「御社」と「貴社」の違いは? - 正しい使い方と例文【ビジネス用語】


ビジネスシーンで頻繁に使われる「御社」「貴社」という言葉。どちらも相手の会社を指す言葉ですが、両者の正しい使い方をご存知でしょうか。そこで今回は、「御社」「貴社」という言葉を中心に、使い分けに悩む用語や敬語についてお話ししたいと思います。

■「御社」「貴社」の意味

「御社」も「貴社」も、「相手の会社を敬っていう語」という意味の言葉で、いずれも相手の会社を指す敬語表現になります。

取引先の担当者と話す際に、相手方に対して「おたくの会社」「そちらの会社」と呼ぶのはいささか失礼な表現になります。「おたく」は同等の相手に軽い敬意を込めていう場合に、「そち」「そちら」は目下の人に用いるものだからです。

そこで、相手への敬意を表す「御」や「貴」という語を用いて、「御社」「貴社」と呼ぶのが正しい表現とされています。
■「御社」と「貴社」の違いと使い分け

「御社」と「貴社」の意味に違いはありませんが、「御社」は話し言葉(口語)で、「貴社」は書き言葉(文語)で用いるというルールがあります。何故このような使い分けが必要なのでしょうか。

昔から、相手のことや物を敬って「貴殿」「貴宅」「貴国」という言葉が用いられていたように、相手の会社のことも口語・文語にかかわらず「貴社」と呼んでいたようです。しかし、「きしゃ」という語には多くの同音異義語が存在します。

例えば、会話の中で「きしゃのお時間が」と発音すると、「貴社のお時間が」ではなく「汽車のお時間が」「帰社のお時間が」などと間違った意味で聞こえてしまう可能性があります。ましてや、「貴社の記者が汽車で帰社します」と言われたら、何のことやら。このように、どの「きしゃ」なのかが分かりづらいことから、話し言葉では「御社」が用いられるようになったと言われています。

言葉の意味を取り違えてしまうことのないよう、「御社」は話し言葉、「貴社」は書き言葉という点をしっかりと押さえておくと良いでしょう。

ちなみに、「御社」「貴社」はそれだけで既に敬語ですので、丁寧に言おうとし過ぎて「御社様」「貴社様」などとするのは二重敬語になります。かえって失礼にあたりますので、注意しましょう。
■一般企業以外の呼び方

「御社」「貴社」というのは、一般的な「会社」を指す敬語表現ですが、一般的な会社とは違う組織や団体などを指す場合にも、それぞれに適した敬語表現があります。一覧で紹介しましょう。

どのような会社・組織・団体であっても、口語には「御」を、文語には「貴」を付けるのが基本になります。
■「御社」の使い方と例文

口語で用いる「御社」は、電話や商談など、ビジネスのあらゆるシーンで使う言葉になります。実際にどのように使うのか、例文とともに見ていきましょう。
(例文:商談)

この商品を、御社の店舗に置いていただけないでしょうか。

今日は、御社の製品に合う新しい素材をお持ちしました。

(例文:電話)

御社より請求書が届いたのですが、確認したいことがございまして。

先日御社の工場を見学させていただいた○○社の○○ですが、工場長の○○様にお取り次ぎ願えますか?

■「貴社」の使い方と例文

文語で用いる「貴社」は、社外へのメールや文書などで使うことが多いでしょう。
(例文:社外メール)

先日、貴社○○様よりご提案いただきました○○の件ですが

来週、貴社に納品する予定の○○ですが、数量が揃いましたので明日お持ちします。

(例文:社外文書)

貴社におかれましては益々ご盛栄のこととお喜び申し上げます。

貴社のご期待に添えるよう、一層の精進をいたす所存でおります。

■就職活動における「御社」「貴社」の使い方

就職活動では、履歴書やエントリーシートを書く場合には「貴社」を、面接では「御社」を使うことになるので注意が必要です。
(例文:面接)

私は幼少期に、御社の○○で遊んで育ちました。今度は私が、子どもたちが夢中になるような製品を創りたいと思い、御社を志望しました。

前職での接客経験と語学力を生かし、コンシェルジュとして御社に貢献できるよう誠心誠意努めてまいります。

(例文:履歴書)

前職で培った営業経験を生かし、即戦力として貴社に貢献したいと考えております。

「革新的な製品を創造し、世界の人々の暮らしを豊かにする」という貴社の経営理念に共感し、これまで学んできた知識を、是非、貴社の○○の分野で活かしていきたいと思っております。

■「弊社」「当社」の意味と使い方

ここまで、相手側の会社を指す言葉についてお話ししましたが、ここで、自分の会社をあらわす言葉について少し触れたいと思います。

自分の会社を指す言葉といえば、「弊社」「当社」が一般的ですね。どちらも意味は同じですが、「弊社」は自社をへりくだって言う謙譲表現であるため、基本的に社外の人との会話や文書に用います。一方「当社」は、社内会議など、身内との会話の中で自社を丁寧に言う場合に用いられる表現になります。
(例文)

弊社の商品をご愛顧頂きまして、誠に有難うございます。

この度、弊社事務所を移転することになりました。

A社に比べて、当社は少々後れをとっています。

当社の売り上げが、B社を上回りそうです。

ただし、必ずしも「社外には弊社」「身内には当社」と決まっているわけではありません。例えば、ホームページやパンフレット、あるいはメディア対応など、不特定多数の人に向けて自社をアピールするような場合には、へりくだる必要がないことから「当社」が用いられます。
(例文)

当社製品をご愛用いただき、ありがとうございます。

当社へのご意見・ご要望がございましたら、お寄せください。

また、商談で強気に出る場合に、あえて「当社」を用いるのも一つの手です。さらに、自社のプライドを傷つけられた時や何かしらの損害を受けるような場合には、「我が社」を使用することでより強い気持ちを表現することが可能です。
(例文)

当社としましては、この条件は到底受け入れられません。

当社は、国内で業界1位のシェアを占めております。

我が社のブランドイメージを著しく汚されたことに、強く抗議します。

いずれにせよ、へりくだるべき状況か否かを見極め、臨機応変に使い分けるようにしましょう。
■転職面接で「自社」を表現するには?

