騙されない投資家になるために 第37回 米国のマーケットから読み解く「株価・金利・為替」の関係


投資の初心者が知っておくべきこと、勘違いしやすいことを、できるだけ平易に解説しようと思います。金融市場の主要な商品である株価・金利・為替の関係を、最近の相場から考察してみましょう。

なお、金利の代わりに債券価格を考える場合は、方向を逆にして考える必要があります(金利低下=債券価格上昇、金利上昇=債券価格下落のため)。

前回のはじめに知っておきたい「株価・金利・為替」の関係では、株価・金利・為替(以下、通貨)の4つのパターンについて(※)、それぞれのテーマを考察しました。

(※)それぞれに上昇か下落かの2通りがあるので(横ばいは想定しない)、組み合わせは8通り(=2×2×2)。ただ、いずれもが上昇するケースは、いずれもが下落するケースと、同じテーマに基づいていると考えることが可能なので、考察すべきパターンは以下の4通り。

○米国のマーケットを読み解く

さて、本稿では昨年後半以降の米国のマーケット情勢をいくつかの局面に分類してみましょう。

■2018年10月~11月初め(図1グリーン枠)
株(NYダウ)は最高値から反落。金利(米10年物国債利回り)と通貨(米ドル実効レート)は上昇基調でした。図2(2)のパターンに該当し、テーマは金融政策だったと判断できます。中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)は3カ月ごとの利上げを続けており、翌年(2019年)についても複数回の利上げが見込まれていました。ただ、同時に堅調だった景気が変調するとの懸念も生じました。

■2018年11月~2019年1月初め(図1オレンジ枠)
テーマは景気。景気減速懸念が強まった局面です。図2(1)のパターンに該当します(ただし、すべて逆向き)。株価が大幅に下落し、利上げ打ち止め観測が台頭して金利は低下、通貨も下落しました。

■2019年1月~4月中旬(図1ブルー枠)
株価は反発に転じて、ナイスリカバリーをみせます。金利は低下(=債券価格は上昇)し、通貨は上下動を繰り返しながらも、どちらかと言えば上昇基調でした。株・債券・通貨のいずれもが上昇する「トリプル高」だったわけで、図2(3)のパターンと判断できます。
年初からのブレグジット交渉の泥沼化や、トルコの政治不安などもあって、外国の資金が安全な避難先として米国に流入したとみることができます。

■2019年4月中旬以降(図1オレンジ枠)
足もとで再び景気減速懸念が強まっています。図2(1)のパターンです。世界景気に陰りがみえるなか、米中貿易摩擦の激化・関税の引き上げ合戦が世界の2大経済を大きく鈍化させかねないからです。
○今後の株価は?

さて、今後はどのような展開になるでしょうか。景況感が一段と悪化すれば、4月中旬以降のパターン、すなわち株価・金利・通貨いずれもの下落が続くかもしれません。

別の展開もありえます。例えば、トランプ政権が貿易交渉において円安や人民元安をけん制すれば、それは事実上の米ドル安政策とみなせるので、図2(4)のパターンが起こりえます。通貨が下落し、通貨安を好感して株価が上昇する一方、インフレ懸念から金利も上昇するのです。

あるいは、このところトランプ政権がFRBに利下げを迫る状況が続いているので、仮に慎重なFRBが予想外に利下げに踏み切れば、図2(2)の逆パターンが起こりえます。利下げを受けて金利が低下し、その結果として通貨安となり、金利低下と通貨安を好感して株高になります。
○日本の場合は?

本稿では米国を例にとって解説しました。では、日本のケースはどうでしょうか。自らの要因で主体的に動く米国のマーケットと違って、日本のマーケットは多分に従属的です。日本株は米株に、日本金利も多少なりとも米金利に連動する傾向があります。一方で、円は基本的に米ドルと反対の動きになります。したがって、上記とやや異なる分析が必要になりますが、今回は割愛します。

○執筆者プロフィール : 西田 明弘(にしだ あきひろ)

マネースクエア 市場調査部 チーフエコノミスト。1984年、日興リサーチセンターに入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして活躍。
2012年、マネースクウェア・ジャパン(現マネースクエア)入社。「投資家教育(アカデミア)」に力を入れている同社のWEBサイトで「市場調査部レポート」「スポットコメント」「今月の特集」など多数のレポートを配信する他、動画サイト「M2TV」でマーケットを日々解説。

当記事はマイナビニュースの提供記事です。

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