので。だから実在の人物を演じられるのが嬉しいんです。サラは実家を立て直すため、自由を求めるために工場に勤めたらいろいろな事を目にして戦う……すごく正義感の強い人だととらえています。
正義感と知性を持って文章の力で戦うという点ですが……私、文章力ゼロでして(笑)。だから本当にしっかり学んで役を作り込まないと、納得できる役作りにならないんじゃないかと。文章力があって知的な人ってどういう思考になるからそう動いたのか、なんでこうなっていったのか、サラの事をいっぱい調べていったらもっと面白くなりそうですね。

柚希礼音
柚希礼音

ソニン:私が演じるハリエットはサラとは反対で、これまで私が演じる機会が多かった皆を先導するタイプではなく(笑)、保守的というか、ある意味現実主義。はみ出すより守る方が安全と考える女性。でもリーダー的なカリスマ性も持ってないといけないように思うんです。「静」の自立した女性を演じる機会はこれまで少なかったので……でも柚希さんが作るサラの造形との対比が出たほうがきっと面白くなりそうです。サラとは逆の強さを作り上げようかなと思っています。
今は靴工場で働く金髪の“ファクトリー・ガール”を演じている真っ最中ですが(笑)、「働く」ってそもそも何だろう? と考えていくことになりそうです。ハリエットにはその理由がちゃんとあるんです。

柚希:この二人は、最初は同じ方を向いているようで、途中から意見が違ってきてバトルになったりもするんだよね。真実味があるように作っていきたいですね。

ソニン:バトル……嫌だー怖いよー負けたらどうしよう~(笑)
ソニン
ソニン

ーー(笑)。冒頭、「日本初演」という話が出ましたが、柚希さんは宝塚時代から何度か日本初演作品に出演されてますよね。そういう作品を作り上げていく事について何か思うところはありますか?

柚希:初演で演じている時より、それが再演になった時の方が強く感じます。違う方々によって何度も再演されていく時、初演で私たちが作った台詞回しや振り、歌い方などを今もしっかり踏襲されていたりすると、皆が大事に守ってくれているんだな、だからこそ初演は細かいところまでしっかり作り込んでいかないと、という責任感を年々感じます。

ソニン:この作品を次またできるか否かは私たちにかかっているんですね! そのプレッシャーを今感じました。私は皆と一緒にいちから作り上げていく事が大好きなので、柚希さんが中心となって私たちがこの作品を「生み出す」事ってなかなかないチャンス。すごく時間がかかる事もあるかもしれないですが、ただ台詞を覚えて演じるだけではない体験ができる贅沢な時間になりそうです。
(左から)柚希礼音、ソニン
(左から)柚希礼音、ソニン

【オマケ話】
撮影の合間、「本日の朝ごはんは何でしたか?」というなにげない質問をしてみたところ、「カレーうどん!」と元気に答えた柚希さん。「え? 朝からですか?」と驚きの声があがると「朝から肉も全然大丈夫!」と成長期の男子のような発言に皆大笑い。
一方で「ほとんど食べないんです。ドリンク的なものを飲む事はあるけれど、固形物としての量はバナナ1/2本くらい」と答えるソニンさん。インタビュー中にも出ていましたが、この頃、ミュージカル『キンキーブーツ』の公演真っ最中。そんな食生活でどうしてあんなに激しいステージパフォーマンスが出来るのか? と、これまた驚きを呼んでいました。

取材・文=こむらさき 撮影=山本 れお

当記事はSPICEの提供記事です。

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