転職時の面接では、「自社」のことをどう表現すれば良いのでしょうか。

例えば「弊社」と表現した場合、あなたの現在の会社が転職先に対してへりくだることになります。転職活動はあなた個人の問題であるにもかかわらず、勝手に今の会社のことを「弊社」とへりくだるのはおかしな話しですね。このようなシーンでは、「現在の勤め先」「現職」「前職(退職済の場合)」などが相応しい表現になりますので、あわせて覚えておきましょう。
■使い方・使い分けに注意が必要なビジネス用語

「御社・貴社」「弊社・当社」のように、ビジネスシーンには、同じ意味でありながら状況に応じて使い分けなければならない用語や、敬語の使い方に注意しなければならない用語がいくつもあります。どのような使い方が正しいのか、いくつかご紹介しましょう。
○○「御中」と「様」の使い分け

ビジネスシーンでメールや文書を送る場合に、宛名につける敬称といえば「御中」と「様」が一般的ですね。両者を正しく使うには、組織や団体に使う場合は「御中」を、個人に対しては「様」を用いるよう使い分ける必要があります。

また、『敬称は併用してはいけない』というルールがあることから、「御中」と「様」の併用はもちろんのこと、「社長」「部長」「店長」といった役職名(敬称)との併用もNGとなります。「○○部長様」などと表現すると二重敬語になってしまいますので、注意しましょう。
(正しい表現の例)

○○株式会社 御中

○○株式会社 人事部 御中

○○株式会社 営業二課 △△ 様

○○株式会社 営業部長 △△ 様

(誤った表現の例)

○○株式会社 △△営業部長 様

○○株式会社 御中 △△ 様

○○「参考になりました」と「勉強になりました」の使い分け

「参考」という言葉に、「判断材料の一つとする」という意味があることから、「参考になりました」=「(自分の考えは既に決まっているので)あなたの意見は足しにします」「参考程度に聞いておきます」といったニュアンスが感じられ、上から目線のような印象を相手に与えかねません。ゆえに、目上の人に対して使用するには失礼な表現とされています。

一方、「勉強」という言葉には「学ぶ」「経験を積む」といった意味があることから、「あなたの意見を聞いて知識が増えました」という謙虚なニュアンスが強く、相手に良い印象を与えることができます。
○○「了解しました」と「承知しました」の使い分け

「理解しました」の丁寧語が「了解しました」、謙譲語が「承知しました」になります。丁寧語である「了解しました」は同僚や目下の人に対して使う言葉であって、取引先や目上の人に使うものではありません。取引先や目上の人に対しては、謙譲語である「承知しました」を使うようにしましょう。
○○「お連れしました」はNG!

来客を案内する際に「お連れしました」というのは不適切です。敬意を払っている相手が、お客様ではなく自分の上司になるからです。また、「連れ」という言葉が自分と対等あるいは目下の人に使う言葉であるため、お客様に対して使うのは失礼です。

この場合、「来る」の尊敬語である言葉を用いて、「お見えになりました」「おいでになりました」「お越しになりました」とするのが適切な表現になります。
○○目上の人に「頑張ります」はNG?

「頑張ります」は丁寧語ですから、目上の人に使っても問題のない言葉ですが、ビジネスシーンでは話し言葉に限定して使うことをオススメします。なぜなら、「頑張ります」という言葉は、声のトーンや表情の影響を受けやすい言葉だからです。また、頑張るのは自分自身ですから、なるべく、自分の動作をへりくだって言うことで相手を立てる「謙譲語」を用いると良いでしょう。
(例文)

更なる業績アップに向けて、より一層励んでまいります。

これからも、誠心誠意努めてまいります。

ご期待に添えるよう、全力を尽くす所存です。

より一層精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

このように、「頑張る」という言葉自体を「励む」「努める」「尽力する」「精進する」といった言葉に言い換えたり、さらに「~いたします」「~参ります」といった表現を付け加えたりするといいでしょう。

このほかにも、ビジネスシーンには、使い方に注意しなければならない言葉がたくさんあります。特に、日本語における敬語の使い方は、日本人であっても難しいものですね。最後に、敬語の定義について今一度確認しておきましょう。

○丁寧語
聞き手に対して丁寧に述べる時に使う表現。相手や内容を問わず使うことができる。

○謙譲語
自分の言動をへりくだって言うことで、相手を立てる表現。

○尊敬語
相手側の言動に対して敬意を払う表現。

今回は、「御社」「貴社」を中心に、使い分けに悩む用語を取り上げてみました。とりわけ日本語の扱いは難しいもので、「正しいと思って使っていた言葉が、実は失礼な表現だった」なんて経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

しかしながら、ちょっとした言葉の選び方で、仕事ができる人かどうか、一緒に仕事をしたいと思えるかどうかが判断されてしまうのも事実です。専門的な技術や知識だけでなく、言葉のスキルもしっかり身に付けていきたいものですね。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

あなたにおすすめ

ランキング

もっとよむ

注目ニュース

もっとよむ

あなたにおすすめ